PART 71(b)

 そして知佳の荒い息が収まりかけたタイミングを見計らって、塩野が張りのある声を出した。
「さて、ここでもう一つ、当社のイメージに関わる重要な件を付議したいと思います。なお本件は、重要な秘密を含むため、あえて議題表には載せていないものであります・・・」

 「・・・あ、い、いやっ・・・」
ようやく意識がはっきりしてきた知佳は、自分の取っているポーズのあまりの破廉恥さに小さく悲鳴をあげ、体を起こしてテーブルの上に横座りになった。しかしそれでも下半身が丸裸であることに変わりはなく、知佳は両手で前と後ろを隠しながらテーブルから降りようとした。

 「あ、麻倉くんはそのままでいいから、君もちょっとこれを見てくれ。」
塩野はそう言って知佳の動きを止めると、手元の携帯端末を操作した。それはプロジェクターと連動しているようで、塩野の手が止まると、一枚の画像がプロジェクターに大映しになった。

 その瞬間、ざわざわしていた会議室の皆が静かになった。そして、塩野に抗議しようと口を開きかけた知佳も顔を引きつらせて固まった。そのスクリーンに大映しになっていたのは、ゴルフ場で上半身は裸で乳房を丸出しにし、下半身はミニスカートだけでティーグラウンドに立っている女性の画像だった。唯一の救いはその顔がぼかされていることだった。

 「・・・実は今朝、こんな画像が私のメールに送られてきまして、その扱いについて少し話をしたいと、まあそういう内容だったわけです。まあ、脅迫ですな。このバックに映っているのは当社が開発したゴルフ場で、この女性が穿いているスカートは、当社の、麻倉くん達のチームが開発したものです。こんなものか出回ったら、このゴルフ場はもちろん、他の事業にも大きなダメージになると・・・そしてもし、この女性がテレビでも有名な麻倉知佳だったら・・・と」
塩野はそこまで一気に話をすると、一旦言葉を止めて知佳に視線を向けた。
「麻倉くん、君はまさか、ゴルフ場で自分の露出趣味を満たすようなことはしていないよね?」

 「・・・そ、そんな・・・」
幹部達の視線が一斉に集中するのを感じ、テーブルの上の知佳は必死に下半身を庇いながら絶句した。その画像は間違いなく自分のものだったが、自ら認めるのは辛すぎた。それに、そのような質問をするのは確信を持てる材料が無いからだろう。知佳はちらりと前川と高城の顔を見た。真相を知っている二人は、素知らぬ顔をしていた。きっと、黙認したことが会社に分かって責任を問われるのを恐れているのだろう・・・
「ち、違います! 私はそんなこと、していません!」
自分の乳房が思い切り公開されているのを見ながら、知佳は精一杯に強がって言った。

 すると塩野は小さく溜め息をついた。そして顔を上げ、知佳の顔をじっと見つめた。
「そうか、それが君の答えか・・・じゃあ、続きを見てもらおうか・・・」
塩野の言葉と同時に、スクリーン上の画像が動き始めた。いきなりぼかしが取れ、知佳の顔がはっきり映し出された。そして画面の中の知佳はそのまま腰を落とし、ミニスカートが徐々にたくし上がっていった。
「あ、あっ、いやっ・・・」
知佳は思わず悲鳴をあげた。それが何の動画であるか、はっきりと悟ったのだ。

 しかし塩野は取り合わなかった。
「どうしたんだい、麻倉君、これは君じゃなくて、ただのそっくりさんなんだろう? まあそっくりさんでエロ動画なんか作られたらいい気はしないだろうがね・・・」
そしてスクリーン上の知佳は完全な便所座りになっていた。カメラが意地悪く、ミニスカートがたくし上がって露出した股間を真正面から映し出していた。

 おおっと、声にならないどよめきが幹部達の口から漏れた。その女性はノーパンだったのだ。そしてその女性は、息むように顔を歪め、脚をプルプルと震わせ始めた。

 「・・・あ、ああ、い、いや・・・と、止めてください、お願いします・・・」
画面を見つめながら、知佳小さな声で哀願した。

 しかし画面上の動画は止まらず、その女性は、あ、あん、あうぅ、と可愛い喘ぎ声を上げながら卑猥な腰振りショーを続け、ついには秘裂からゴルフボールを覗かせた。おおっ、という幹部達の声と、いやっ、止めてぇ、という女性の悲鳴が交錯する中、画面の中の女性はついにゴルフボールを秘裂から出し切った。

 それから塩野は駄目押しをするように、スクリーンを二画面構成にして、左側にゴルフボールを出した瞬間の女性の股間のアップ、右側にさっきローターをアナルから出した瞬間の知佳の股間のアップを写し出して並べた。その開ききった二つの性器は、恥毛の生え方も、大陰唇の形も、クリトリスの形も、完全に一致していた。
「・・・これでも別人と言うつもりかい、麻倉くん?」

 ・・・こうして知佳は、ついにゴルフ場で痴態を晒しているのが自分だと認めさせられることになった。そしてその理由は、自分の隠れた露出趣味を満たすために一人で行ったことにされた。前川と高城は終始知らない振りをしていた。

 そして嘘をついた知佳への罰も兼ね、念のため乳房も比較して確認することになった。すなわち、知佳は、上半身に着ているものを全て脱ぐように命令され、白昼の幹部会議室のテーブルの上で完全な全裸にされてしまった。そして知佳は、テーブルの上で全裸M字開脚のポーズを取らされ、恥辱の口上を強要されることになった。

 「・・・わ、私、麻倉、知佳は、ろ、露出願望を満たすために、自社で開発しているゴルフ場で、自分の開発したゴルフウェアを着て、破廉恥な行為を楽しんでしまいました・・・ほ、本件につきましては、会社に与えた損害を、必ず賠償することを誓います。なお、その方法につきましては、会社からの命令に必ず従うものとします・・・」
知佳はそう言いながら、自ら秘裂の両側に指を当てて思い切り開き、中のサーモンピンクの肉壁を見せつけた。
「・・・もし違反した場合には、この動画の扱いを含め、いかなる措置を取られても異議を申し立てないこととします・・・」
許しがあるまでそのポーズを崩さないように命令されている知佳は、形の良いバストも、秘裂の奥までも、女性として秘すべき部分の全てを見せつけながら、社長の顔を見た。(ひ、ひいい、こ、こんなのって・・・)

 「・・・まあ、事情は分かった。本当なら即、懲戒解雇としたいところだが・・・社長賞を受けた有名美人社員のスキャンダルが漏れたら困ったことになるからな・・・」
沖田は全裸で秘部を開いている知佳を眺め、もっともらしい口調で言った。
「仕方ないな、その相手には多少の金は止むを得ないな。ただし、今後もつけ込まれないようにしろよ・・・麻倉くんには、その分をしっかり稼いで貰うからな。」
こうしてようやく、経営会議は予定時間を大きくオーバーして終わった。

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 その翌日、M商事社員は衝撃に包まれた。何と、アパレル部門が丸ごとS物産に買収されることが発表されたのだ。確かにM商事の主力事業は資源開発や自動車、プラントなどであるが、近年は生活関連にも重心をシフトしていくのが経営方針の柱であり、その象徴的存在が第7事業部の中のアパレル部門だった。そのために優秀な若手社員である知佳を配置し、業績も急激に伸び、マスコミへの露出も多く堅いイメージだったM商事のイメージアップに多大な貢献をしていた・・・一部は事実とは若干違ったが、社員にも世間にもそのように捉えられていた中での電撃的な発表だった。

 また、経済紙やアナリストが驚いたのはその買収金額だった。通常の査定で得られる金額よりも40%以上の高値でS物産が買い取ったと報じられたのだ。そしてその条件が、M商事のブランド及びアパレル部門の社員をそのまま引き継ぐこと、という情報が漏れ伝わると、皆が「麻倉プレミアム」と書き立てた。それは、知佳達が立ち上げたブランドの将来性が高く評価されたという意味もあったが、それよりも遙かに、知佳の美貌と今や全国的な人気をS物産は買ったのだと言われた。

 そしてそれは、知佳たちアパレル部門の社員達にとっても晴天の霹靂だった。そのような話は何となく聞こえていたが、今までも根拠のない噂やでっち上げだったので、誰も本気にしていなかったのだ。主力事業に規模が劣るとは言え、こんなに業績が伸びていて、社長賞までもらった事業部が売却される筈はない・・・皆がそうタカを括っていた。

 また、しばらくすると少し裏事情も聞こえてきた。
・アパレル部門売却の件は、もともとはS物産から申し込んだもので、M商事としては選択肢の一つとして一応検討する程度のスタンスだった。
・しかし、この数週間で、社長達はなぜか急速に現実的な検討を始め、S物産と具体的な価格交渉まで行うようになっていた。
・背景にあるのは、世界的な資源不足を見越しての事業拡大のチャンスとなり、M商事として資金が必要となったこと、S物産はアパレル事業の規模が大きいが魅力的な新規ブランドが不足していたこと、知佳の人気が絶頂にある今がチャンスと考えたこと、などで両者の利害が一致したのではないか
・そしてなぜか昨日、急にM商事の社長がS物産の社長に面会を求め、ブランドと人材ごと即時譲る代わりに、買収金額を上乗せすることを提案した・・・
そのような噂を話しながら、なぜそれが昨日なのか、誰もが首をひねっていた。

 しかし、知佳にはその理由が何となく分かったような気がしていた。知佳の人気が頂点にあり、スキャンダルがばれないうちに高値で売ることにした・・・その買収プレミアムの一部は、脅迫者に口止め料として渡ったのかもしれない・・・(みんな、ごめんなさい・・・)不安そうな顔で今後を心配する同僚達を眺めながら、知佳は内心で謝るしかなかった。
 
 ただ、時間が経つにつれ、同僚達の心配はどうやら杞憂に終わりそうだと分かった。M商事アパレル部門はリストラされるのではなく、高値で請われて所属がS物産に代わったと考えて欲しい・・・社長の沖田の説明は、どうやら事実のようだった。その証拠として、社員全員の雇用が保証され、役職・給与も同水準が引き継がれることになった。仕事内容もとりあえずは全く同じ、希望があればS物産から資金を追加投入して、より大規模なプロモーションを行っても良い・・・

 他の社員にとってはいいことづくめの買収だったが、知佳にとって辛かったのは、全て今までどおりの業務を行うこと、という条件だった。それはつまり、毎週金曜日のテレビ出演も引き続き行わなければならない、ということも含まれていた。衆人環視の中、全裸で逆さ吊りにされ、四つん這いで尻の穴と秘裂を晒し、愛液を垂れ流しながら歩き回らされた・・・死ぬほど恥ずかしい光景が皆の脳裏に鮮明なのを承知で、翌週の撮影に臨んだ知佳は、スタッフやギャラリー達の意味ありげな視線を嫌と言うほど浴びせられることになった。よく来れるわねえ、涼しい顔しちゃって、と同性の聞こえよがしな揶揄が一番辛かった。

 知佳にとっての僅かな救いとなったのは、翌週の週刊SJに、知佳についての続報が掲載されなかったことだった。そして最終頁に小さい文字で、先週号の巻頭特集の一部で誤解を招くような表現があったことへの謝罪が記載されていたのだった。きっとそれも、総務部や広報部が話を付けたのだろう・・・お金か何かの条件を付けて・・・

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