PART 73(b)

 知佳は反論の余地もなく、目の前に差し出されたガラスの盆を受け取るしかなかった。たっぷりドリンク入りのグラスが乗ったそれは重く、綾子の言うとおり両手で持たなくては危険だった。
「あ、ありがとう・・・」
知佳は仕方なくそう言うと、お盆を持ってすぐ目の前のテーブルに向かった。とにかく一つずつ、全テーブルを回るしかないのだ。

 そこは幹部達、社長や事業部長、各部長が集まっているテーブルだった。
「皆様、お代わりはいかがでしょうか?」
真っ赤な紐ビキニだけを身に付けた知佳は、顔を真っ赤に染めてお盆を差し出した。そこには因縁の藤堂もいて、知佳のバストや下半身をじろじろ眺めているのが分かった。
(い、いや、早く取って、お願い・・・)

 「お、ありがとう、麻倉くん」
まずは、すっかりほろ酔い加減の社長がお盆からウイスキーのグラスを取った。
「しかし君は、企画力と行動力だけじゃなくて、こんなこともできるんだねえ。ぜひ営業の方も頑張ってくれよ。」
社長はそう言うと、知佳の露わな肩をぱんと叩いた。

 「あ、ありがとうございます・・・」
肌を直に触られて嫌悪を感じながらも、知佳は作り笑いを浮かべてお辞儀をした。それは、社長旅行前の知佳には考えられないことだった。知佳ちゃん、成長したねえ、と元M商事のテーブルから冷やかしの声が上がり、笑いがさざなみのように起こった。

 次の事業部長は白ワインのグラスを手に取り、ありがとう、と言いながら知佳の腕を撫で上げた。その指先の嫌らしい動きに、あ、と悲鳴を上げかけた知佳だったが、慌てて口を閉じ、ゆっくりと頭を下げて礼を言った。

 そして次はいよいよ、営業部長の藤堂の番だった。自分の弱みにつけ込んでゴルフ場でさんざん恥辱責めを行った相手に対し、知佳はにっこりと微笑まなければならない屈辱に内心で震えていた。
「藤堂部長もいかがですか?」

 「うーん、そうだなあ、ウイスキーもいいけど、ワインにしようかなあ・・・」
藤堂はそう言うと、お盆に近づいてじっくりと覗き込んだ。それは知佳の至近距離に立つことでもあった。そして藤堂は右腕を上げると、知佳の肩に腕を回し、右肩を抱くように手を置いた。
「君はどれがいいと思う?・・・あ、これはセクハラかな?」
藤堂はそう言いながら、肩を抱いていた腕を、更に首を巻くようにして延ばした。藤堂の右手は知佳の肩を離れ、その下の鎖骨を触り、ついにはバストの麓の部分にまで到達した。そして藤堂は嫌らしくその指に強弱を付けて動かし、バストの裾野に軽く指を食い込ませた。

 「・・・っ! い、いえ、セクハラでは、ありません・・・」
知佳は表情が強ばるのを感じながらも、そう言うしかなかった。知佳は今、ピンクコンパニオンとしてS物産に買われている身なのだから、抵抗できる筈がなかった。
「そ、それでは、ウイスキーはいかがでしょうか?」
(お願い、早く離れて!)藤堂もそうだが、知佳にはギャラリーの食い入るような視線がより気になった。ここまではしてもいいのだと皆が思っているのは間違いなかった。責めが後になるにつれ過激になっていった温泉での悪夢が脳裏に蘇った。

 「そうか、知佳ちゃんがそう言うならウイスキーにしよう。」
藤堂は意外にも素直に頷くと、知佳の身体から右腕を離し、ウイスキーのグラスを取った。しかし同時に左手を前に出し、知佳の尻を撫で上げた。
「おお、知佳ちゃんはお尻までぷりんぷりんだねえ(笑)」

 「や、やめてください・・・し、失礼しました。」
一瞬きっとなった知佳だったが、すぐに慌てて頭を下げた。身体が震えたため、お盆の上のグラスがぶつかり合って派手な音を立てた。

 「ちょっとお、何してるんですか、先輩!」
厳しく叱責の声が響いたが、それは知佳の後輩の恭子の声だった。
「何をされてもセクハラだなんて絶対に言わないって約束したばっかりですよね? ちょっと触られたくらいで動揺しないでくださいよ!」
あまりの言葉に、S物産側のテーブルがしんとなった。ここまで言われて、プライドが高いと評判だった麻倉知佳がどうするのか・・・興味津々の視線が知佳のビキニ姿に注がれた。

 「きょ、恭子ちゃん・・・」
そう言った知佳は、視線が合った恭子が唇の端に小さな笑みを浮かべているのを見て確信した。(知っているのね、恭子ちゃん、今の私が何を命令されているかを・・・知っていて、そんなことを言うなんて・・・綾子ちゃんもわざとお盆を・・・)しかしそれを悟ってももはやどうしようもなかった。
「ご、ごめんなさい・・・もう絶対、嫌がったりしないから・・・もちろん何があっても、セクハラなんて言わないわ・・・」
罠にはまった時は、逆らわずに従順になることが一番の近道・・・度重なる調教でそう叩き込まれた知佳は、自ら相手の喜びそうな言葉を口にした。そしてその瞬間、またもや身体の奥がじんと熱くなるのを感じた。

 それからの数十分間は、知佳にとっては悪夢の、S物産の社員達にとっては夢のような時間になった。憧れのM商事の美人で有名人だった麻倉知佳が、半裸で目の前に立ち、ドリンクを勧めてくれる・・・そして、その身体を触っても、知佳は恥ずかしそうな仕草をしながらも、必死に笑顔を作って微笑みかけてくれるのだ。知佳はブラの上から乳房を触られ、揉まれ、ボトムの上から尻を撫でられ、最後には股間を撫で上げる者まで現れた。その度に知佳は眼を丸くして悲鳴を上げて身体を色っぽくくねらせ、次に笑顔を浮かべてお礼を言うのが、ギャラリーにとってはあまりも面白いショーとなっていた。

 そしてようやく全てのテーブルを回り終わった時、知佳は全身をピンクに染めてぜいぜいと喘いでいた。百人もの手に身体を触られ、きわどい部分を刺激され続けたのだから、それも当然だった。あと少し責められたらイってしまう・・・知佳はギリギリのところで耐え続けたが、それは色っぽい顔で喘ぐ姿をギャラリーにたっぷりと披露することになってしまっていた。そしていつからか、皆が携帯端末で自分の痴態を撮影していることに気付いたが、もちろん抵抗はできず、フラッシュを浴びる度に恥辱を感じて震えるしかなかった。
(お、終わった・・・)知佳はまだ身体が火照っているのを感じながら、ほんの少しだけ安堵していた。しかし、もちろん知佳の認識は甘かった。

 パーティの終了時間が来たことを司会者が告げ、締めの挨拶を藤堂に依頼した。
「えー、本日はみんな、大事なキックオフの会に集まってくれてありがとう! ざっくばらんな会ができたので、親睦も深まったと思います。・・・M商事から来たみんなは、ウチのノリに呆れたかもしれないけど、これがウチの社風なんで、よろしくな。」
大丈夫ですよ、S物産のノリ、大好きでーすっ、と声が上がって会場が湧き、藤堂は満足そうに笑みを浮かべた。
「よし、ありがとう!・・・それでは最後に、S物産独特の方法で会を締めたいと思うんだが・・・みんな、今日のMVPは誰だと思う?」

 藤堂のその言葉に、おおおっ、とS物産側のテーブルがどよめいた。事情を知らない元M商事側はその様子にぎょっとなった。
「そりゃあもちろん、麻倉さんでしょう!」
「そうそう、素晴らしいスピーチに可愛い笑顔、それからエロいボディ!(笑)」
「異議なーし!」
「それじゃあみんなでコールしようぜ、あっさくらっ、あっさくらっ!」
その言葉を合図に、麻倉コールが沸き起こり、それはあっという間に会場全体に広まった。元M商事側も事情は分からないが、淫靡な興味と共にそのコールに加わった。

 「はい、それじゃあMVPは麻倉知佳さんということで全会一致となりました・・・それでは麻倉さん、こっちに来てください。」
司会者がそう言うと、知佳は周りに押し出されるようにして、ステージ上へと上がらされた。
「はい、それでは麻倉さん、受賞の言葉をどうぞ!」

 「え、は、はい・・・」
知佳はビキニを必死に直し、少しでも肌の露出を少なくしながら言った。
「・・・あ、あの、MVPを頂いたとのこと、ありがとうございます。・・・私なんかがいただいてしまい、本当に恐縮です。とにかく明日からは、S物産のために全力を尽くしますので、どうぞよろしくお願いいたします・・・」
知佳はそう言いながら深々と頭を下げたが、壇のすぐ下の自分の目の前にS物産の男達が所狭しと集まっているのが気になった。嫌な予感を覚えた知佳は、頭を上げるとすぐに壇から降りようと身体を反転させた。

 しかしそれはもう手遅れだった。反転した知佳の目の前には藤堂が立っていて、目が合うとにやりと笑った。
「どうしたんだい、麻倉くん? まだ受賞のご褒美をしてもらってないだろう?」
そう言って知佳の肩を掴むと、そのままぐいっと前に押していった。

 「え、な、何ですか、藤堂部長?」
い、いやあっ、と叫びたいのを必死に堪え、知佳は言った。しかしその間にも男の力には抗えず、知佳の身体は一歩ずつ後ろに下がっていった。そしてついに、足が壇の端に来たことを悟ると、知佳はたまらず悲鳴をあげた。
「あ、だ、だめですっ、きゃあっ!」
壇から突き落とされたっ! 知佳は身体がゆっくりと後ろに倒れていくのを感じながら、必死に頭を庇おうとした。

 次の瞬間、知佳は身体がふっと浮くのを感じた。大勢の手が下から自分の身体を支えているのが分かった。おおっというどよめきと共に、自分の身体が下から押し上げられ、宙に飛び上がるのを感じ、知佳は再び悲鳴を上げた。

 その時、わっしょい、わっしょい、という大きな掛け声が聞こえてきた。
「それでは、麻倉さん、S物産恒例のMVPの3分間胴上げ、ゆっくりお楽しみください! 社員の方は全員胴上げに参加して、麻倉さんを称えてあげてください!」
司会者の声が歓声に紛れてかすかに聞こえてきて、知佳はようやく事態を悟った。

 しかしそのご褒美は、知佳にとって恥辱以外の何物でもなかった。極小の紐ビキニしか身に付けていない知佳が男達に胴上げされるというのは、すなわち全身を触られ捲るということだった。
「あ、あん、や、やめてっ、・・・そ、そんなっ・・・あ、あっ・・・そ、そこ、だめえっ・・・」
乳房や太股、お尻や秘部までを無数の手に触られ、押され、揉みしだかれ、知佳はあられもない悲鳴をあげて悶えた。あはは、麻倉さん、そんなエッチな声出さないでよ、と冷ややかな女子達の声が聞こえ、知佳を一層の恥辱地獄に追い込んだ。
  
 わっしょい、わっしょい、わあっしょい・・・知佳の身体は何度も宙に舞い、下に落ちる度に色っぽい悲鳴と喘ぎ声が聞こえた。知佳の身体は表に裏に返され、皆が知佳の身体の柔らかい部分や恥ずかしい部分の感触を楽しんでいた。知佳の身体がびくびくと反応し出してきたことも、男達の嗜虐心に油を注いでいた。

 そして胴上げが一分に及んだ頃、会場が一層大きな歓声に包まれた。誰かの指が引っかかり、知佳のブラの背中の紐が解けたのだ。ブラはすぐに跳ね上がり、知佳の美しいバストが皆の前に開陳された。い、いやあああっっという知佳の絶叫は歓声にすぐに飲み込まれ、知佳の身体はすぐに裏に返され、乳房を無数の手に揉まれることになった。辛うじてまとわりついていたブラもすぐに身体から外れ、知佳が身に付けているのはボトムだけになってしまった。

 そうなれば、ギャラリーの興味が最後の一枚に向くのは当然だった。間もなく、知佳の腰を結んでいた蝶結びの紐が引っ張られ、あっさりと知佳の下半身から離れた。宙に上げられた知佳の秘部と尻が、会場中の皆の視界に晒された。
「おお、やったぁ! あの知佳ちゃんがすっぽんぽん!(笑)」
「おお、オッパイも可愛いけど、お尻もぷりぷり!」
「アソコの毛の生え方、控え目で可愛いな。」
「おい、もっと高く上げろよ、遠くから見えないだろ!」
「くそ、俺もう一回胴上げしてこよっと!」
「あ、今脚開かされてたぞ! あっちから見たら丸見えだったな(笑)」


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