PART 41(a)

 朝の馬術競技場は、奇妙な空気に包まれていた。穏やかな晴天で、馬術大会には絶好の日和だったが、馬の足音は響いておらず、運営事務局からのアナウンスも聞こえなかった。競技場の真ん中あたりに一頭の馬がいるのだが、所在なさそうに立ち尽くしているだけだった。

 そして何より、その馬の騎乗者の姿が非日常的だった。若い美女がヘルメットとブーツ以外は何も身につけていない姿で、呆然としているのだ。両腕で乳房と股間は庇っているが、それがかえってギャラリーを惹きつけていた。なぜ、ビキニで演技を開始したのか?・・・なぜ、ビキニが外れて全裸になっても演技を続けたのか?・・・なぜ、顔を真っ赤に染め、脚をガクガク震わせながら、まだその場に留まっているのか?・・・これからどうするつもりなのか?・・・

 大勢の注目を浴びていることを嫌というほど感じながら、結局麻衣子は、再度全裸での演技をすることに同意するしかなかった。鐙から足が離れない以上、この状況から一刻も早く逃れるためには、障害を全部クリアするしかないのだ・・・どんなに恥ずかしくても・・・

 "麻衣子ちゃん、皆様にご挨拶してから、全裸乗馬、始めてくれる?"
「声」がわざと麻衣子の羞恥を抉る言い方をした。
"皆が納得するような、もっともらしい理由をつけてね。あ、笑顔も忘れずにね。アナウンサーなんだから、アドリブは得意だよね?"

 一体どこまで私を辱めれば気がすむの?・・・麻衣子は内心でがっくりしながら、命令に従うしかなかった。

 麻衣子はやや引きった笑顔を作り、顔を上げた。ざわついていたギャラリーがすっと静まり、麻衣子に意識を集中させるのが分かった。
「あの、すみませんでした、模範演技のはずなのに、また失敗してしまいました・・・」
麻衣子ははにかんだような笑みのままで言った。顔はすっかり上気していた。
「お見苦しい部分はあるかと思いますが、もう一度、演技をさせていただいても、よろしいでしょうか?・・・」
結局、何も気の利いた言葉は思い浮かばす、麻衣子はそう言って小さく頭を下げた。

 一瞬、沈黙が競技場を支配した。ギャラリーは皆、ぽかんとした表情を浮かべ、有名女子アナの美貌を見ていた。清楚を絵に描いたような美人女子アナの本澤麻衣子が、笑顔で全裸演技を続けさせてほしいと言っているのだ・・・何も身につけていない肌は、陽の光を浴びて輝いていた・・・
 
 パチパチパチ、頑張って、麻衣子ちゃん!・・・再び、競技場は拍手と歓声に包まれた。ただ、前回とは少し異なり、もっと麻衣子の裸を見ていたいという動機の者が多くを占めていた。いやらしい期待の気持ちももちろんあるのだが、非日常的な美しさに圧倒され、非常識を非難する気にはなれなかった。

 あまりの拍手と歓声に、大会スタッフの男は事務局席へと戻っていった。一応、注意はしたというアリバイ作りのようにも感じられた。

 「・・・ありがとうございます。それでは、もう一度だけ、演技をさせていただきます」
麻衣子がそう言って少し頭を下げると、がんばれーっ、という応援の声が響き、拍手が後に続いた。

 本当にもう一度、しなくちゃいけないの・・・麻衣子は首を小さく振り、逡巡を追い払った。早く成功させて、終わりにするんだから・・・あとは「声」がなんとかしてくれるのよね?・・・

 麻衣子は小さく息を吸うと、双乳を覆う左腕を外し、手綱を掴んだ。真っ白な乳房がぷるんと震えるのが視界に入り、麻衣子は一瞬怯んだ。そして、唇を噛み右手を股間から離し、ぐっと前に出して手綱を掴んだ。

 その瞬間、目の前の観客達が息を呑んだように感じた。食い入るような視線が股間に突き刺さった。

 やっぱり恥ずかしい!・・・麻衣子は慌てて手綱から右手を離し、股間を隠そうとした。

 ・・・しかし、麻衣子の右手は手綱から離れなかった。右手を開こうとしても、うまく動かない。
(え、どうして!?)麻衣子は慌てて左手を離そうとしたが、やはり離れなかった。ま、まさか・・・

 ”麻衣子ちゃん、もう分かったと思うけど、両手も固定させてもらったからね。両手と両足、演技を成功させるまでは絶対に離せないよ。麻衣子ちゃんがまた逃げ出さないようにね”
「声」が脳裏に響いた。
”それから、さっき失敗したペナルティとして、一つ罰ゲームをしてもらうよ”

 (え、何? 何なの?・・・)麻衣子はしかし、その答えを次の瞬間、身をもって知ることになった。鞍の下から、何かが下半身を圧迫してきたのだ。それはちょうど、麻衣子の股間の下から突き出し、秘裂の入口に食い込もうとしていた。

 「きゃ、きゃあっ!」
麻衣子は悲鳴を上げ、腰をずらして逃げようとした。・・・しかしその時、腰がうまく動かないことに気付いた。
(いや、やめて! お願い!)
麻衣子は顔を引きつらせ、内心で懇願した。「声」が自分の下半身を鞍に固定させ、秘裂に何かを挿入しようとしていることは明らかだった。

 ”麻衣子ちゃん、「ディルド」って知ってる?”
ディルド、という言葉と共に、そのイメージも伝えられてきた。
”ぐっしょり濡れてるから、身体の力を抜けば、すぽっと入ると思うよ”

 脳内に浮かんだディルドのイメージに、それが男性器を模したものであることは麻衣子にもすぐ分かった。
「い、いやあっ!」
千人もの大観衆の見守る中で全裸にされただけでなく、秘部に卑猥な器具を挿入されてしまう・・・麻衣子は目を大きく見開き、声を上げてしまった。腰を必死に動かしてディルドの先端から逃れようとしたが、それはクネクネと腰を動かすだけに終わった。

 「どうしたんですかっ!?」
慌てた様子で大会スタッフの男が駆け寄ってきた。観客達も呆気にとられ、麻衣子の真っ赤な顔と、くねくねと淫らに動く腰に見入っていた。

 「あ、す、すみません、大丈夫です・・・」
麻衣子は無理矢理笑みを浮かべ、スタッフの男に顔を向けて言った。男の視線が麻衣子の下半身に向けられていることに気づき、身体がかあっと熱くなった。慌てて腰の動きを止め、平静を装った。しかし、下から突き出してきたディルドは、さらに伸びてきていて、麻衣子の膣口に今にも食い込もうとしていた。

 ”麻衣子ちゃん、そんなに固くならないで。股関の力を抜いたらすっと入るから・・・ひょっとして、初めて?”
「声」はからかうような調子だった。麻衣子は沈黙したが、思考を読まれてしまうので隠しようがなかった。
”あ、麻衣子ちゃんって、まだ処女なんだ。大丈夫だよ、ぐっしょり濡れてるから、痛くないよ。・・・どう、千人に見つめられながら、初めてアソコに入れられちゃう気持ちは?”

 (・・・お願い、止めて、これ・・・)
麻衣子は必死に懇願したが、ディルドの動きは止まらなかった。おそらく、鞍の上にもう4〜5センチは出ているのだろう・・・麻衣子は膣口を、ディルドの先端がしっかり捉えてしまったことを悟り、目を見開いた。だめ、それ以上伸びたら、・・・駄目、絶対!

 麻衣子の必死の祈りも虚しく、ディルドは容赦なく伸び続け、じわじわと膣口に食い込もうとしていた。麻衣子は競技場全体の注目が集まっているのを感じ、目をつぶって唇を噛み締めた。

 「・・・申し訳ありませんが、退場されないなら、早く模範演技をしていただけませんか?」
馬上で固まり、目をつぶって色っぽい表情を浮かべている全裸の美女を見上げながら、大会スタッフの男が話しかけた。
「そろそろ、大会の方を開始しませんと、スケジュールに支障を来しますので・・・」

 「あ、す、すみません・・・」
麻衣子は目を開け、慌てて謝ったが、もうどうしてよいか分からなかった。ディルドはもはや、ぐぐっと膣口を押し開こうとしていた。淫靡な感覚が全身を駆け抜け、麻衣子を震撼させた。それは、朝のニュースの生放送中に絶頂に達してしまった時と同じ感覚だった。そして次の瞬間、ディルドの亀頭部が、ついに麻衣子の膣口をスルリと通過し、中に入った。
「・・・んんっ! あ、あはぁ・・・」
麻衣子は思わず唇を半開きにして、喘ぎ声を漏らしてしまった。頭がぼうっとなり、目の前が白く霞んだ。私、大勢の人が見ている前で、中に入れられてしまっているなんて・・・嘘、嘘でしょ・・・

 麻衣子は気付いていなかったが、その喘ぎ声はしっかりとマイクに拾われ、競技場全体に響いていた。一瞬の沈黙の後、え?、おい、今の?、まさか・・・、え、何々?・・・あちこちでどよめきと囁き声が聞こえた。大スクリーンには、ぼうっとした表情で腰を小刻みに震わせている麻衣子の姿が大映しになっていた。パクパクと半開きの唇、額にかかったほつれた髪、真っ赤な頬、ピンクに染まっている全身の肌・・・先ほどまでのどこか神々しいような雰囲気はすっかりなくなっていた。事情を知らないギャラリーは、憧れの美人女子アナのめまぐるしい変化に翻弄されるばかりだった。競技場を挟んで向かい合って設置された二つ大スクリーンはいつしか、違う映像を映し出すようになっていた。一方は正面からの映像で、麻衣子の悶える表情と丸出しの双乳と開いた股間の恥毛を映し、もう一方は、麻衣子の後ろから、丸いお尻がくねくねと動く様子を映し出していた。

 大学時代に馬術界のアイドルだった、天下の公共放送の美人女子アナが馬上で悶える全裸姿は、それから数十秒間、披露されることになった。その間に、ディルドはすっかりと伸びきり、麻衣子の膣の奥まで侵入していた。亀頭が膣壁を抉りながら侵入してくるのは淫靡な快感をもたらし、麻衣子は唇を噛み締めながらも、何度も喘ぎ声を漏らし、息がはぁはぁと荒くなってしまった。腰もたまらずに何度もビクビクと動き、それがかえって亀頭で膣壁を抉ることにつながり、さらに快感をもたらしていた。

 「・・・あ、はあぁ・・・んっ、んんぅ・・・は、はっ、はっ、あはぁ・・・んんん!」
奥まですっぽりと入ったディルドが、馬の小刻みな振動に合わせ、麻衣子の膣の中をいやらしく抉っていた。必死に快感に抗っていた麻衣子だったが、しばらくするとたまらずに喘ぎ声を漏らすようになってしまった。そして、その声が競技場に響いていることを悟った麻衣子は、はっと息が止まりそうな気持ちになった。
「あ、す、すみませんっ! ちょ、ちょっと・・・その・・・」
生放送中のトラブルなど咄嗟の対応には慣れている麻衣子だったが、さすがになんと言えばいいのか分からなかった。

 "失礼しました、それでは、演技を再開します、でいいじゃん!"
すかさず「声」が脳裏に閃いた。
"大丈夫、素っ裸の麻衣子ちゃんがかわいく言えば、みんな許してくれるよ(笑)"

 「し、失礼、しました、・・・く、くぅ・・・それでは、演技を再開します・・・」
麻衣子は屈辱をこらえ、「声」の言うとおりにするしかなかった。馬の振動が膣内にダイレクトに伝わってくるのが辛かった。

 とにかく、次の演技を成功させるしかない・・・そしたら、「声」がなんとかしてくれる・・・きっと、みんなの記憶を消してくれるのよ・・・麻衣子は必死に自分にそう言い聞かせ、顔を上げた。

 目の前には、少し先に第一障害のオクサーが見えた。いつもであれば、難なく越えることができるその障害が、今はとてつもなく高く見えた。その向こうには、競技場を埋め尽くした大勢の観客達の姿が、ぼうっとした視界の中に見えた。



前章へ 目次へ 次章へ


アクセスカウンター