PART 15

 「・・・え、演技、ですか?」
麻由香の顔が急に曇った。
「も、もう終わりではなかったんですか?」

 「・・・え? あー、違うわよ!」
絵理奈は面白そうに笑った。
「今度は失敗しても脱がなくていいわよ。ただ、麻由香ちゃんが着て、試合に使えるかどうか、確認したいだけなんだから。・・・それとも、ストリップを賭けた方がやる気が出るの、麻由香ちゃん?」


 そして、麻由香はその場でそのレオタードを着ることになった。既に全裸での恥ずかしい姿の数々を見られているから今更隠れなくてもいいだろうということで、麻由香は衆人環視の中でそのレオタードを着なければならなかった。意地悪にも、田之倉達はその様子をしっかり記録していた。

 橘佑里恵の現役時代と同じと言う理由で、タイツの着用は許されず、サポーターと純白のレオタードだけで、脚は丸出しになった姿で、麻由香は皆の前に立たされた。

 「あら、サイズぴったりじゃない。ちょっとだけ胸とお尻がきつそうだけど。」
絵理奈が満足そうに言って皆を振り返った。
「ねえ、なかなか似合ってると思わない?」

 「ええ、純白のレオタード、とっても可愛くて、清楚なイメージの先輩にぴったり!」
「ほーんと、先輩ってスタイルがいいから、純白だと余計に美しさが際立ってる感じ。」
陽菜と美加が感心したように言った。

 「でも、ちょっといやらしく無い? 橘コーチはスリムな感じだけど、麻由香ちゃんはちょっと、出過ぎじゃない(笑)」
「そうそう、胸もちょっと形が見え過ぎだし、かわいいお尻のライン丸出しだし(笑)」
「まあ確かに、橘コーチの現役時代って、こんなレオタードばっかりだったわよねえ。みんな、恥ずかしかっただろうなあ。」
「でも麻由香ちゃんは良かったわね。素敵な身体のライン丸出しにする大義名分ができたもんね?」
N高女子は麻由香の美しさに嫉妬し、嫌味と皮肉の言葉を浴びせかけた。その言葉の一つ一つに麻由香が身体を震わせて反応するのがおもしろかった。そして男子達は、女子の言葉を裏付けるかのように、レオタードを着た麻由香の肢体を舐めるように見つめていた。

 「まあまあそうからかわないで。」
絵理奈が女子達に笑いかけると、ようやくからかいの言葉が止んだ。
「それじゃあそろそろ、その格好でさっきの模範演技のメニューをやってみて、麻由香ちゃん。」


 そして、麻由香はさっきと同じプログラムを、今度は純白のレオタードで行うことになった。先ほどはそのプログラムを全裸で行ったのだから、羞恥の度合いは遥かに少なく、麻由香は比較的リラックスして演技することができた。ただ、やはり橘コーチとのスタイルの違いのせいで、お尻にレオタードが少しずつ食い込んでくるのが気になった。

 演技が終わり、麻由香が尻の裾を直そうとした時、絵理奈の声が飛んだ。
「ちょっと待って、麻由香ちゃん、直しちゃ駄目よ! 両手は頭の後ろに組みなさい。」

 絵理奈の命令に逆らえない麻由香が言われたとおり両手を頭の上で組むと、絵理奈は田之倉を近くに寄らせ、麻由香の下半身のアップを大スクリーンに映させた。
「あ、いや、やめて、下さい・・・」
下半身に食い込んだレオタードから生尻がはみ出る様子をアップにされ、麻由香は恥ずかしさに呻いた。

 「なーに言ってんだよ、俺達みんな、麻由香ちゃんのお尻の穴まで見てるんだぜ、今更ハミケツくらいで恥ずかしがるなよ。」
盗撮事件の時に煮え湯を飲まされた相手に対し、今ではすっかり優位に立った田之倉は嘲笑しながら麻由香の下半身にレンズを向け続ける。
「・・・後ろはこんな感じで、まあ、この位のハミケツなら、許容範囲かな。(笑)・・・それじゃ、前の方はどうかな・・・あれ、麻由香ちゃん、少し脚開いて、・・・早く!」

 麻由香が躊躇いながら少しずつ脚を開くと、田之倉は股間に容赦無く接写した。
「・・・ちょっと、これはまずいんじゃない、麻由香ちゃん?(笑)」
大スクリーンには、麻由香のレオタードの股間が大映しにされ、その隙間から、恥毛が2本、はみ出しているのが見えていた。

 「い、いや、やめてっ!」
麻由香はついに堪らなくなり、両手を外して股間を抑えてしゃがみ込んだ。
「も、もう終わりにしてぇ・・・」

 しかし、いつもは男子も寄せ付けないほどに凛々しい麻由香が、か弱い女の子の一面を見せて恥辱に震える様子は、皆の嗜虐心をさらに刺激した。

 「だから、もう終わりにするって言ってるじゃない、麻由香ちゃん?」
絵理奈が呆れたように言った。
「だけど、困ったわねえ。麻由香ちゃんだって、高校総体で注目される中で、あそこの毛を見られたくないでしょ?」

 「・・・え、ええ、い、嫌です・・・」
しゃがみ込んだ麻由香は俯きながら何とか言った。それならば、やっぱり高校総体でこのレオタードを着るのはやめにしようーーー絵理奈がそう言ってくれると思ったのだ。

 しかし、麻由香の期待は全く逆の方向に裏切られた。
「だからね、やっぱりちゃんと処理する必要があるわよね、麻由香ちゃん?」
絵理奈がそう言うと、男子達が一斉に色めきだったのが麻由香にも感じられた。

 「・・・え、しょ、処理、ですか?」
頭の切り替えが追いつかない麻由香は、絵理奈の言葉の意味が分からなかった。ただ、男子達の視線がまたすごくいやらしくなったのを感じ、身体を庇う両腕に一層力を込めた。

 「いやだあ、先輩! 本当はすっぽんぽんで踊るのが好きな露出狂のくせにぶりっ子しないでくださいよ。」
美加が後輩にあるまじき言葉遣いで麻由香に言った。
「はみ出ちゃってるんだから、あそこの毛を処理するしかないじゃないですかあ。」

 「・・・え、そ、そんなっ!」
麻由香はようやく処理、の意味が分かって驚愕した。男子達が何を期待しているのかも分かり、羞恥に身体を震わせた。
「い、嫌ですっ、そんなの。」

 「あーもう、めんどくさいコねえ。」
絵理奈がまたもや呆れ返った。
「タイツなしでレオタード着るんなら、処理するのは常識でしょ。あなた、さっき橘コーチのレオタードで試合に出るって言ったんだから、当然それは分かってたんでしょ?」

 「ほんとに我儘なお嬢様だなあ、麻由香は。」
しばらく静観していた佐々岡が口を挟んだ。
「まあ、いいんじゃない? どうしても嫌って言うなら、絵理奈ちゃんの提案はちゃらってことで、『模範演技』の続き、してもらおうか。・・・確か、麻由香ちゃんのあそこぱっくりオープン、からだったよな。その様子もしっかり録画させてもらって、もちろん消去なんてしないからな。」

 「わ、分かりました・・・しょ、処理しますから・・・」
佐々岡の脅迫のような言葉に、麻由香は自分の立場を思い知らされた。後でこっそりすればいいのよ。確かに新体操選手だったら、場合によっては必要なんだし・・・
「ちゃんと処理して来ますから、今日はもう終わりにしてください。・・・服を、早く返してください・・・」

 しかし、新たな恥辱ショーの準備が整ったことに気付いていないのは麻由香だけだった。
「・・・ところで、あなた、自分で処理した経験はあるの? やり方は知ってる?」
絵理奈がそう言って麻由香を見ると、麻由香は小さく首を振った。
「それじゃあ、今からここでやってみて頂戴。道具は貸してあげるわ。」

 「・・・え? そ、そんなっ!」
絵理奈の余りに無体な命令に、麻由香は目を見開いて悲鳴を上げた。
「む、無理ですっ、・・・お願いです、ここでは許してください・・・」
麻由香は恥も外聞も忘れて必死に懇願した。男の子達が多勢見ている前で、あそこの毛を剃るなんて、そんな恥ずかしいこと、できる訳がない・・・

 しかし、麻由香はまだ自分の立場が分かっていなかった。絵理奈は腰を屈め、しゃがみ込む麻由香の耳元に唇を寄せた。
「いいじゃない、あなた、素っ裸であそこ思いっきり広げてるところ、スローモーションでしっかり見られちゃってるのよ。時間が無いからここでやってもらうわ。・・・もしまだ断るなら、あなたのすっぽんぽんでの模範演技の動画、楓ちゃんに送っちゃうわよ?」
絵理奈は最後に、S高校3年で新体操部部長の松橋楓の名前を出して脅した。

 「い、いや、やめて、それだけはっ!」
麻由香はいやいやをするように首を振った。経験もろくに無いくせに先輩以上の成績を取り、またS高校男子の人気を奪ってしまった麻由香を、楓が快く思っていないことは明らかだった。もし、このことが伝わったら、何をされるか分からない・・・少なくとも、3年生全員にはすぐに伝えて、それから私を辱めるに違いない・・・
いや、ひょっとしたら、他の男子にも・・・
「もうこれ以上、他の人に見られるのは嫌です・・・」
こうして、新体操きっての美少女の剃毛ショーの開催が決まった。


 早速絵理奈に命令された麻由香は、先ほど着たばかりのレオタードもサポーターも脱がされ、完全な全裸になった。麻由香はそのまましゃがみ込み、また素っ裸で多勢の男女に囲まれることになった。

 「はい、それじゃあこれを使って。」
絵理奈は麻由香の前に、クリームとカミソリを置いた。
「もう遅くなってきたから、早くしてね。」

 「・・・は、はい・・・」
麻由香はそう言ったものの、どうしていいか分からなかった。まさか、男子達も見守る前で脚をがばっと開くことなんてできない。新体操の演技で裸の股間を見られているとは言え、自ら開くのは全く恥ずかしさが違ったし、秘裂の中までは見られていない。・・・大股開きをしても、大陰唇が余り開かず中までは見られていないことが麻由香の今唯一の救いであり、意地だった。
(そうよ、はみ出しそうなところだけ剃ればいいんだから、開かなくたって大丈夫よ・・・)

 麻由香は死ぬ程恥ずかしいのを堪え、唇を噛み締めながら立ち上がった。裸の身体を覆う両腕を外し、ギャラリーに全裸の立ち姿を晒す。すかさず意地悪な視線が乳房さと秘部に集中するのを感じながら、下に置いてあるクリームを左手に持った。

 「ほら、麻由香先輩、ご挨拶、忘れてますよ。・・・」
麻由香の悲愴な心情を慮ることなく、陽菜が耳元に囁いた。

 「そ、そんな・・・」
と言いかけて、麻由香は小さく首を振った。このコは私が恥ずかしがるのが面白くて仕方ないんだわ・・・
「S高校新体操部、本条麻由香、です。こ、これから、初めてのて、剃毛に挑戦したいと思います。・・・ど、どうぞ、麻由香のおまんこが、つ、ツルツルになっていくところ、楽しんでください・・・」
もちろん正面には、田之倉の構えるビデオカメラがある。その前で一糸まとわぬ全裸を晒し、恥ずかしいことを言わされてしまった・・・
 その時。麻由香はあまりの羞恥に身体の奥がぞくっとするのを感じた。(え? やだ、私、どうしちゃったの・・・)麻由香は、自分の身体の反応の正体を知るのが怖いと感じていた。(う、嘘よ、そんな筈、あるわけないじゃない・・・)


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