PART 8(b)

ブルセラショップにまた一人で行くと宣言した美少女に対し、柏原と紀子は考え直すよう説得したが、その決心が変わることはなかった。結局、梨沙はその領収書を持って一人でショウブ堂に乗り込むことになり、柏原と紀子、みどりの3人はショウブ堂の入口が見えるファストフード店で待機することになった。30分経っても出てこなかったら彼等から梨沙に電話をかけて、もし電話に出なかったらすぐに近くの警察に駆け込むことにした。

そして計画実行の日になった。平日の午前11時、即ちショウブ堂の開店時間になると、梨沙は3人と別れ、地下に向かう入口の階段に入って行った。皆を心配させないよう明るい笑顔を作っていた梨沙だったが、一人になると少し顔が引き攣るのを感じていた。(駄目よ、怖がっていると思われたら負けだわ、しっかりしなくちゃ・・・)梨沙は自分を落ち着かせるように胸に軽く手を当てて小さく呼吸したあと、ゆっくりと階段を下り始めた。

 梨沙がその階段を数段下りた時、携帯電話が鳴った。
(え、何、外で何かあったの!?)
慌てて携帯の画面を見た梨沙だったが、そこに表示されている『芳佳』という発信者を見て戸惑った。
(どうして芳佳ちゃんが? ひょっとして、今日のことを知ってるの?)

梨沙はその画面を見て数秒躊躇ったが、狭い階段に鳴り響く着信メロディがショウブ堂の連中に聞かれてしまうことを恐れて焦った。
(ど、どうしよう!)しかし迷っている時間は無い。梨沙は心を決めて、携帯の画面に手を伸ばして受話ボタンを押し、電話に出た。
「梨沙ちゃん、あのね・・・」
どこか急いでいるような芳佳の声が聞こえた。

梨沙は、
(a)出るなり「ごめん、ちょっと今手が離せないから、また後で電話をするね。ほんと、ごめん。」と一方的に言って、すぐに電話を切ってしまった。
(b)「どうしたの、芳佳ちゃん?」と努めて平静な声を出した。


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