PART 14(bb)

 ようやくバスケ部の練習が始まった。まずはコートの周りのランニングで、最初の3周は普通に走り、次の3周はペアを組んでパスをしながら走り、最後の3周はドリブルをしながら走るというものだった。

 それは梨沙にとっていきなりの試練となった。そっと走ったつもりでも、ブラが上下に大きく揺れてしまうのだ。
(あ、い、いやっ)梨沙は恥ずかしさに顔を火照らせた。柔らかく乳房を包むブラでは、スポーツブラの時と全く違うのが嫌というほど分かったが、2年生として先頭を走る義務があるため、減速することは許されなかった。

 ランニングするバスケ部員の前方から、写真部の3人が容赦なくレンズを向けた。
「うわ、これは迫力ありますね。ちょっと俺、動画で撮ってるから、奈良岡と小手川は写真をよろしくな。」
水沢がファインダーから目を離さずに言った。
「じゃあ俺は前から写真な。できるだけぶれないように、と。」
「じゃあ俺は後ろから。う、うわ、これはちょっと(笑)」
3人の写真部員は露骨に梨沙だけを狙って撮影をしていた。同じコートの周りをひたすら走る、というのは彼らにとって好都合だった。コートの真ん中にいれば、梨沙が勝手に胸を揺らし、尻をぷりぷりさせながら走る姿をほとんど移動せずに撮影できるのだ。

 「ちょ、ちょっとあなた達、いい加減にしなさいよ。」
「そうよ、どうして谷村先輩ばっかり撮ってるのよ。そんな取材、おかしいわ。」
「それにどうしてお尻と胸ばっかり撮ってるのよ、変態!」
梨沙の周囲の女子達はそう言って写真部員達を罵倒した。彼女達にとって、梨沙は憧れの存在だった。バスケのテクニックは文句なしの一番、誰にでも分け隔てなく声をかけてくれる優しさ、時に厳しく叱って、本当に強くしようとしてくれていること・・・こんな卑劣な男達に勝手なことはさせない・・・

 しかし3人の男子達は、そんな蔑みの声は一向に気にせず撮影を続けた。
「だって、一番うまいのは谷村先輩でしょ? とにかくトップの選手に張り付くってのも取材の基本だよね。」
「それにこんなに美人だし、色っぽいし(笑)」
「まあしょうがないから、みんなも一通り撮ってあげるよ。」

 ちょっと、いい加減にしなさいよ・・・と気色ばんだ後輩の女子達が詰め寄ろうとした時、梨沙の声が響いた。
「あなた達、ランニングを続けなさい! くだらない雑音に集中を乱すようじゃ駄目よ。」
(す、好きなだけ、撮ればいいじゃない・・・)そう強がってみたものの、乳房と尻に露骨に向けられるレンズを意識して、一番集中を乱していたのは、やはり梨沙本人だった。

 4周目からはパスをしながらのランニングとなり、梨沙はまた無防備な姿をカメラの前に晒すことになった。ボールを投げるために腕をぐいっと下げて胸を強調してしまったり、ボールを受けるために前屈みになってお尻を突き出したり・・・いつもだったら気にもしないことが、今の梨沙にはこの上なく恥ずかしいことになっていた。

 梨沙にとってもう一つ辛かったのは、隣のコートの男子バスケ部員達がちらちらとこちらを見ていることだった。梨沙はもちろん男子達に絶大な人気があったが、今までは露骨にいやらしい目で見られたことはなかった。しかし今は意味ありげな視線が集中し、特に梨沙が2つのコートの間を走る時に、皆の手が一瞬止まるのが分かった。梨沙がなぜか、普通の下着を身に付けて走っていることに、もはや全員が気付いていた。そして、憧れの女子が水色のブラとパンティを透けさせ、乳房を震わせながら至近距離を走っているのだから、見るなという方が無理があった。

 「おいお前ら、どこを見てるんだ! コートはこっちだ、集中しろ!」
男子部長の立花透が声を張り上げるのが聞こえ、梨沙は一層身体が熱くなるのを感じた。み、みんな、見ないで、私のこんな格好・・・

 ようやくコートの周りを6周走り、パスが終わったが、最後の3周はもっと辛かった。今度はドリブルをしながら走らなければならないのだ。それはつまり、腰を屈めてお尻を後ろに突き出す格好で走り、手でボールを突いて、反動で乳房をより激しく揺らすということだった。さらに、体育館の中は蒸し暑く、羞恥で身体が火照ることも手伝って、梨沙は全身にうっすらと汗を掻いていた。そして、ウェアが身体にまとわりついていることも・・・(い、いやあ・・・)梨沙は今の自分の姿を想像するのが怖くて、ひたすら目の前のボールを正確にドリブルすることだけに集中しようとした。梨沙は周囲の皆が息を呑んで見つめているのを薄々感じながらも、必死に意識を逸らそうとした。

 「あ、谷村先輩っ!」
梨沙のすぐ後ろを走っている女子が思わず悲鳴を上げた。梨沙のズボンがぺったりと下半身に貼り付き、水色のパンティがすっかりと透けてしまったのだ。それはある意味、パンティ丸出しでじっとしているよりも遙かに卑猥に見えた。
「も、もう、やめた方がいいですよ!」
「お、お願いです、谷村先輩、もう、いいですから・・・」
「ひ、ひどい、あんた達、撮っちゃだめ! 撮らないでっ」

 「・・・あっ!」
後輩の女子達の悲痛な声に改めて自分の痴態を思い知らされ、梨沙は一瞬、手元が狂った。そしてぽーんと斜め前に弾いてしまったボールは、隣のコートの真ん中をころころと転がっていった。

 (あ、そ、そんなっ!)
梨沙は頭の中が真っ白になるのを感じた。ドリブルでのランニング中にボールを逃すのは、絶対にしてはいけない行為として、梨沙自身がいつも下級生達に言っていたことだった。そして、ボールを逃した場合には全力でそこまで走り、帰りはドリブルで戻ってきて、ランニングを続けること・・・それが口を酸っぱくして言っていた決まりだった。周りの女子が息を呑んで自分を見ているのが分かった。や、やらなくちゃ・・・


 そして梨沙がランニングの列を離れ、男子コートの真ん中に向けて走って行くと、練習をしていた男子達がおおっと、思わず声を上げた。ちらちらその姿態を盗み見ていた梨沙が、全速力で走ってきたのだ。上は水色のブラに包まれた乳房が上下に揺れる様子がはっきり見え、下は、ぴったり貼り付いたズボンから、水色のパンティに包まれた尻が透けて見えていた。

 「お、お前ら・・・」
部長の立花も一瞬、言葉を失った。彼もまた、中一の頃から梨沙に惚れていて、さりげなく告白してはかわされた一人だった。
「ちょ、ちょっと通してやれ・・・真ん中を開けるんだ」
まるで少女のバスケウェア姿を透視しているような光景に、立花はそれだけ言うのが精一杯だった。そう言えば、透け透けバスケウェアのアイコラあったな・・・まさか、本当に・・・

 梨沙は、男子部員の全員が注視する中、コートの反対側、すなわち体育館の奥の壁にぶつかって止まったボールにやっと辿りついた。ボールを持って反転すると、その光景に頭がくらっとした。手前のコートには男子部員が左右に割れるように勢ぞろいで立っていて、自分を見ている・・・そして、向こう側では、女子部員たちが梨沙を見ながらドリブルでランニングをしていて、さらに、3人の男子がしっかりカメラを向けてきている・・・も、もういやあ・・・

 しかし選択の余地があろう筈もなく、梨沙はその場でボールをつき、ドリブルを始めた。リズミカルな腕の動きの反動で乳房がこれ見よがしに揺れるのが分かった。
「す、すみません、失礼します・・・」
梨沙は小さな声でそう言うと、男子達の見つめる中、透けた下着を見せつけながらドリブルでランニングをすることになった。顔見知りの男子部員達、全員の見ている前で、私、何てことを・・・梨沙は頭がぼうっとするのを感じた。

 梨沙が遅れている間に他の女子は皆がランニングを終わり、梨沙は最後の一周をたった一人で走ることになった。ダンダンダン、とボールがリズミカルに弾む音、タッタッタッ、という軽快な足音、そして、はぁはぁはぁ、というどこか色気を感じさせる声が体育館に響いていた。男子達もすっかり手を止めてその夢のような光景を見つめていた。いつも仲良しだった梨沙の非現実的な痴態を前にして、悪いとは思ったが目を逸らすことができなくなっていた。それは部長の立花すら例外ではなかった。梨沙ちゃん、実は結構胸があるんだな、ぷるぷる震わせちゃって・・・それに、プリプリのあのケツ、たまんないなあ・・・そして梨沙がようやく恥辱のランニングを終わると、思い出したようにかけ声を発した。
「お、おい、お前ら、練習再開だ! よそ見しないで集中しろよ!」

 「そ、それじゃあ次、柔軟体操よ・・・」
智美は平静を装おうとしたが、声が上擦るのを止められなかった。(梨沙ちゃん、ごめんね、取材なんか受けちゃって・・・でも、絶対に記事にはさせないから・・・)

 そしてその柔軟体操も、今の梨沙にとっては非情な恥辱ショーだった。前屈で尻を突き出し、後屈では胸を張り、股間を突き出す・・・さらに、大きく脚を開いて左右に身体を折り曲げたり、2人一組になって後ろ向きに肘をかけ、お互いの身体を宙に上げ、思い切り身体を反らせたり・・・可憐なレースの柄が分かるほどに、梨沙の下着は透けてしまっていた。

 その後は、腕立て臥せや腹筋、スクワットなどの筋トレだった。3人の写真部員達は、その間も執拗に梨沙の姿だけを撮影していた。

 その次も、男子達にとって夢のような光景の連続だった。パスやドリブルの練習、全員参加でのシュート練習・・・いつもは当たり前のプレーでも、美少女が、透けたウェアからブラとパンティを丸見えにしている状況では、それはあまりにも刺激的だった。隣のコートで練習している男子達は、股間の高ぶりを女子達に悟られないようにするのに必死になっていた。

 その日の最後のメニューは、試合形式での練習だった。前半は女子同士での練習で、後半は男子対女子の形式での練習だった。16歳の美少女女子高生は、水色のブラとパンティが透けるウェアの姿で、男子達の至近距離に再び立たなければならなかった。

 今度はさっきのドリブルランニングの時のように一気に駆け抜けることはできず、敵として真正面からの姿を見せなければならなかった。ボールを持った相手のパスを封じるために両手を左右に大きく開くと、正面の男子に乳房を強調して見せることになった。また、シュートを防ぐためには両手を大きく上げてジャンプし、男子の目の前に乳首を突き付けるような形になった。さらに、男子をかいぐぐろうとして尻を突き出してドリブルをする姿や、両手を上げたときにウェアの横から見える水色のブラチラ等を、男子達はたっぷりと堪能することができた。そしてその光景は、写真部の3人の男子達によってしっかりと記録されてしまった。


 「・・・はい、今日の練習はここまで。」
部員全員を集めた智美は、息を弾ませながら練習の終わりを告げた。
「みんな、なかなか良くなってるわよ。あと少し、気を抜かないで頑張ろうね。」
はい!、という黄色い元気な声の合唱が体育館に響いた。それはある意味、梨沙を気遣ってのものだった。

 「それじゃああなた達、分かってるわね。」
体育館の外に向かう部員達を見ながら、智美は写真部員達に声をかけた。他の高2の女子達も残り、3人を取り囲むようにしていた。男子部員達は、一足先に全員が体育館から出ていた。

 「それにしてもあんた達、今日はずいぶん変な写真を撮ってたんじゃない?」
「そうよ、約束が違うわ。ちょっと見せてみなさいよ。」
「そうそう、変な写真があったらこの場で削除してもらうわ。」
「何なら学校にちくってもいいのよ。そしたら写真部なんて廃部ね。」
「不祥事なんてことになったら、K大にいけなくなっちゃうかもね。」
梨沙と同学年の女子達は皆、親友同然だったので、皆が写真部員達に怒りを覚えていた。

 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。どうして今頃そんなこと言うんですか?」
高2の女子達の剣幕に、高1の水沢はたじたじとなった。

 「そうですよ。だって今日は、普通に練習していただけでしょ。谷村先輩の格好だって、僕達が強制した訳でもないんだし。」
「そうですよ、それに、谷村先輩だって、透けてるの、分かってやってたんだから、撮影したっていいじゃないですか?」
奈良岡と小手川の声も若干震えていた。

 「上級生に生意気言うんじゃないわよ、いいから早くカメラを出しなさい!」
智美が厳しくそう言った時、体育館の扉が開いた。

 「あれ、高2のみなさんが可愛い1年生を囲んで脅してるの、こわいなあ。」
そこに立っていたのは、2年生で写真部長の岩本稔だった。
「・・・まあいいや。それよりもさ、これから単独インタビューさせてくれないかな、谷村さん?」
岩本は梨沙のウエア姿をじろじろと眺めながらしゃあしゃあと言った。


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