PART 19(bb)

 「もう、何をかわい子ぶってんだよ、分かってるだろ、早くブラとパンティになってシュートして見せろよ。」
「下着までならなんでもするんだろ。遅刻したくせにもったいつけんなよ。」
「ひょっとして、見せられないパンティ? スケスケ?(笑)」
「分かった、ノーパンだ!」
「それならヌードになってもいいよ、梨沙ちゃん!」
「あはは、K附の生徒会長が全裸でバスケ!(笑)」
衝撃的なビデオが上映され、梨沙は一気に男達の欲望の的になってしまっていた。

 「ほら、早くした方がいいよ、梨沙ちゃん。」
表情を強ばらせて立ち尽くしていた梨沙の方に、野々村が後ろから軽く手を乗せ、顔を耳元に近付けて囁いた。
「君のいろんな動画と写真、黒川さんのルートで流されたくないだろ?」

 (・・・!)
梨沙はその言葉にはっとなって野々村の顔を見た。野々村は岩本が梨沙を騙った手紙に騙されてた訳ではなく、岩本と野々村が組んで梨沙を罠に陥れたのだ。やっぱり野々村が、黒幕につながる人間なのだ・・・早く、芳佳ちゃんに知らせなくちゃ・・・でもそれなら、黒幕の正体が分かるまではここを逃げ出すことはできない・・・

 プールに入った100人の男達が見つめる中、ついにステージ上の美少女が制服のブレザーに手をかけると、誰からともなくおおっとどよめきが起こった。下着姿のビデオを見ているとは言え、名門校の制服を着ている美少女が、頬を真っ赤に染め、躊躇いがちにそのボタンを一つずつ外していく・・・ストリップショーを生で見るのは、全く違うレベルの興奮をもたらした。

 ブレザーを脱いだ梨沙は、一瞬手を止めてから、今度は緑のリボンを外した。さらにブラウスのボタンを一つ一つ外し、全てのボタンを外してから、ふと辛そうな表情を浮かべ、上目遣いで観客達を見た。途端に欲望を露わにした数々の眼差しとカメラのレンズが視界に入り、慌ててうつむいた。
(い、いや、こんなところで、私・・・)
下着姿の公開を覚悟していた梨沙だったが、100人もの知らない男の視線を浴びながら裸のような姿になるのは想像以上に恥ずかしかった。

 「どうしたの、梨沙ちゃん? やっぱりやめる?」
動きが止まった梨沙に対し、野々村が優しく、しかしどこかなじるような口調で尋ねた。えー、というブーイングに似た声がギャラリーから響いた。
「嫌ならいいんだよ、君の他にも写真を撮って欲しい女の子なんて他にも山ほどいるんだから。もしやる気があるんなら、ちゃんと顔を上げて、会場のお客様の顔を見ながら脱いでくれるかな。」

 「・・・すみません、やります、お待たせしています・・・」
(断れないと分かってるくせに・・・)梨沙は野々村を恨めしく思いながら、そう言うしかなかった。そして、プールの男達に顔を向け、嫌らしい視線と構えられたカメラを見ながら、ゆっくりとブラウスの前を開いていった。(い、いやあ、こんなの・・・)

 ついに、制服姿の美少女のブラが皆の前に開陳された。そのブラジャーは純白で大人しめのデザインで、縁に可愛い模様を施されたカップが優美なカーブを描いて少女の乳房を覆っていた。おお、可愛いっ、おっぱい結構大きいね、ちょっとぶりっ子過ぎない?、などと男達が口々にヤジを飛ばしながらその姿をカメラに収めていった。

 羞恥に頬を真っ赤に染めながら、下を向くことさえ許されない梨沙は、そのままブラウスを脱ぎ、ブラジャーだけの上半身を晒した。スクリーンの中では披露していたが、やはりその上品な体つき、16歳にしては大きな80センチのバストの膨らみ、ブラジャーから漏れる乳房の裾の柔らかそうで白い肌、引き締まったお腹に小さめで縦長のお臍・・・梨沙ちゃーん、ちょっと両手を頭の後ろで組んで、という会場からの声に逆らえず、梨沙は胸を強調するようなポーズを取らされ、写真とビデオを撮られてしまった。そして会場からは、もっと笑って!、ちょっと腰を捻って!、こっちに視線ちょうだい!、と遠慮なく指示が飛び、梨沙は従わざるを得なかった。時折視界に入る他の3人のアイドルの冷たい視線が気になったがどうすることもできない。

 下はスカート、上はブラだけ、という姿をさんざん撮影されてしまった梨沙は、今度は少し腰を屈めると膝を曲げ、濃緑のハイソックスをそれぞれの脚から抜き取った。その何気ない仕草でも尻を軽く付き出すと歓声があがり、ハイソックスの下からふっくらとした生白いふくらはぎが現れるとほおーっ、という声が聞こえた。

 次はいよいよスカートだ。男達が生唾を飲んで見守るのを意識しながら、梨沙はゆっくりとそのホックを外し、腰を小さく左右に振りながら、ゆっくりとスカートを降ろしていった。そしてその恥じらいながらの動作が、ギャラリーの男達の欲望を更に刺激することになってしまっていた。しかもそれは、他のアイドルからは、いかにもあざとく男を誘惑する動きにも見えてしまっていた。

 ついに白昼のプールのステージでブラとパンティだけになってしまった梨沙は、両手を身体の横に下ろしてギャラリーの方を向かされて立っていた。バスケ部で普段は陽の光を浴びていない生白い肌が、直射日光をまともに受けて光っていた。美しい首筋、小さめのお臍、きゅと締まったウエストからお尻にかけての優美なライン・・・男達はその美しさと可愛さ、可憐さに見とれながら、休むことなくカメラのシャッターを切り続けた。さらに途中で一人の男の意地悪な思いつきにより、K附のトレードマークである、緑地にピンクのストライプが入ったリボンを付けることになってしまった。

 「はい、それじゃあ下着撮影会はその位にして、いよいよ自己PRのドリブルシュート、披露してもらいましょう。」
水原はそう言うと、いつの間にか用意したバスケットボールを梨沙に渡した。
「梨沙ちゃん、やる前にはにっこり笑顔で挨拶をお願いしまーす。」

 大勢の男達が見守る中、梨沙はステージの上で下着姿でのバスケットボールを持たされた。ステージの後ろの壁面には、いつの間にか簡易なバスケットのゴールが取り付けられていた。さっきのビデオ通り、乳房を揺らし、お尻を後ろに突き出しながらドリブルし、ジャンプをしてシュートをする・・・体育館では数人だけに見られた痴態を今度は100人以上の見知らぬ男達に囲まれ、白昼のプールで見られながらしなくちゃいけないなんて・・・梨沙は今起きていることがとても現実のこととは思えなかった。(う、嘘よ、こんなの・・・)視界が白く靄がかかったようになり、にやにやするギャラリーの顔がぼうっと霞んできていた。するといつの間にか背後に来ていた野々村が耳元に口を寄せ、口上を囁いた。

 「そ、それでは、谷村、梨沙、学校のリボンと下着だけの姿で、ドリブルをしてから、シュートをして、ご覧に入れます・・・少し恥ずかしいけど、梨沙の身体、うんと綺麗に、撮ってください・・・」
ブラとパンティだけの姿にされた美少女が少し震える声でそう言い終わると、おお、いいぞ、梨沙ちゃーん、と歓声が起こった。い、いや、こんなの・・・早く終わって、お願い・・・梨沙の視界はますます真っ白になっていった。野々村が至近距離から容赦なくシャッターを連写しているのが辛かった。

 そして梨沙は、ボールをリズミカルにバウンドさせると、ゴールに設定された場所に向かって走り出した。ギャラリーが嫌らしい目的で乳房や尻の写真、ビデオを撮っていると知っていても、今の梨沙にはどうすることもできなかった。とにかく一回で決めるしかない・・・とん、と跳ねた梨沙は下から手を持ち上げ、ゴールに向けてボールを放った。そしてボールがリングにも触れずにしゅぱっと入って網を揺らすと、会場からは大きな歓声と拍手が沸いた。

 「はい、さすがK附女子バスケ部のエース、素晴らしいシュートでした。」
水原は観客の男達に向かってそう言うと、今度は後ろのアイドル達の方を向いた。
「それでは4人のアイドル候補生の皆さんは、お客様の前に等間隔で並んで立ってください。」

 素早く辺りを見回した梨沙だったが、脱いだ制服はどこかに持っていかれてしまっていた。着替えの水着を用意してくれているようにも見えない。(このままの格好でいろって言うこと? そんな、ひどい・・・)他のアイドルは可愛いビキニなのに、自分だけは下着・・・梨沙は水原と野々村に視線を送ったがあっさりと無視されてしまった。そして梨沙が渋々プールの端に立った時、他の3人は、目の前のプールの中の男達ににこにこ笑いかけていた。

 そして頃合いを見計らって水原が声を上げた。
「はい、それでは最初の人気投票を始めます。皆さん、応援するコの前に並んでください。制限時間は2分です。」

 え、人気投票って?・・・梨沙が戸惑っている間に、目の前のプールの男達がばしゃばしゃと波を立てながら移動を開始した。そして、自分の前から男達がどんどん移動し、他のアイドル達の方に移動していくのを見て困惑した。まさか、これで4位になったら罰ゲーム?・・・

 ・・・2分後、男達の移動による人気投票が完了した。1位は近藤智美で35人、2位は内田彩香で32人、3位は小西千里で28人・・・そして梨沙の前には、わずか5人しかいなかった。その頃には、男達がこの3人のアイドルの卵の固定ファンであることが梨沙にも分かっていた。それぞれのアイドルは目の前の男達と、仲のいい友達のように親しく話をして、甘えるような視線を振りまいていた。ひ、ひどい、これじゃあ私が人気で最下位になるのは当たり前じゃない・・・

 「ほら梨沙ちゃん、どうしたの? 笑顔でこっち見てよ。」
目の前の5人のうち一人の男が声をかけた。
「そうだよ、本当は俺、智美ちゃん推しだったんだけど、梨沙ちゃんに乗り換えてあげたんだからさ。」
「梨沙ちゃん、磨けば光る原石って感じでいいよね。でも、もっとインパクトが無いと他のコに勝てないよ。」
「そうそう、いっそのこと、Tバックでもはいてみれば?」
「そのブラ外しておっぱい見せてよ。乳首が可愛いピンクだったら一位になれるかもよ(笑)」
「すっぽんぽんでそのリボンだけだったら最高なんだけど(笑)」
「ほら、綺麗に撮ってあげるから、笑顔でポーズを取ってよ。俺たち梨沙ちゃんに投票してあげたんだからさ。」
5人の男達はわざと露骨な言葉を浴びせ、梨沙の恥じらう表情と痴態をカメラに収めていった。

 梨沙の遅刻と自己紹介で大幅に遅れたスケジュールを詫びた後、水原はいよいよ、最初のゲームの開始を宣言した。
「はい、それでは最初のゲームは水上雲梯です。ルールは簡単、プールに設置されたこの雲梯を一番早く渡った人が勝ちとなります。但し、最下位になるとペナルティがありますので、みんな、頑張ってください。」
水原はそう言いながら4人の顔を見回し、再びプールの中の男達の方を向いた。
「もちろん写真は撮り放題です。出来の良い写真は是非私どもに提供してください。優秀な作品は、野々村の写真と一緒に雑誌やウェブで発表させていただき、謝礼もお支払いします。」
おおおっと盛り上がる会場に水原は再び笑いかけた。
「それから、皆さんは好きなアイドルが勝つように応援する形で参加もできます。応援の仕方については、ゲームが始まってからご案内します・・・」

 水原の言葉に合わせるように、4人のアイドルの卵の目の前には即席の雲梯が設置されていた。4人がいる側とその反対側の、プールの両端にそれぞれ木製の2本脚の足場を置き、その間にはプールの水面から2メートルの高さに金属パイプ製の梯子が横方向に水平に設置されていた。つまり、その水平の梯子の一つ一つにぶら下がりながら移動して、プールの反対側まで早く到達した方が勝ち、ということだ。

 「あ、あの、すみません・・・」
梨沙は我慢し切れずに水原に言った。
「私も、水着を着させてください。」
それは控え目な口調だったが内心では必死だった。男達が大勢いるプールの上を、水上からの高さ2メートルの雲梯にぶら下がって反対側まで進むということは、下半身をぶらぶらと振りながら男達の至近距離に晒すことに他ならないのだ。

 しかし水原はあっさりと首を振って梨沙の訴えを却下した。
「ああ、言い忘れてましたが、それが人気投票4位のペナルティということにしたいと思います。梨沙ちゃんのペナルティは、水着ではなく、下着で参加ってことで、いいよね?」
水原のその提案は、梨沙が否定する間もなく、会場からの拍手によって採用が決まってしまった。そして水原は、にこやかな顔で梨沙に近づくと、耳元でそっと言った。
「だって梨沙ちゃん、下着までならいいんだろ?」
この人もグルなの!と梨沙がはっとする表情を愉しみながら、水原は小さく笑った。


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