PART 20(ba)

そしてしばらくインタビューが続いた後、ティアラとタスキが用意され、梨沙はそれを身に付けなければならなかった。そのタスキには、「祝10万人! 谷村梨沙さん」と名前まで書かれていた。

ようやく一通りのインタビューが終わろうとした頃、お笑いコンビの一人がふと話題を変えた。
「・・・ところで梨沙ちゃん、一つお願いがあるんだけど、今日一日、その格好で遊園地で遊んでくれないかな? それから、このイヤホン式マイクを耳に入れてもらって、こちらが指定する5個のアトラクションをレポートして欲しいんだ。」
極力目立ちたくない梨沙が顔を曇らせると、お笑い芸人は慌てて続けた。
「あ、レポートって言っても、自然な会話の中で少し感想を言ってもらえればいいんだよ。それに、もしやってもらえるなら、一年分のパスポート券、4人分あげるから!」
おおっ、とギャラリーがどよめいた。

「あの、すみません、そのパスポート券、8枚にしてもらえませんか?」
話を聞いていた松木が口を挟んだ。そして、ギャラリーの一角を指差すと、美由紀と福本、水谷玲子、川相愛子の4人が手を振った。4人とも、梨沙のいきなりの幸運にニコニコしていた。梨沙は福本の顔を5年ぶりに見て胸がきゅんとなった。
「実は今日、8人で集まってるんですよ。できるだけ協力させてもらいますから。」

「うーん、分かりました! こんなに可愛いコに一日マスコットガールになってもらえるんだから、きっと上にも了解もらえると思います、OK!」
お笑い芸人が少しもったいぶってそう言うと、OKサインをした。
「それでは、準備を行います。モニターオン!」

その瞬間、会場からいっそう大きなどよめきが起きた。入場ゲート横にある5m四方の大モニターに、いきなり梨沙達のアップが映し出されたのだ。それだけでなく、会場のあちこちに設置してある無数のモニターが、一斉に同じ画像に切り替わった。
「みんな、驚いた? これがこの遊園地の数ある最新設備の一つ、『モニターエブリホエアー』だっ!・・・まあ要するに、この遊園地のどこにいても、最低一つのモニターがあって、緊急時はこれで園内の全員の状況を把握して、避難を呼びかけることもできるわけ。そして更にすごいのは、それぞれのモニターに高精細カメラが付いていて、全てのモニターに同じ画像を動画中継することもできるってこと。だから、もし事件が起こったら、犯人は絶対に逃げられないんだな。」
お笑い芸人は得意そうに言うと、梨沙を振り返った。
「えー、実はこの機能、本格的に使うのは今日が初めてです。梨沙ちゃんのレポートは、これを使って、園内どこにいても、梨沙ちゃんの中継動画を園内の全モニターに配信したいと思いまーす。ま、つまり、みんながこんなに可愛い梨沙ちゃんとデート気分ってことだな。」
最後の言葉に、もはや黒山の人だかりになっていたギャラリーの男達が沸いた。大画面に映し出されている清楚な美少女の姿が一日中見られるのだ。

「そ、そんな・・・」
事態のあまりの急展開に梨沙は絶句した。一日中カメラで中継され、マイクまで付けられてしまったら、昔の友達とゆっくりすることもできないではないか・・・それに、もしスカートがめくれてしまったりしたら・・・

「さ、それじゃあ梨沙ちゃん、ちょっとここで一回転してくれる?」
お笑い芸人が当然のように促し、梨沙をその場で回転させた。ギャラリーには、制服姿の後ろも見せることになった。
「・・・はい、これでカメラが梨沙ちゃんのデータを覚えました。園内のどこにいても、梨沙ちゃんの姿が一番大きく映ったカメラの映像が、自動的に全モニターに表示されます。」
へえ、すっげえ、と会場から溜息が漏れた。

その時、今度はモニターの画面の右の端から、白い文字が流れだした。
<うわっ、誰、このコ?><どっかのモデルの仕込み?><かわいー!><K附だって、頭良さそー>

「はい、これは、遊園地のホームページにある、リアルタイム中継のコーナーにも繋がっていて、園の外部からもインターネットでアクセスできます。さらに、コメント欄に文字を打ち込めば、このようにリアルタイムに表示されます。この機能は、今日はテストとして、端末IDが登録された100人のモニターさんだけがアクセスできます。あ、園内の人は誰でも、アクセスも書き込みもできますから、応援コメント、よろしくね。」
お笑い芸人はそう言うと、梨沙にイヤホンを渡し、着けるように促した。

「あの、すみません、こんなの、恥ずかしいです・・・」
しかし、梨沙がそう言うと、モニター画面を見ていたギャラリーがわっと盛り上がった。今の梨沙の言葉が、そのままピンクの字で流れてきたのだ。しゃべった言葉が全て文字になり、園内の全員とネットでここを見ている人全員に知られる・・・梨沙は、あまりの事態に気が遠くなりそうだった。だって、今の私は・・・

<恥ずかしいだって!><さすがK附のお嬢様、奥ゆかしー><これは惚れた>
といったコメントが流れ、会場の空気を代弁した。

「それで、梨沙ちゃん達は今日、どの辺りで遊ぼうと思ってたの?」
お笑い芸人がさりげなく聞いた。

「あ、はい、特にどれとは決めていないと思うんですけど、遊園地の乗り物に乗ってから、プールに行こうと思っていました。」
梨沙は思わず素直に答えたが、周囲の雰囲気の微妙な変化に、失敗したことを悟った。

「へえ、ひょっとして、制服の下は水着かな?」
ギャラリーの期待の空気を察したお笑い芸人が代弁した。

「ええ、そうですよ。みんなでそう約束して来たので。」
答に詰まった梨沙に代わり、松木が答えた。

 <見せてー><梨沙ちゃんなら可愛い白ワンピと見た><結構胸ありそう><脱げー><脱いだらなんかあげればいいじゃん><そうだ、プレゼントで釣って脱がせろ>
画面上には、一気に大量の文字が流れた。

「ちょっと、お前ら、いい加減にしなさい。梨沙ちゃんが怖がっちゃうだろ。」
お笑い芸人が慌てて言った。梨沙に泣かれたり、怒って帰られたりしたら責任問題になると焦ったのだ。

「そんなにご要望があるんなら、いいよね、梨沙ちゃん? どうせプールでは水着になるんだし。」
またもや松木が口を挟んだ。<いいぞー!>と書き込みが溢れる。
「その代わり、何か追加特典はもらえるんですか?」

「うーん、じゃあ・・・隣のビルのフレンチレストランのスペシャルディナーコース、8人分プレゼントでどうだっ!」
お笑い芸人は遊園地の幹部の方をちらっと見ながら言った。
「ちょっと豪華な同窓会になるよ!」

「そ、そんな・・・、私、困ります、そんなの・・・」
梨沙は抗議の声をあげかけたが、3人の男子がニヤニヤと見返すのを見て口ごもった。(これも、「デート権」の一部だと言うの? 断ったら、またあそこでストリップショーをしろって言うのね・・・ひ、ひどい・・・)

「梨沙ちゃん、いいよね?」
横井が念を押すように声をかけた。

「梨沙ちゃーん、一緒にフレンチディナー、食べたいな!」
「いいじゃない、みんなに可愛い水着姿、見てもらいなよー。」
会場にいる玲子と愛子から、無責任な声がかけられた。小学校時代、梨沙は2人とは正直言ってあまり仲良くなかった。

「・・・え、ええ・・・」
梨沙が小さな声で頷き、それがピンクの字となって画面を流れると、梨沙の様子を息を潜めて見つめていたギャラリーが一気に盛り上がった。

「・・・はい、それじゃあ突然ですが、10万人目のご来場者、谷村梨沙ちゃんの水着を披露してもらいたいと思いまーす!」
タイミングを逃さないように、お笑い芸人がすぐにショーの開催を告げ、梨沙以外の者は脇にどくように指示した。これで梨沙は、たった一人で画面に映し出されることになった。

梨沙がモニター画面をチラリと見ると、そこには自分の全身像だけと、たくさんのコメントが流れていた。
<さ、梨沙ちゃん、ぱっと脱いじゃおうか?><いや、じっくり色っぽくよろしく><オッパイ強調してくれたら俺もスペシャルディナーご馳走しちゃう!><案外Tバックのどエロビキニだったりしてw><貝殻ビキニも捨て難いなw>

「きゃ、い、いやっ」
普段は目にしない男達の欲望を見せつけられ、梨沙は思わず小さく悲鳴をあげた。しかし、それも意地悪くマイクに拾われてテキスト化され、ピンクの文字として画面に流されてしまい、男達のいたずら心を刺激することになってしまった。

<どうせなら全部脱いじゃえ!><いいねえ、10万人記念ストリップw><オッパイのサイズ当てしようぜ><85センチ、乳首はピンク!><そんなに無いだろw 77の美乳だな>・・・

「はいはい、みんな、純情な梨沙ちゃんをからかったらだめだよ。あ、放送禁止用語なんかは自動的にブロックされるからね。」
「さあ、梨沙ちゃん、そろそろ水着になっちゃおうか?」
お笑い芸人は意味不明な進行をしながら、梨沙に擬似ストリップを促した。

「は、はい・・・だけど・・・」
梨沙は引きつった笑顔を浮かべながら、その場に立ちすくんでいた。
「やっぱり、あの・・・あ、あんっ」
梨沙は身体の奥からの感覚に思わず悲鳴をあげ、慌てて口を押さえた。だ、だめ、声を出しちゃ!
それはほんの一瞬だったが、間違いなく、秘裂に咥えさせられているローターが振動した。そして、<あ、あんっ>というピンクの字が画面を流れ、会場がまた湧いてしまった。
(ひ、ひどい、こんなところでそんな・・・)
梨沙は松木達の方を訴えるように見た。3人ともローターのリモコンを持っているのだ。そして3人とも、にっこり笑って梨沙を見返したが、その手はポケットの中に入れられていた。
(ど、どうしてもここで制服を脱げっていうのね、こんな大勢の人が見ている前で・・・い、いやよっ、そんなの、あんまりよ・・・)

しかし、公衆の面前でバイブに悶える姿を晒すわけにはいかない梨沙に選択肢はなかった。観念した梨沙が俯きながら緑のリボンを解き始めると、会場が急に静まった。
「梨沙ちゃーん、カメラ目線で、にっこり笑いながら脱いでね。」
松木の声が響くと、会場がどっと笑い、モニタ画面には、<いいぞ、小学校の友達野郎!>などと賛辞のコメントが溢れた。

会場中の視線を一身に浴びながら、ステージ上の梨沙はブラウスのボタンを全て外した。しかも、松木の指示には逆らえないため、モニタ画面とギャラリーにはにかんだ笑みを浮かべながらそれを行った梨沙は、頬がほんのりピンクに染まっていた。その初々しい恥ずかしがり方が、さらにギャラリーの心をつかんでいた。

そして、制服姿の美少女は、清楚な白いブラウスの下の裾を掴み、徐々に左右へと開いていった。そして、その隙間から綺麗な白いお腹が見えると、会場のギャラリーがごくっと唾を呑み込むのが聞こえた気がした。

<え? てことはビキニ?><うわ、生白くてエロいお腹!><小さいおへそ、可愛い!><早くブラ見せて!><どうせならオッパイも!>・・・

(い、いや、やめて・・・)梨沙は絶えることのないコメントを見せ付けられながら、ブラウスを大きく開いていった。


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