PART 21(bb)

 野々村が間近に迫って来るのを見て、梨沙は慌てて口を開いた。
「わ、分かりました! 分かりましたから、来ないで、ください・・・」
長身の野々村があと数歩近づいたら、囲いの上から梨沙の身体が丸見えになってしまう。梨沙は必死にそう言うと、指示されたとおりに、ブラジャーを高く投げ、囲いの外に出した。おおぉ、という男達の歓声、やっだあ、というアイドルの見下したような声が辛かった。

 「はい、それじゃあ梨沙ちゃん、そこで両手を頭の後ろに組んで。こっちを見てにっこり笑って。」
梨沙の前に陣取った野々村は、後ろの観客の男達がいることなど気にしないで、自分の撮影に没頭してきた様子で言った。その目と口調は真剣で、梨沙に逆らうことを許さなかった。

 「え、あ、はい・・・」
上半身裸なのに、至近距離の男の前で頭を後ろに組み、乳房を晒す・・・間に真っ黒なフィルムがあるとは言え、16歳で男子と付き合ったことすらない梨沙にとってそれは、頭がクラクラするようなことだった。ふと下を見ると、太陽の光をまともに浴びた剥き出しの乳房が白く光っているのが見えた。乳首が立ってしまっているのが上から見てもよく分かり、梨沙は頬を燃えそうな程赤く染めた。お、いいねえ、その顔!、と野々村が上機嫌でシャッターを切り続けていた。もちろん、プールの中の男達もカメラを構えていた。

 「はい、それじゃあ次は、パンティを脱いでみようか。」
すっかり入り込んでしまった野々村は、ヌードモデルに命令しているかのようにあっさりと言った。
「その恥ずかしそうな顔、処女って感じでとってもいいよ。パンティを脱ぐ時も、腰を小さく振りながらゆっくり脱ぐんだぞ。手で隠したりしたら許さないからな。」

 「・・・は、はい・・・」
真っ黒なフィルムで遮られているのに、どうしてそこまで細部にこだわるのか・・・梨沙は不審に思いながらも言うとおりにするしかなかった。見えない部分でも手抜きがあったらいい写真は撮れないということなのだろう・・・そう思って納得するしかなかった。

 それからの数分間は、梨沙にとってまさに恥辱地獄だった。100人もの男達の目の前で、最後の一枚を脱ぎ、秘部を丸出しにする・・・梨沙は黒いフィルムを必死に見つめ、向こう側が全く見えないことを何度も確認した。そしてまた、苛立った野々村に急かされた梨沙は、ついにパンティの両側に手をかけ、ゆっくりと下ろし始めた。

 そして、名門校の生徒会長、ショートカットの美少女のフィルム越しストリップショーは、いよいよ佳境を迎えていた。手で隠すことを許されない美少女は、脚をカタカタと震わせながらゆっくりと両手を下に下ろしていた。そしてその動き方、顔の引きつり方から、まさに秘部を剥き出しにしている瞬間もギャラリーには丸わかりだった。あのフィルムの向こうで今、梨沙ちゃんは全てを晒している・・・男達は喉がカラカラになるのを感じながらシャッターを切り、ビデオを録画していった。

 そして梨沙が腕を下ろし続けると、今度は次のお楽しみが待っていた。フィルムの囲いの下側から、脱ぎ立ての生パンティが見え出していたのだ。野々村の厳しい指示を受けていた梨沙はその手を止めることもできずに下ろし続け、両方の足を上げて、ついに完全にパンティを脱ぎさった。再び野々村の指示を受け、梨沙は引きつった笑顔で会場の男達を見回した。そして手に持っていたパンティを高く掲げ、会場の全員から見えるようにした。

 「こ、これが、た、谷村、梨沙の、脱ぎたて、パンティです・・・」
梨沙はそのパンティを素早く丸めると、高々とプールの方向に向かって放り投げた。おおおっという大歓声と共に、プールの男達は飛んでくる梨沙のパンティを奪い合った。そして一人の男がそれを掴むと、広げながら高く掲げた。股布の部分までがはっきりと晒され、梨沙は倒れそうなほどに頭がクラクラするのを感じた。プロのカメラマンの声と雰囲気に飲まれたとは言え、自分は何ということをしてしまったのか・・・しかし黒いフィルムの囲いの中で素っ裸になってしまった梨沙は、もはや後悔しても手遅れの状況に追い込まれていた。

 そして、思いがけない素材に出会った野々村は、ゲームのことなど忘れたかのように撮影に没頭した。フィルム越しで全裸になって恥じらう美少女、というシチュエーションでいかに魅惑的な写真を撮るか・・・両手を頭の後ろで組ませたり、腰に当てさせたり、後ろを向かせたり、両手で身体を隠させてみたり・・・時間にすれば5分程度だったが、うん、可愛いよ、いいよいいよ、そうそう、最高っ・・・これぞプロの写真家という調子でおだてながら次々と写真を撮るその様子は流石と言えば流石だった。

 「・・・うん、まあ、これくらいかな・・・あ、ああ、ごめんごめん」
野々村が観客と他のアイドル3人に今更気づいたような顔をして謝ると、緊張が解けたギャラリーがわっと笑った。
「いや、この子が・・・梨沙ちゃんがあんまり可愛いもんだから・・・ほら、いいと思わない、処女を失うおののきって感じのこの表情!」

 「いやいや、これぞ写真家野々村隆史、素晴らしい撮影の様子を見せていただきました。ね、皆さんも勉強になったでしょ?」
司会の水原がそう言うと、プールの男達は大きな拍手で応えた。
「梨沙ちゃんはどうだった、気持ち良かったでしょ?」

 「え?・・・はい、あの・・・ええ・・・」
突然振られた梨沙は困惑しながら答えた。確かに、こんなに褒められながらシャッターを切り続けられると、どこかいい気持ちになり、裸を撮られてもいいような感覚がしてしまったのは確かだった。しかしその興奮が醒めつつある今、再び全裸で立たされている羞恥が全身を駆け巡り始めていた。そして全裸の身体に、K附のトレードマークのリボンを着けたままであることが梨沙に更に羞恥をもたらしていた。
「あ、あの、それでは、水着を・・・」

 「ああちょっとその前に」
水原は軽く手を挙げ、梨沙の言葉を遮った。そしてプールの男達の方を見て言った。
「それではここで、皆さんからもポーズのリクエスト、いただきましょうか・・・そうですね、それじゃあ各アイドルのファンから1ポーズずつ、4つのポーズを受け付けることにしましょう。」
え、そんな、という梨沙の抗議の声は、またもや歓声にかき消されてしまった。

 そして、フィルム越しの全裸撮影会が再開されることになり、最初は梨沙のファンからのリクエストに応えることになった。
「それじゃあ、バスケットボールでシュートをするところ、撮らせてください。」
一人の男がそう言うと、皆がやんやの歓声で応えた。

 「え、バスケット・・・?」
ひどい、いくらフィルム越しだからと言ったって、全裸でバスケットをして見せろだなんて・・・自分が一生懸命打ち込んでいた部活を冒涜されるような気がして、梨沙はカチンときた。しかし下からころころとボールを転がされると、それを受け取らない訳にはいかなかった。逆らったら何をされるのか・・・囲いを引っ張られたりしたら完全に終わりなのだ。やるしかない・・・
「は、はい、分かりました・・・」
梨沙は唇を噛みながら、ボールを両手で持ち、シュートのポーズを作った。

 実際にシュートを打つ前に、打つ瞬間のポーズでストップするように指示された梨沙は、そのまま止まって散々撮影されることになった。部活の最中だったら何でもないそのポーズも、全裸でボールを構え、乳房も秘部も丸出し、少し尻を後ろに突き出していると思うと、顔から火が出そうに恥ずかしいポーズだった。しかも意地悪なことに、その格好で回って見せるように言われ、梨沙はそのポーズを360度から撮られることになった。そして最後、フリースローを放つようにそのボールをプールの男達に向かって放つと、カシャカシャカシャ、という連写音の後、大きな拍手が起こった。

 次は、千里のファン達からのリクエストに応えることになった。そしてその中の一人が、若干意地悪な笑みを浮かべながら言った。
「じゃあ次は、頭の後ろで両手を組んで、太股の間でバスケットボールを挟んで立つポーズ、撮らせてくださーい。」
その瞬間、他のアイドルのファンからは爆笑が起こった。

 「ちょ、ちょっと待ってください!・・・そんなポーズ、できません」
さすがの梨沙も鼻白んで言った。それは、全裸の身体を見せつけながら、脚をがに股に開いて股間を晒し、その下にバスケボールを抱える、というあまりに恥辱的なポーズだった。ひどい、そんなの、絶対に、いや・・・

 「いやいや、いいじゃないか。おもしろいよ、それ!」
梨沙の剣幕に一瞬静まった会場に、屈託のない大きな声が響いた。それは野々村の声だった。
「梨沙ちゃんもそんなに怒らないで。そういう意外性から、写真の新しい可能性って広がるものなんだよ。」

 「・・・は、はい、分かりました・・・」
梨沙が小さな声でそう言うと、おおっという小さなざわめきが響くのが聞こえた。この会場の中で、唯一自分の味方をしてくれそうなのは、野々村であるような気がしていた。その野々村に逆らうことはできない・・・別に、裸を見られる訳ではないのだし・・・梨沙は必死に自分に言い聞かせた。

 その1分後。梨沙は耳や首までも真っ赤に染め、命じられたポーズをとっていた。両手を頭の後ろで組み、太股を大きく開いてバスケットボールを挟み込んでいた。あまり脚が開かないように、最初は膝の間にバスケットボールを挟んでいたが、野々村が容赦なくダメ出しをして、股のすぐ下で挟むようにさせられていた。
 黒いフィルム越しとは言え、大勢の男に凝視される中で乳房を丸出しにして、股を開いて立っているのは、高2の女の子にとって死にたいくらい恥ずかしいことだった。

 「・・・た、谷村、梨沙、・・・K大附属高校2年の16歳・・・バスケが、大好きです・・・」
吹っ切れるため、という理由で恥ずかしい台詞までも大声で言うように野々村に命令され、梨沙のプライドはぼろぼろになりかけていいた。さらにそのポーズのまま一回転するように命じられた梨沙は、がに股になった状態の可愛いお尻を会場に向けることになった。
(う、嘘よ、こんなの・・・で、でも・・・別に、見られては、いないんだから・・・い、いやあ・・・)
強がる理性と羞恥地獄に悶える気持ちとの間で翻弄され、梨沙は目の前がぼうっとしてきていた。


 そしてすっかり、フィルム越しならどんなポーズをさせても良い、という雰囲気が醸成されてしまった中、3番目の彩香のファン達からのリクエストが会場の男から告げられた。
「それじゃあ今度は、Y字バランスのポーズ、して見せてください。それから、その格好で一回転して見せて。」
余りに思い切ったリクエストに、他のアイドルのファンは一瞬静まり、次にやんやの喝采に沸いた。

 「・・・っ!! そ、そんなの、おかしいです・・・許してください・・・」
真っ赤だった梨沙の顔が、一気に蒼白になった。全裸でY字バランスなんて・・・それは、剥き出しの股間をぱっくり開いて見せつけろ、と言っているのと同じだった。いくら、間にフィルムがあるからって・・・いや、薄いフィルムが一枚しかない状況で、素人の女子高生が性器を開いて丸見えにするなんて、できる筈がなかった。
「無理です、そんなこと、できません・・・」
梨沙は野々村の目を見て訴えた。

 しかし、できないと言って許されないのが今の梨沙の立場だった。
「できないって・・・君、Y字バランス、できるよね。確かバレエの経験があるって手紙に書いてあったけど。」
野々村は梨沙の羞恥心など全く意に介さない様子であっさり言った。
「あのね、モデルがポーズをいちいち選んでいたら、写真なんて撮れないんだよ。それに、裸を撮られる訳じゃないんだろう?」
そうよ、さっきまで調子に乗っていろいろポーズ取ってたくせにい、いつまで待たせるんですかあ、とアイドルの卵達が揶揄する声が続いた。

 そして、もともと今の梨沙に実質的に選択肢はなかった。(よ、芳佳ちゃん・・・大丈夫だよね、この写真が公開されても・・・絶対これで、上にいるのが誰か、分かるよね・・・)梨沙は内心で必死に話しかけながら、ゆっくりと右の太股を上げていった・・・

 「あ、梨沙ちゃんごめん。どうせだから横を向いてよ。それでさ、右足が会場の側に来るようにして。」
プールの男が軽い調子で言って皆を笑わせた。


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