PART 31(bba)

 ようやく解放された梨沙は、制服姿に戻って遊園地の正門から出た。しかし、下着は取り上げられたままだったので、ノーパンノーブラだ。梨沙は頬を朱に染め、うつむききながら駅の方に向けて歩き出した。

 その時、隣に急に白いバイクが止まり、梨沙は思わずびくっと肩をすくめた。
「梨沙ちゃん、大丈夫!?」
そのバイクに乗った男は大きな声を出すと、ヘルメットのシールドを上げた。

 「・・・え、柏原くん?」
突然の同級生の登場に、梨沙はきょとんとしてその顔を見つめた。そして、慌てて両腕で胸をかばった。
「ど、どうしたの、バイクなんか乗って。何してるの?」

 「い、いやあ、その・・・」
柏原はなぜか言葉に詰まった。
「谷村こそ、1人で遊園地に来たの?」

 「・・・え?・・・ち、違うわよ、友達と来たんだけど、ちょっとはぐれちゃって・・・」
梨沙もまた、たどたどしい言葉で答えた。
「ねえ、バイクでゆっくりついて来られると迷惑なんだけど。またね。」
梨沙はわざと冷たく言った。

 「あ、まあ、そうだけどさ・・・」
スタスタ歩き出そうとした梨沙に、柏原は慌てて声をかけた。
「よかったら乗っていかないか? これから帰るんだろ?」

 「え?・・・でも・・・」
その言葉に一瞬惹かれた梨沙だったが、慌てて首を横に振った。こんな姿で街を歩くのは恥ずかしかったが、バイクに乗るにはもっと恥ずかしい格好をしなければならない。そのためには高く上げて大きく股を開くことになるが、今の梨沙はノーパンなのだ。それに、こんなに身体がじんじんした状態でバイクの座席に剥き出しの秘部を押し付けたら、またおかしくなってしまう。それに、ノーブラの胸を柏原くんの背中に押し付けることになる・・・!
「ごめん、ちょっと途中の駅でも用があるの。ありがとう、じゃあね。」
梨沙はにっこり笑顔を見せながら、きっぱりと言った。

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 その日の夜、梨沙は怯えながら過ごすことになった。今日撮られてしまった写真やビデオは公開されてしまうのか。終わりの時に、「罰ゲームはまたの機会に」と司会者に言われたような気がするのだが、また呼び出されるのか・・・

 すると、急に帰ってしまったことを心配した芳佳から電話がかかってきた。梨沙はできるだけ正直に話した。
 急に岩本に誘われ、芳佳に相談できなかったこと、遊園地のプールで大勢の男の前で下着になり、雲梯をさせられ、囲いの中で全裸になってスクール水着への着替えをさせられ、後ろ手に拘束されて丸太渡りをさせられ、途中で破れかけたため、プールの中で黒い紐ビキニに着替えさせられ、その格好で丸太渡りをさせられたこと・・・

 しかし、あまりに恥ずかしいことは少し省いてしまった。囲いの中で全裸にされた時にY字バランスなど恥辱ポーズをさせられたこと、雲梯や丸太渡りでは恥ずかしい部分に水鉄砲を当てられて喘ぎ声を出してしまったこと、プールの中での着替えを男達にされて身体中を触られてしまったこと、秘裂の中に異物を挿入されてしまったこと、乳首とクリトリスを責められて丸太の上で何回も失神してしまったこと・・・いくら親友が相手でも、さすがに言えなかった。

 梨沙の話を一生懸命聞いてくれた芳佳は、深く同情してくれ、岩本や野々村に対しての憤りを共感してくれた。
「梨沙ちゃん、本当に辛かったと思うけど、よく頑張ったね。そう、カメラマンの野々村さんがいたのね・・・たぶん、それはすごく大きなヒントになるわ。それから、その3人のアイドルの卵の子の名前、覚えてる?」

 その名前を聞いた後、芳佳はしばらく黙り込んだ。そして最後に言った。
「そう・・・たぶん、これで黒幕が分かると思うわ・・・だけど、話をどうつけるかを考えなくちゃいけないから、もう少し、頑張って・・・その間に、きっと脅してくると思うけど、遊園地での写真とビデオ、全部公開されても大丈夫?」

 「・・・う、うん、大丈夫・・・平気よ、それくらい。」
梨沙は精一杯の強がりで答えた。

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 翌週の月曜日、梨沙は恐る恐る登校したが、いつもと変わらない生徒達の雰囲気にほっとした。どこかでこっそり公開されたり、メールで送られたりはしていないみたい・・・

 しかし、教室で岩本の姿を見たときは梨沙の表情が強張った。写真撮影だと言って、あんな破廉恥なイベントに参加させて、後は知らんぷりで帰ってしまった男・・・そらに、自分のあの時の痴態をどこまで見ているのか・・・

 「おいおい、なんだよ、朝から睨まないでくれよ、怖いなあ。」
梨沙の視線に気付いた岩本は、おどけながら近寄ってきた。そして小さな声で囁いた。
「大丈夫、梨沙ちゃん? 何回も寝ちゃったみたいだけど?(笑)」


 その週の水曜日、梨沙が恐れていた事態が起こった。

 昼休み。弁当を食べ終わった梨沙が本を読んでいると、隣の2組から複数の男子が入ってきて、1組の男子達にそれを見せた。そして意味ありげな視線で梨沙の方を見つめた。2組の男子の顔はにやつき、1組の男子は困惑した表情を浮かべていた。
「ちょっと、何か用?」
まさか・・・嫌な予感に内心怯えながらも、そんなにじろじろ見られて反応しないのも不自然なので、梨沙は仕方なく男子達の方を見て言った。他のクラスメイトも一斉に反応して注目を集めてしまった。

 すると、2組の男子のうちの木戸が、その雑誌を抱えて梨沙の方に歩いてきた。その雑誌は男性向けのもので、表紙には乳房がこぼれそうなほどの際どいビキニの女性が映っていた。タイトルは大きく「アイジュニ」と書かれていた。
「お前さあ、こんな写真撮らせちゃって、よく涼しい顔してられるなあ?」
木戸はそう言うと、雑誌を大きく開いて梨沙の机に置いた。周囲にいた女子もついその雑誌を覗き込んだ。

 そして次の瞬間、梨沙は息を呑んで絶句し、二人の女子は悲鳴を上げた。
「きゃあ、何、これ!」
「嘘、やだ! どうして、梨沙ちゃん!?」

 その見開きの右側のページは4コマ割になっていて、梨沙の制服姿、上半身ブラジャーだけ、ブラとパンティとリボンだけの下着姿、下着姿でバスケのゴールを放つシーン、が載っていた。そして、左側のページは、梨沙が小さめのスクール水着で後ろ手縛りにされて丸太に大股開きで跨がり、アイスキャンディを頬を膨らませてすっぽりと奥まで頬張っている1枚の写真だけが大きく載っていた。
『アイジュニの超新星、谷村梨沙ちゃん、新人対抗大運動会で見事人気投票1位!』
・・・それが、その恥辱写真の上に大きく書かれたコピーだった。

 女子達の黄色い声に反応し、ちらちらと気にしていたクラスメイト達が堪えきれずに集まってきた。
「おおっ、すっげえ、これ!」
「本当に梨沙ちゃん?」
「このスクール水着、小さくない?」
「ああ、しかも乳首が浮き出てる!」
「お尻もちょっと見えてるよね、これ」
「アイジュニって、正式名称アイリス・ジュニアで、要するにAV系の着エロメーカーだよなあ(笑)」
「この制服とリボンと水着って、学校名バレバレじゃん、梨沙ちゃん、大胆だね・・・」
いつもは仲良しのクラスメイトだったが、憧れの美少女のあまりにエロチックな写真に、すっかり欲望を剥き出しにしていた。

 そしてその騒ぎはあっという間に学校中に広がり、その画像はスキャンされて送信・転送され、午後には皆の携帯に保存されてしまった。

 「ねえねえ、梨沙ちゃん、緊急全校集会、した方がいいんじゃない?」
「そうそう、みんな混乱してるわよ。性の商品化反対の筈の梨沙ちゃんが、エッチな雑誌でこんな格好してるんだもんね。」
ゆきなとみどりの目は好奇にきらきらと輝いていた。
「ほら、その次のページの画像を送ってあげたから、それもよく読んでおいた方がいいよ。ま、知ってるかもしれないけど。」

 そして半ば強引に緊急全校集会が開催させられることになった。心配そうに、あるいは意地悪な顔で質問してくる同級生達に対し、梨沙は全部、全校集会で話すから、と言って先送りにするしかなかった。芳佳に頼りたかったが、岩本の目があると思うとそれもできなかった。

 5時間目と6時間目の授業中、梨沙はどうしたらいいか必死に考えた。
 ゆきなが送ってきたページを読むと、そこには以下のことが書かれていた。

・今回の運動会は、アイジュニの熱心なファン100人を招いて行ったもので、1位になると雑誌のグラビアに大きく載り、更に優先的にDVDデビューすることができる
・突然応募してきた梨沙は、大胆な下着ストリップや擬似騎乗位、アイスキャンディで擬似フェラを披露し、大逆転で一位になった
・この雑誌の反響が大きければ、近日中にDVDを発売予定。まだ未公開の、遊園地でのもっと過激なシーンの動画や、学校内でのストリップなど、過激なシーンが盛り沢山!
・梨沙のプロフィール。某有名私立校の生徒会長であること、バスケ部のエース、スリーサイズ、付き合った男の子はゼロ・・・
・他の3人の順位と写真、プロフィールは隅に小さく掲載

 ある意味で梨沙にとって幸いだったのは、それ以外の写真や動画が掲載・公開されていないことだった。もちろん、乳房や股間をやっと隠すだけの姿を公開されてしまったことは死ぬほど恥ずかしく感じられたが、それは、芳佳との約束通りで、覚悟していた筈・・・他の写真や動画が公開されたって、絶対に負けない・・・

 梨沙が内心で必死に言い聞かせていると、メールが着信した。
『梨沙ちゃん。芳佳です。こっちを見ないで読んでね。
 緊急全校集会、辛いと思うけどやった方がいいと思うわ。そこで、梨沙ちゃんがどうしてあの写真を撮られたか、本当のことを丁寧に説明するの。そしたら皆も分かってくれると思うし、梨沙ちゃんが脅しに屈しないと思ったら、あっちもそれ以上のことはできなくなると思うの。そのDVDが最後の切り札だとしたら、簡単には実行しない筈。
 もうあっちの黒幕は分かったから、探そうとしてたことを話してもいいわ。もう少しであっちのトップと交渉できそうだから、頑張って、梨沙ちゃん!』

 そしていよいよ放課後になり、梨沙は緊急全校集会に臨んだ。
 演台に立って前を見ると、そこには全校生徒の九割近くが出席しているようだった。さらに教員も後ろの方にいて、そのほとんどが顔を揃えていた。

 「皆さん、今日は私の個人的な事のために緊急全校集会をさせていただいてしまって、ごめんなさい。・・・あの雑誌に掲載された写真は、全て私のものです。合成ではありません。」
梨沙が頬を赤らめながらも落ち着いた口調でそう言うと、ざわざわした空気が収まり、意地悪な視線も和らいだ。
「・・・ただ、そうなってしまった事情があるんです。それを今から全部、話しますので、どうぞ、聞いてください・・・」

 そして、梨沙はできるだけ冷静に、事実を話した。ショウブ堂の背後の真の黒幕を見つけなければ根が断てないと思い、囮になろうとしたこと、その過程で試されて、体育館で下着になりバスケをさせられ、撮られてしまったこと、さらに有名カメラマンに撮らせてあげると騙されてアイジュニの水上運動会に参加させられてしまったこと、下着までは我慢しようと思っていたら、思いがけず恥ずかしいことまでさせられ、雑誌に載せられてしまったこと・・・

 梨沙の衝撃の告白に、全校生徒と教師はすっかり静まって耳を傾けていた。


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