PART 32(bba)

 一通りの梨沙の話が終わると、シーンとなっていた校庭は、今度はひそひそ話の声に包まれた。
(だけどさあ、先生に頼れば良かったんじゃないの?)
(ばか、それが頼りないから自分でやったんだろ。そうとは言えないけど。)
(でも、下着まで公開されてまでするかあ、そんなこと。本当は嬉しいんじゃないの(笑))
(正義感が強すぎるんだよな・・・そこがすごくいいところだけど・・・)
(ま、おかげで梨沙ちゃんのこんなエロ写真手に入ったしな。ほんと、おっぱい大きくて、ケツもプリプリだよな(笑))
(どうせなら、黒幕さんも下着で全校集会するように脅してくれれば良かったのに)
(ちょっとあんた達、いい加減にしなさいよ!)
(でも、ああ言ってるってことは、もう黒幕が分かったんだろうな。勝算があるんだろ)
(ああ、さすがにこれ以上は可哀想だもんな。)
(でも、もっと恥ずかしい姿っていうDVD、見たくないか?)
(俺、予約しちゃおうかな(笑))

 「おい、そこの男子、いい加減にしろ!」
突然、壇上から低い男の声が響いた。二年生の英語を担当し、梨沙の2年1組の担任の西田だった。
「みんなも静かにしてくれ。」

 「話は良く分かった。今回の件は、学校としても穏便に対処するように校長先生にお願いする。」
そう言ったところで、生徒全員が拍手をし、歓声を上げた。いいぞ、西田、とヤジが飛んだ。

 「しかし、今回の谷村の行動は決して褒められたもんじゃないぞ。囮になって潜入しようだなんて、生徒会長としてあまりにも軽率だ。」
西田がびしっと言うと、また皆が静まった。
「しかしまあ、本当によく頑張ったな。あとは先生達がなんとかするからもう大丈夫だぞ。」

 「は、はい、ありがとうございます・・・勝手なことをして、学校の名誉に傷を付けてしまい、すみませんでした・・・」
思いがけず優しい言葉をかけられ、うっすらと涙ぐむ梨沙だった。

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 思いの外うまくいった全校生徒集会のおかげで、梨沙は揶揄されたり、露骨に嫌らしい眼で見られることはなくなった。

 西田の約束通り、男性向け雑誌に掲載されてしまった件については不問に付されることになり、今後のことは、担任の西田と学年主任の富田が事情を詳しく聞き、対応することになった。

 また、雑誌を見た近隣高校の生徒が張り込んで梨沙を付け回したり、電車の中で絡まれたりしたこともあったが、柏原達生徒会の男子達がしばらくボディガードになってくれることになった。

 ただ、インターネット上の巨大掲示板に梨沙の専用スレができてしまったことは予想外だった。そこでは、運動会に参加したらしき男達が、雑誌に掲載されていない梨沙の姿を貼って盛り上がっていた。これだけは、じっと沈静化を待つしかなかった。

 あとの梨沙の気がかりは、新たな脅迫はないのか、DVDが本当に発売されてしまうのか、芳佳のお父さんのルートからの交渉はそれまでに決着しないのか、ということだった。特に、プールの中で全裸にされて男達に乳首と秘部を責められて悶えているシーンと、紐ビキニで丸太に跨がり、淫靡な3点責めで悶えて恥ずかしい声を上げ、何度も寝てしまったシーンが動画で公開されたら、と思うと、思わず身震いがする梨沙だった。

 芳佳に交渉のことを聞くと、なかなか黒幕とのアポが取れないらしいとのことだった。芳佳は、もしかしたらだけど、と前置きをした上で、相手が何か交渉材料になりそうなものを持っていて、時間稼ぎしているのかも・・・と少し心配そうに言った。

 芳佳が何か聞きたそうな雰囲気なのを察したものの、梨沙はやはり、死ぬほど恥ずかしいシーンのことを芳佳に打ち明けることはできなかった。

 ・・・しかし、そのことを打ち明けるかどうかは、後から考えれば全く問題ではなかった。遙かに効果的なネタを握られていることに、その時の梨沙は気付いていなかった。

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 そしてその翌週の月曜日。
一時間目は担任の西田の英語の時間だ。

 授業が始まって10分ほど経った時、クラス全員にメールが着信した。そして、そのメールを見た数名の男女が呻き、悲鳴をあげた。その声に皆が反応し、一斉に携帯端末の画面を見た。皆が顔を強ばらせ、そっと梨沙の様子をうかがった。

 「え、何、これ・・・う、嘘よ・・・嘘よ、こんなの・・・」
梨沙はその画像を見つめ、カタカタと震えていた。

 そのただならない雰囲気に、西田も近くの生徒の携帯を借りて、画面を見た。
「こ、これは・・・そんな馬鹿な・・・谷村、どういうことなんだ?」

 それは、以下のようなメールだった。
『From:アイリス(iris@xxx.xxx)
To:2年1組の皆様
 件名:谷村梨沙の調教のお願い
 本文:優秀なK附の2年1組の皆様。
   初めまして、アイリスと申します。この度、貴クラスの谷村梨沙が、当グループに楯突き、多大な迷惑を被っております。
   従いまして、谷村梨沙には、今から詫びを入れてもらいます。
   谷村梨沙へ。この画像をばら撒かれたくなければ、5分以内に教壇に上がり、クラス全員の前でパンティを脱ぎ、窓を開けて、投げ捨てること。また、その全てを男子の中で最も得意な者が動画で記録し、報告すること。演出はその男子に任せるが手を抜かないこと。クラスメイトと教師は梨沙から目を逸らさないこと。梨沙はカメラに向けて自己紹介とこれから何をするかの説明をすること。そして、顔をカメラに向けたままで命令を実行すること。』
メールには1枚の画像が添付されていたが、それは、梨沙がプールで3人の男に抱えられ、大開脚ポーズをとらされているシーンだった。そしてその梨沙は水着を付けていない全裸で、さらに真ん中の男に秘裂をぱっくりと開かれていた。ピンクの肉壁までもが露わになり、その襞に粘液が絡みつき、日光を反射してぬめり光っていた・・・

 「ねえ、梨沙ちゃん、こんな写真、嘘だよね? コラでしょ?」
「そうだよ、梨沙ちゃんは、下着までしか撮らせなかったんだから!」
「ちょっと、男子! 早く削除しなさいよ、そんなメール!」
「気にしちゃだめだよ、梨沙ちゃん、きっとあの掲示板に投稿してる連中の悪戯なんだから」
「そうそう、これ以上何かしてきたら、コラを作られたことを警察に訴えようよ!」
合成された全裸画像をクラス全員に送られてショックを受けている梨沙を気遣い、女子達が梨沙の周りに集まって励ました。

 「・・・あ、う、うん、そうよね。ありがとう、みんな・・・」
梨沙はたどたどしい口調でそう言いながら、頭が真っ白になりかけていた。その画像の梨沙の全裸は、自分のものとそっくりに見えたのだ。乳輪の大きさ、色、そして秘部の恥毛の薄い生え方・・・まさか、寝てしまった時に・・・画像の中の梨沙は、うっとりしたように目をつぶっていた。う、うそ、違う、これは絶対、本物じゃない・・・

 「どうした、谷村、大丈夫か?」
西田はそう言うと、梨沙が小さく頷くのを確認した。そしてクラス全体を見回し、声に力を込めた。
「よし、こんな悪戯には屈しないぞ。・・・全員、今のメールを削除しろ。女子は隣の男子が削除したかちゃんとチェックしろ、いいな。」

 女子達が男子達の携帯端末をチェックすると、あちこちで別のエロ画像やエロサイトが発見され、教室はしばらく喧騒に包まれた。
 しかしその騒ぎも、次のメールが一斉に皆に着信すると、潮を引くように収まった。まさか・・・生徒達は恐る恐る携帯端末でそのメールを確認した。

『From:アイリス(iris@xxx.xxx)
To:2年1組の皆様
 件名:谷村梨沙の調教のお願い(最後通告)
 本文:優秀なK附の2年1組の皆様。
   期限の5分が過ぎましたが返信がありませんでした。
   従って、貴校の生徒会HPに先ほどの画像を掲載しました。ただし、今回はボカシを入れています。
   あと1回、チャンスをあげます。もし命令が実行されなかった場合、今度は添付の動画を学校HPのトップに
   掲載します。これでもアイコラと言い張れるかな?』

 その動画の内容に全員が絶句した。それは、最初は梨沙が黒ビキニで丸太の上に乗っているシーン、即ち、雑誌に一頁まるまるアップで掲載されたのと全く同じだった。
 そして動画の中の梨沙は、両方の乳首と股間に激しい水鉄砲攻撃をされ、あ、あっ、あん、と可愛く喘ぎ、顔を真っ赤にして悶え、快感に抗っていた。やがて抵抗も空しく、梨沙は、あ、あ、ああぁぁ、という声と共にぐったりとなり、失神してしまった。丸太の上に跨がって細かく震え続ける梨沙に男達が近づき、紐ビキニの上下を一気に剥ぎとった。そして、3人で梨沙の脚と腰を抱えて持ち上げ、大股開きの全裸姿を高々と掲げた。さらに、腰を抱えていた男が、梨沙の秘裂の両側に人差し指と中指を当て、ぐいっと押し開いた。梨沙のピンクの肉壁が露わになり、ギャラリーの男達の歓声が響いた・・・あはは、ぐしょぐしょに濡らしてイっちゃった、梨沙ちゃん、あそこヒクヒクさせて喜んじゃって、エロ過ぎぃ、というヤジも収録されていた。
 その最後のシーンは、最初の脅迫の時に送られてきた写真と全く同じだった。

 教室は重い沈黙に包まれた。この動画が合成ではないことは、誰の目にも明らかだった。梨沙は大勢の男達の前で無理やり絶頂に達せられ、さらに意識を失っている間に全裸に剥かれ、絶頂に達した直後の秘裂の奥までを真っ昼間の青天下で公開、録画されてしまったのだ。そして梨沙は、今までそのことを知らなかった。女性として最も見られたく無いシーンを衆人環視のもとで晒されてしまっていたことを・・・

 (・・・そ、そんな・・・これが、私の姿・・・?)
クラスメイト全員と西田に見つめられながら、梨沙は全身をカタカタを震わせていた。しかし、もはやそれが自分の姿ではないと強弁することは不可能だった。こんな動画を公開されたら、私、もう生きていけない・・・

 がっくりとうなだれた梨沙はゆっくりと席を立ち、教壇に向かって歩いていった。それはどこか、処刑台に上がる囚人のようでもあった。

 「梨沙ちゃん、やるんだね・・・それじゃあ、撮影がクラスで一番得意な男子が撮影しなくちゃいけないんだよね・・・」
岩本がそう言うと、ゆっくりと教室を見回した。そして、全員の視線が何となくうなずくのを見ると、今度は梨沙に向かって声をかけた。
「どうやら、写真部の俺が適任ってことで選ばれちゃったみたいなんで、撮らせてもらうよる。命令なんだから、恨まないでくれよ。」
岩本がそう言って立ち上がり、教壇の上に立った梨沙の正面で膝立ちになり、カメラを構えた。
「いいよ、梨沙ちゃん、それじゃあ、これから何をするかを言ってからやってね。こんなセリフで・・・」

 (い、岩本くん!・・・)
自分を罠に陥れた張本人に指示をされて、屈辱的なことをしなければならない・・・梨沙は悔しさに唇を噛んだ。
「・・・谷村、梨沙、です・・・今から、授業中の、クラスメイトのみんなの目の前で、ぱ、パンティを、脱ぎます・・・」


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