PART 34(bbbb)

 「あ、あん、あはあぁ・・・いやっ」
秘裂の中で振動するローターに堪えきれず、思わず喘ぎ声を漏らしてしまった梨沙は、慌てて両手で口を閉じた。静かな保健室の中では、その声が思いのほか大きく響いてしまったのだ。今の声、柏原くんに聞かれちゃった・・・それは、裸を見られたことよりも恥ずかしい気がした。

 梨沙は口をぐっと手で押さえながら、これ以上声が出るのを抑えた。そして、カーテンの向こうの様子をうかがったが、柏原は特に反応していないようだった。

 柏原にはひょっとして聞こえなかったのかも・・・ほんの少しの希望に梨沙はすがった。バイクに乗っていた時は、エンジンの音や野次馬の声で、私の声なんて聞こえなかったかも・・・今のうちに、これを取るのよ・・・

 オナニーなどしたことのない梨沙にとって、自分の性器の中に指を入れるのは抵抗があったが、迷っている余裕はなかった。梨沙はベッドに腰掛けたまま、少し両脚を開き、腰に回したタオルの裾から手を差し入れ、股間に指を沈めていった。
「・・・ふ、ふぁぁんっ・・・あぁっ」
無理に我慢したために変な声が漏れてしまい、梨沙は赤面した。右手の中指を入れたのだが、それが秘裂の中のローターを押し込んでしまったのだ。

 梨沙ははっとしてカーテンを見たが、向こうにいるだろう柏原の反応は感じられなかった。まだ、大丈夫よ、きっと、気付かれていない・・・梨沙は頬が熱くなるのを感じながら、秘裂に入れた中指で、中のローターの様子を探った。
「・・・は、はっ、はぁぁ・・・くっ・・・」
熱い息と小さな掠れ声が漏れたが、梨沙はさらに指を動かしてみた。
(え、これじゃあ、取れない・・・どうしたらいいの?)
梨沙は困惑した。ローターのうちの膣口側の面をひととおり触ってみたのだが、それは卵を縦長に伸ばしたような楕円形をしていて、掴んだり、引っかけたりするような部分はなかった。何とか、膣壁とローターの間に指を潜り込ませ、かき出すように取るしかない・・・でも、そんなことをしたら・・・自分はもっと感じてしまうのではないか・・・梨沙は柏原がいるであろうカーテンの方をちらりと見た。

 ・・・それは、アイリス側の意地悪だった。プールの中で梨沙の秘裂にローターを入れた男は、わざと取っ手のある方から挿入していたのだ。そのため、入り口側はまったく手がかりのない状態になっていた。もちろん、そのような器具のことは知らない梨沙には知る由もなかった・・・

 「あ、あ、あんっ・・・」
指でぐっと押してしまったため、振動するローターに今までと違う部分を刺激され、梨沙は思わず声を漏らしてしまった。
(は、早くしなくちゃ・・・このままじゃ、私、おかしくなっちゃう・・・お願い、柏原君、聞かないで・・・)
梨沙は覚悟を決めると、ベッドに腰掛けたままで両脚をがばっと、120度くらいに開いた。そうなると、腰に掛けているタオルは股間を隠す役割を全く果たさなくなり、梨沙はベッドの上で露出している自分の秘部を見て赤面した。やだ、私、なんて格好してるの・・・ここは学校なのに・・・

 今の梨沙は、素っ裸の身体に2枚のタオルをまとっていた。一枚は胸を隠し、もう一枚は腰に掛けられていた。そして、胸を隠すタオルの下からは下乳が覗き、下のタオルからはすっかり太ももと秘部が露出していた。ベッドに腰掛けながらそんな格好をするということは、カーテンの向こうの柏原にこの痴態の正面を向けるということだった。
「あ、あ、ああっ・・・柏原くん、絶対に、カーテン、開けないでね・・・あ、あはぁ」
逆効果になるとも知らず、喘ぎながら梨沙はそう言うと、ゆっくりと中指を押し込んでいった。


 そして梨沙の切なそうな声での懇願は、もちろん逆効果だった。
「あ、ああ、分かったよ、梨沙ちゃん。」
そう言いながら、柏原の喉はからからになり、じっとカーテンを凝視していた。梨沙ちゃん、どうしちゃったの?・・・

 梨沙は気付いていなかったが、大きめの窓から入っている外からの光と、ベッドの横の壁に掛けてある大きな鏡の関係で、梨沙の姿は影絵のようにカーテンに映っていた。柏原から見ると、陰絵の梨沙は、がばっと脚を開いて、手を股間に這わし、顔を仰け反らせて快感を味わっているように見えた。あ、あん、あはあ・・・という熱い吐息と喘ぎが微かに聞こえて来るのが、あまりに淫靡だった。

 梨沙は知らないうちに、薄いカーテンを挟んで至近距離にいる男性に向けて、オナニーショーを演じることになってしまっていた。影絵の腕の部分が動くと熱い吐息が漏れ、身体がくねくねとしなっている・・・脚は大きく開いたまま、時々びくびくと震えている・・・
 それは、女子と付き合ったこともない男子高校生にとって、余りにも刺激的な光景だった。しかも、その影絵オナニーを演じているのは、高校入学時に初めて見てから、ずっと惚れていた、憧れの美少女なのだ・・・柏原は、股間の隆起を押さえることができなくなっていた。このカーテンを開けて、梨沙の全てを見てみたい・・・脳裏には、遊園地の入り口でほんの一瞬だけ見た、梨沙の全裸が鮮明に浮かび上がっていた。白い乳房、淡いピンクの乳輪、小さめの乳首、淡い恥毛・・・影絵に梨沙のヌードが重なり、その恐ろしく淫らなイメージに、柏原はびくっと震えた。駄目だ、絶対、カーテンを開けちゃ駄目だ・・・


 「・・・あ、あっ、ああん・・・く、く、くぅぅぅっ・・・い、いやっ・・・はぅぅぅ・・・」
梨沙は結局、ローターと膣壁の間にあちこちから中指を差し入れようとして悉く失敗し、結果的に、ローターで膣の奥のあちこちを刺激し、中指でも膣壁を抉ることになってしまった。
「あ、あっ、あんっっっ!」
電流のような快感が脳天までを貫き、ついに梨沙は大きな悲鳴をあげた。き、気持ちいい・・・私、おかしくなっちゃう・・・絶頂を体験したことのない梨沙は、未知の快感に怯えた。

 「り、梨沙ちゃん、大丈夫っ!?」
驚いたのは柏原も同じだった。ついいやらしい目でカーテンの影絵を見ていたが、今の悲鳴は尋常なものではなかった。まさか、身体がどこかおかしくなっているのか? ひょっとして、アイリスに何かされたのではないか、助けた方がいいのではないか・・・

 「だ、大丈夫! 来ないでっ!」
梨沙の拒絶する声がはっきり聞こえた。
「・・・ご、ごめん・・・でも、大丈夫だから・・・あ、あぁ・・・お願い、気にしないで・・・」

 「あ、ああ、分かった・・・何かあったら、呼んでくれよ・・・」
柏原はそう言うのが精一杯だった。影絵の梨沙は、胸を隠すタオルが落ち、身体が捻られる度に、乳房の優美な曲線の一部までが見えてるようになっていた。

 「う、うん、・・・あっ、あはぁっ・・・」
柏原くん、部屋から出てくれればいいのに・・・梨沙はそう思ったが、一人で残されるのも不安なので、そう言うこともためらわれた。
「・・・あ、ああ、いやっ・・・はあぁ・・・」

 もう、なりふり構っていられない・・・梨沙はベッドに横たわると、がばっと脚をがに股に開き、左手の人差し指と中指を秘裂の両側に開いた。そして、ぱっくりと開いた穴の中に、右手の中指をぐいっと押し込んだ。
「あ、ああぅっ!」
完全な逆効果に、梨沙は柏原の存在も忘れて悲鳴をあげた。ローターはずっと奥に押し込まれ、その突起は周囲の膣壁を強く抉った。
「あひっ、ひいいっ・・・だ、だめっ、いやぁっ! あっ、あぁん・・・」

 「梨沙ちゃんっ、大丈夫!?」
切迫した悲鳴を聞いて、柏原はたまらずにカーテンの向こうに声をかけた。カーテンに映っている影絵は、梨沙が横たわって足を開き、股間に手を入れて悶えている姿を意地悪にもはっきり示していた。横になっても崩れない乳房の全体像もばっちりだ。あまりに卑猥な姿と、尋常ではないよがり声に、柏原もパニックになりかけていた。それは、普段の清楚で理知的な梨沙のイメージとあまりにかけ離れていた。

 「だ、だっ、大丈夫っ・・・あ、あぅぅ・・・き、気にしないで・・・何でも、ないから・・・」
梨沙は必死に言ったが、もはや喘ぎ声を我慢することはできなかった。中指でローターを取ろうとするたびに奥に押し込んでしまい、もはやどうしていいか分からなかった。気がつくと、右手には愛液でべっとりとまとわりついていた。
「・・・く、くぅぅっ・・・ち、違うの、これはっ、・・・あ、あひぃ、いっ、いっ、いぃぃ・・・」

 梨沙は指でローターを取るのを諦め、下半身から手を離すと唇を噛み、いきむように股間に力を込めた。何とか、秘裂の内側から、外に向けて押し出すしかない・・・すると奇跡的にも、ぬるっとローターが外側に押されたような気がした。
「は、はあ、はうう・・・あ、あ、あはあっ」

 もう、限界が近いのが自分でも分かった。とにかく、柏原くんに見られる前に取り出さなくちゃ・・・それだけが、今の梨沙のせめてもの意地だった。
「あ、あっ、あぅぅっ」
梨沙はベッドに横たわったまま、直角に曲がる位に膝を立て、足を伸ばして腰を上に振った。腰を突き上げる瞬間に股間に力を入れ、さらにローターを押し出そうという作戦だった。
「は、はっ、はぁぁ・・・んんんーっ」
梨沙は呻き声と喘ぎ声を同時に上げながら、その動作を何度も続けた。そのたびに、少しずつローターが抜けてきているような気がした。しかし、それは同時に、梨沙の官能も刺激していた。き、気持ち、いい・・・早く出さないと、おかしくなっちゃう・・・もう少し、なめらかになれば・・・カーテンの向こうの柏原が息を呑んで自分を見ているのをはっきり感じ、梨沙は焦った。

 もっと、濡らさなくちゃ・・・今まで感じたことのない快感と羞恥が、梨沙の判断力を奪いかけていた。梨沙は、さらに秘裂の中に愛液を溢れさせるべく、左手を上げ、左の乳房を包んだ。そして少しためらった後、その手を動かし、ゆっくりと乳房を揉み始めた。
「・・・あ、あ、あんっっ・・・」
新たな刺激に、梨沙は甘い声を漏らして喘いでしまった。こ、この調子よ・・・梨沙は左手で乳房を揉み込みながら、今度は右手の中指をクリトリスに当てた。そこは、少しシャワーが当たっただけで、すごく感じてしまうところだった。そこに指を当てたら・・・
「・・・あっ!、あ、あんっ、あんっ、あぃぃぃっ・・・」
感じたことのない鋭い快感が一気に突き抜け、梨沙は両脚をぴーんと突っ張らせて悶えた。その結果、梨沙の腰は宙高く跳ね上がり、海老ぞりになってびくびくと震えた。
「い、いぃ、いーっ・・・あっあっあっ、あぁ・・・」


 (・・・梨沙ちゃん・・・一体どうして・・・すごい、こんなの・・・)
もはや我を忘れて悶える梨沙の姿の影絵を見続け、部屋中に響き渡る梨沙の嬌声を聞いていた柏原は、下半身の興奮を抑えるのに必死だった。憧れだった女の子が、薄いカーテンの向こうで素っ裸になり、激しいオナニーショーを演じているのだから、それも無理はなかった。梨沙は今、片手で乳房を揉み、片手で股間を弄り、がに股で海老反りになって快感を貪っている・・・

 その、海老反りオナニーは1分以上続いた。そして梨沙の声はどんどん高く、細く、切迫したものになっていった。
「あ、あ、だ、だめ・・・い、いぃぃ・・・あ、あん、あぁん・・・う、うぅぅぅ・・・あ、あ、あああっっ!」

 (おかしい、こんなの、絶対に・・・!)
初めて女性が快感に乱れる声を生で聞いた柏原は、それが何を意味しているか、正確に判断できなかった。あの、いつも清楚で凛としていた梨沙ちゃんがこうなるなんて、おかしい・・・やっぱり、アイリスに変な薬を使われた!?

 柏原が最悪の事態を想像して戦慄した瞬間、一際大きな悲鳴が響いた。
「あ、あ、だ、だめぇ・・・り、梨沙、もうだめぇ・・・あ、あはぁん・・・た、た、助けてぇっ!」

 最後の言葉が、柏原に最後の一押しをした。助けて、という言葉を聞いた瞬間、柏原は椅子を立ち上がり、目の前のカーテンをばっと開いた。
「・・・っ!・・・り、梨沙ちゃん・・・」
影絵で見ていたとは言え、目の前の光景はあまりにも衝撃的だった。

 梨沙は今、何も身に纏わない素っ裸で、ベッドに横たわっていた。そして、全身がうっすらと汗にまみれ、頬は熱でもあるかのように真っ赤になっていた。可愛い唇は半開きになり、熱い吐息と喘ぎ声を発し続けていた。いつもは大きく見開かれた美しい目は、今はぼうっと霞がかかったようにうっとりとしていた。そして左手では乳房を激しく揉み続け、時折乳首を親指と人差し指で挟んでいた。右手は秘裂の上の方、クリトリスを擦っていた。そしてがに股の足を上下させ、腰を上下に振り続けている・・・

 「り、梨沙ちゃん、大丈夫!?」
柏原は思わず大声を出した。まさか、梨沙ちゃん、おかしくなっちゃっている!?
「梨沙ちゃん、しっかりしてっ!」

 その声を聞いた梨沙は、ぼうっとしていた目を柏原の方に向けた。そして、カーテンの向こうにいるはずの男子が目の前にいると悟ると、その瞳ははっと見開かれ、口が大きく開いた。
「・・・え?、か、柏原くんっ!? ・・・あ、ああん、あぅぅぅ・・・い、いや、いやっ、いやあぁぁ・・・」
しかし、限界を超えていた梨沙の性感はもはや後戻りできないところに来ていた。さらに、親しい男子にまともに見られているという究極の羞恥が、梨沙に最後の駄目押しをした。梨沙は左手と右手の淫らな動きを止められず、腰をさらに激しく上下にくねらせた。
「・・・あっあっ、あぁぁぁ・・・は、はぁ、はぁ、あぃぃぃ・・・だ、だめっ、・・・見ないで、柏原くんっ、・・・ああぁんっ・・・見ちゃだめっ、お願いっっ・・・あっあっあっ、あはぁっっ・・・梨沙、もう駄目ぇぇっっ・・・」
梨沙は海老反りに身体をぴーんと張りつめて、大股開きのままで腰を宙に突き上げ、びくびくびくっと何度も震えた。そして、腰をすとんと落とすと、眠りに落ちたように目を瞑った。両手はだらしなく左右に投げ出され、足はがに股に開いたままだった。

 それは、梨沙にとって生まれて初めての絶頂だった。


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