PART 35(bbbaa)

 「そっか・・・でも、水着くらいで済んで良かったね。それに、野々村とアイリスが背後にいるってことが分かったのは大きな収穫だよ。ひょっとしたら、そこから何とかできるかも。」
芳佳は梨沙が何かを言わないでいるのを何となく察したような雰囲気だったが、それ以上何も尋ねなかった。そして、父に話して、きっと何とかしてもらうから、もう少し頑張ってね、とさり気なく励ましてくれた。

 結局、黒幕がアイリスだと分かったのに、何もできない・・・それどころか、いつでも破滅させられるだけの弱みを握られてしまった・・・梨沙にできることは、ひたすら無事に時が過ぎることだけだった。大丈夫、私なんかを脅したって、お金にも何にもならないんだから・・・大丈夫よ、きっと・・・不安がよぎる度、梨沙は何度も自分に言い聞かせていた。


 ・・・しかしもちろん、梨沙の考えは甘かった。自分たちに昂然と刃向かった者を放置しておくほどアイリスグループはお人好しではなかった。さらに、罠に嵌めた筈のプールショーの最中に、あと一歩で脱走を許すところだったのだ。今すぐ、金にできるものは金にして、梨沙は徹底的に破滅させてしまえ、それも、最高に屈辱的な方法で、絶対に立ち直れないように・・・遊園地の連続絶頂ショーじゃ甘過ぎる・・・それが、トップの指示だった・・・

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 それからの3週間は、梨沙にとって拍子抜けするものだった。アイリスからの連絡が全くなかったのだ。やはり一般向けには公開できないから商売にならないのか、あるいは、これだけ辱めれば、もはやアイリスに抵抗できないだろうと判断したのか、それとも、芳佳の父親が手を回してくれたのか・・・梨沙はいろいろな理由を想像したが、いずれも確認する手段がなかった。また、遊園地の痴態の数々が一般に漏れたり、学校の生徒や教師が変な目で見てくることもないように思われた。何らかの内情を知っているはずの岩本も、何も言ってこなかった。

 そしてある日の授業中、梨沙の携帯端末に一通のメールが着信した。(授業中に、何だろう・・・)梨沙は机の陰で携帯を取り出した。K大附属は自由を尊重する校風なので、生徒が授業中に携帯端末を触ることを禁止していなかった。

 『梨沙ちゃんへ指令
  今すぐ、トイレに行って、おしっこすること。そしてその姿を自分の携帯で動画撮影して、このメールへ返信すること。動画は全身が映るように撮影し、顔もはっきりと見せること。おしっこの最中は、レンズに視線を向けず、自然な表情でいること。オマンコから出るところがばっちり映るように、スカートを完全に捲ること。撮影前には、笑顔でカメラに向かって「谷村梨沙です。今、授業中の学校です。これから、放尿シーンを自分で撮影します」と言うこと。スカートめくって、パンツを下ろすところもばっちり映すんだぞ。
 20分以内に返信しなかった場合、この写真を君の学校の全校生徒のメーリングリストに送るからね。』

 差出人欄には、「i」とだけ表示されていた。そして添付の写真を開くと、笑顔で両手に肉棒を握り、無毛の股間に赤い縄を食い込ませている全裸の梨沙の姿が映っていた。

 (・・・!)
ついに恐れていた事態が発生し、梨沙は息を呑み、心臓が止まりそうな気持ちになった。
(いや、いやぁ・・・許して・・・)
『ごめんなさい、できません、そんなこと。許してください、お願いします。』
梨沙は震える手で返信したが、返ってきたのは、さっきの写真のシーンの動画だった。その本文の最後には『あと17分』という言葉が追加されていた。


 ・・・その3分後。教師に許可を得た梨沙は、女子トイレに入り、しばらく逡巡していた。そんな、ここでおしっこする姿を自分で撮影しろだなんて・・・できない、そんなこと! でも、あの動画を全校生徒に送られたら、私、もう学校に来られない・・・

 いくら考えても、結論が変わるはずがなかった。命令どおりにするしかない・・・梨沙は哀しい決意をすると、携帯端末を取り出し、動画を撮影できるようにした。そして、震える手でその端末を、斜め前にある物置台に置いた。そこからこちらに向ければ、ちょうど全身が映るはずだ・・・

 やるしかないのよ・・・梨沙は小さく息を吸うと、引きつった笑いを浮かべた。
「・・・谷村、梨沙、です・・・今、授業中の、学校です・・・こ、これから、おしっこするところを、自分で、撮影したいと思います・・・」
(い、いや、こんなの・・・)想像以上の羞恥に足をがくがく震わせながら、梨沙はスカートを持ち上げていき、中に手を入れた。そしてパンティのゴムを掴み、ゆっくりと引き下ろしていく。淡い黄色のパンティを足首に絡むところまでまで脱ぎ下ろすと、腰を下ろして便器に跨がった。
(ああ、これを捲ると、アソコが全部、見えちゃう・・・)梨沙は顔を引きつらせながらスカートを根本まで捲り上げた。無毛の股間がすっかり露わになり、梨沙は全身がかあっと熱くなった。

 今、携帯端末のレンズには、下半身を露わにした自分の全身像が映っているはずだ・・・梨沙はあまりの屈辱に、わあっと叫びたいのを我慢しながら、下腹部に力を込めた。あ、ああ、出ちゃう・・・ついに股間の中心から、チョロチョロッと尿が放出された。
 自然に、自然にしなくちゃ・・・梨沙はメールの指示どおりカメラに気付いていない風を装い、さらに尿を勢いよく放出した。シャーッと透明な液体が飛び出し、便器の中に吸い込まれていく・・・ある意味、日常のことだったが、今の梨沙には、これ以上ない屈辱の時だった。

 ようやく尿がおさまると、梨沙は携帯端末に向けて引きつった笑顔を作って見せた。
「いかがでしたか、K附の生徒会長、谷村梨沙の、放尿ショー・・・次回は、オナニーショーをご覧に入れたいと、思います・・・もちろん、潮吹きオナニーです・・・」
梨沙は掠れた声でそう言い終わると、携帯端末に向かって手を伸ばし、停止ボタンを押した。

 そして梨沙には、返信する前にもう一つしなければならないことがあった。その動画を自ら再生して、きちんと指示どおりのものが映っているかを確認しなければならないのだ。
「あ、ああ、いやあ・・・」
動画はばっちり映っていたが、梨沙はそのあまりに卑猥な内容に思わず呻き声を漏らした。学校でこんなことして、私、もうおしまいだわ・・・梨沙は内心で自嘲気味に呟きながら、その動画を先ほどのメールに返信した。

 梨沙がようやく気を取り直して教室に戻ると、すぐにアイリスからのメールが着信した。
『あはは、上出来だよ、梨沙ちゃん。お上品な生徒会長さんが、授業中にオマンコ丸出しで放尿ショーを自撮り!(笑)
 これからもよろしくね。あ、その動画、絶対に削除しないでね。まあ、このまま公開したりしないから、安心してよ。』
(ひ、ひどい、ふざけないで・・・)梨沙はそのメールを見ながら、恥辱と怒り、そして怯えにわなわなと震えた。


 しかし、次の英語の授業中、アイリスの言葉とは裏腹の事態が発生した。授業が始まって10分が経過した頃、クラス全員の携帯端末にメールが着信したのだ。そして一人の生徒がそのメールを見て、素っ頓狂な声をあげた。
「お、おいこれ、マジかよ!」

 その言葉を合図に、生徒たちが一斉にメールを開いた。
「え、・・・何だ、これ・・・」
「嘘、まさか・・・」
「すっげぇ・・・」
「きゃあっ、何、これぇ・・・」
「ひどい、こんなの・・・」
「嘘、嘘でしょ・・・」
皆、短い言葉を思わず発すると、見てはいけないものを見たようなバツの悪い顔をして、メールの画面を閉じた。そして皆、ちらっと梨沙に視線を送った。

 「おいおい、どうした?」
生徒たちのただならない様子に、担任でもある西田が、最前列の生徒の端末を覗き込んだ。
「・・・こ、これは?・・・」
画面を見た瞬間、西田の表情も固まり、やはり絶句した。
「・・・ちょっと、授業を中断する。皆、自習しててくれ。た、谷村、ちょっと教員室に来てくれるかな・・・」

 メールの内容は、以下のとおりだった。
『K大附属高校の皆様。
 iと申します。この度、貴校の生徒会長、谷村梨沙さんのトイレの様子の盗撮に成功しました。
 つきましては、この写真をネタに、梨沙さんを脅迫したいと思います。脅迫の内容は、みんなの意見を参考にして決めたいと思います。以下のうち、希望するものを選んで返信してください。他にもいいアイデアあったら教えてください。(笑)
  (1)生徒総会でストリップ、全裸で演説
  (2)授業中にオナニー生中継
  (3)全裸でバスケの部活に参加
  (4)自宅から学校までストリーキング
  (5)全裸四つん這いで校内牝犬散歩』
 そして、1枚の写真が添付されていた。そこに映っているのは、トイレに跨がって大股開きになり、無毛の股間の中心から尿を迸らせている梨沙の姿だった。どこにもモザイクは施されておらず、梨沙の美貌も、秘裂も、全てが鮮明に映っていた。


 ・・・教員室で絶句している梨沙を、授業が無かった他の教員も心配そうに見ていた。トイレを盗撮され、全校にばらまかれてしまった女子高生にどんな言葉をかけたらいいのか、しかも、卑猥な脅迫内容までアンケートされている・・・たまたま校長と教頭が外出していたのも間が悪かった。

 「それは違うと思います!」
突然、教員室の扉が開き、芳佳が入ってきた。
「ひどい合成写真を作られて、谷村さん、ショックなんだと思います。」
芳佳はそう言いながら梨沙の隣に歩み寄ると、肩を軽く抱いた。
「そうでしょ、梨沙ちゃん? だって、普通、あんなにスカートめくらないもんね。」

 結局、梨沙も芳佳の言葉に頷き、放尿シーンの写真は、たちの悪いアイコラで悪質なイタズラだ、という結論に達した。その後は、その結論を前提に教師たちが迅速に対応し、全生徒のメール削除・返信の禁止・外部漏洩の禁止、が一斉に指示された。それらの策が功を奏し、少なくとも表面的には、その卑猥な写真が出回ることはなかった。


 しかしそれは、好奇心旺盛な生徒達にとって、余りにも刺激的なネタだった。特に男子の一部は、周囲の女子に強制削除されるまで、じっくりとその画像を眺め、憧れの美少女生徒会長の放尿シーンをしっかりと脳裏に刻み込んだ。

 また、あの画像が本当に合成だったのか、というテーマが密かに、しかし大きな話題になっていた。映っていたトイレは、学校のものに良く似ていたし、梨沙の表情が合成とは思えないほどぴったりだった。それに、どうやら前の授業中、梨沙はトイレに行ったらしい・・・また、警察に訴えなかったのは、検証されて本物と分かるのを避ける為ではないか・・・
 ただ一方で、あの動画を撮ろうと思った場合のカメラの位置が実地検証され、もろに視界に入る位置に置かなければいけないことが分かったり、梨沙と一緒に風呂に入った女子によると、股間にはちゃんと毛が生えていたらしいという情報があったりして、生徒達の議論は紛糾した。

 梨沙は、生徒達が皆、自分の姿をちらちらと見て、ひそひそ声で、自分の放尿写真について噂話をしているのを聞きながら、恥辱を堪えてじっと耐えるしかなかった。

 実は、梨沙だけに、次の授業中にメールが来ていた。

 『どうだい、梨沙ちゃん、全校生徒と先生方にオマンコを見られた気分は? ま、アンケートは遊びだから、気にしなくていいよ。だけど、自己紹介まで入ってる動画をばらまかれたら、今度は言い逃れできないよね。これからも、撮影協力、よろしくね。いくつかの課題、全部クリアしたら、お仕置きは終わりにしてあげるよ。』

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 一体アイリスの意図は何なのか、自分をAVデビューさせるつもりなのか、それとも、性の商品化反対を掲げてショウブ堂を潰し、アイリス映像を脅かしたことへ罰を与えるつもりなのか、あるいは他の意図があるのか・・・梨沙は悩んだが、一向に分からなかった。そのため、今後どうすべきかという対抗策も考えられなかった。何より、放尿している姿の写真が、全校生徒に送られてしまったことがショックだった。あの写真がインターネットで公開されたら・・・それどころか、動画まで公開されたら・・・

 警察には訴えたくないと言う梨沙の意向を尊重し、学校側は、校長名でその悪戯メールに厳重抗議することで対応してくれた。しかし、背景を知っている梨沙にとって、それは何の解決にもならないことは明白だった。

 また、柏原を中心とした生徒会のメンバー達からは、悪質な悪戯には負けないで頑張ろう、と何度も励まされた。彼らは、あの放尿画像がアイコラであり、梨沙は被害者、と認識してくれていた。またそれは、ほとんどの生徒達の認識と同じだった。

 背景の一部を知っている芳佳からは、写真家の野々村が背後にいることが分かったため、黒幕がもうすぐ分かるかもしれない、それまで、辛いと思うけど頑張って、と励まされた。もちろん芳佳は、梨沙がせいぜいビキニの水着写真を撮られただけと思っているから、そんなことが言えるのだったが、梨沙としても、何とかその線で解決されることを祈るしかない状況だった。

 もう少し頑張れば、きっといい方向に行くんだから・・・梨沙は必死に自分にそう言い聞かせ、学校生活を過ごしていた。


 ・・・しかし梨沙は知らなかった。芳佳があの日の全貌をすっかり知っていることを。
 実は芳佳には、あの日の夜に、匿名のメールと電話が来ていた。そして、遊園地での梨沙の信じられない恥辱の一部始終を聞かされ、証拠としてその動画を見せられていた。お願い、公開しないであげて、と懇願する芳佳に対し、アイリスは一つの条件を提示したのだった。それは、いかにももうすぐ事態が解決するかのように話し、それまでは梨沙がアイリスからの命令に従うように仕向けろ、というものだった。

 あの日、梨沙の様子がおかしいことに気付いた、生徒会役員の柏原が、こっそりバイクで梨沙の乗った車を尾行し、遊園地に入っていくのを確認したのだが、当日は貸し切りイベントとのことで、中に入ることができなかった。柏原は一人では広い遊園地をカバーできないと考え、生徒会役員のメンバーの数人に電話した。しかし急のことであり、誰も来られないとのことだったので、梨沙の親友で信頼できる芳佳に連絡し、来てもらったのだ。そして、柏原は正門前で、芳佳は裏門前で待機し、中の様子を窺いつつ、梨沙が出てくるのを待つことにしていたのだった。
 しばらくすると、園内からはわっという大きな歓声が上がったり、拍手が起きたり、笑いに包まれたりと異様に盛り上がっている様子が漏れ聞こえ、柏原と芳佳はやきもきしながら待つことになった。時々、少女の悲鳴か喘ぎ声のような声が風に乗って聞こえてくるのも気になった。

 そして、K附の制服を着て、遊園地の門の前で所在なげにそわそわした様子で何時間も立ち、園内の様子を窺っている男女の姿は、アイリスの社員たちの目に止まり、監視されていたのだった・・・
 二人の身元を把握したアイリスは、芳佳の父が自分たちの周辺を探っていることも突き止めた。その結果、芳佳には真相を知らせて、これ以上余計な詮索をしたら、梨沙が秘裂丸出しで潮吹きオナニーしている動画を公開すると脅迫することにしたのだ。柏原に対しては真相を知らせず、変な動きをしないよう、芳佳に監視させることにしたのだった。

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 梨沙に次の指令のメールが来たのは、それから数日後の早朝だった。

 『電車に乗る前に、駅のトイレの一番奥の個室に入ること。中に入ったら返信で報告すること。』

 (え、どういうこと? トイレって、また、恥ずかしい姿、撮影させるつもり?)不安と戸惑いを覚えながらも、梨沙に抵抗することはできなかった。

 梨沙は仕方なく駅に向かい、駅のトイレに入った。個室は4つあり、一番奥の個室は空いていた。
(一体、どうしろと言うのよ・・・)梨沙はその個室の中に入ると、命令どおり、メールに返信した。
『今、駅のトイレの個室に入りました。』

 30秒後、梨沙の携帯にメールが着信した。
『それじゃあ、トイレのタンクの裏に紙袋があるから、その中身を取り出すんだ。それで、中のインカムを耳に付けたら、今度は、超小型カメラのスイッチを入れたら自分に向けて、ピースして自分の名前を言うんだ。』

 タンクの裏を見ると、確かに茶色の紙袋が置いてあった。その中身を取り出すと、インカムと超小型カメラが出てきた。また、小型の針やネジのような留め具も入っていた。

 (な、なんなの、これ・・・)梨沙は嫌な予感を覚えながらも、言われたとおり、超小型のインカムを左耳にセットし、超小型カメラのボタンを押し、左手を伸ばしてそのレンズを自分の顔に向けた。右手で強制されたピースサインをして、カメラを見つめた。
「谷村、梨沙、です・・・」

 『よし、上出来だ。・・・それじゃあ今度は、カメラをタンクの上に置いて、その正面に立て。そのまま右手を下ろして、スカートをめくって見せろ。にっこり笑って、今日の梨沙のパンティは何とか色です、って言ってみろ。』
今度はメールではなく、耳に付けたインカムから指示が聞こえた。それは低い男の声だった。

 その瞬間、梨沙の目が大きく見開いた。
「く、黒川さんっ!・・・ど、どうして・・・」

 『へえ、覚えててくれたんだ、俺の声。久しぶりだね、梨沙ちゃん。遊園地の絶頂ショー、面白かったよ。』
それは紛れもなく、ショウブ堂の店長、黒川の声だった。
『ほら、早くスカートめくってパンティ見せろよ。なんならお前の絶頂動画、学校の全員に送ってやろうか。動画じゃあ、コラって言い逃れも難しいだろうなあ。』


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