PART 42(bba)

 次の停車駅で、梨沙は予想外の事態に見舞われた。梨沙のいるところのドアの前のホームに、男女の高校生の集団が待っていたのだ。その制服を見ると、スポーツで有名なN高校だったが、素行の評判はあまり良くない学校でもあった。しかもそれは数人ではなく、二十人以上はいるようだった。

 電車が停まってドアが開くと、N高生達が勢いよく雪崩れ込んで来た。その後ろからはサラリーマンや学生達も大勢乗ってきて、電車の中は身動きの取れない超ラッシュ状態になった。あ、痛いっ、押さないで、と女性の悲鳴があちこちから聞こえた。

 「きゃ、きゃあっ・・・」
いきなり大勢に押され、梨沙も小さな悲鳴をあげた。いつもは本くらい読める程度の混雑なのに、今日はどうしてこんなに・・・梨沙はそう思いながら、右手で鞄を、左手でスカートの裾を押さえた。

 電車が動き出すと、乗客の皆がそれぞれ何となくポジションを確保し、とりあえず喧噪は収まった。そして梨沙は、車両のホームと反対側の扉付近で長身の男子高校生と向かい合う形になり、顔を染めて俯いていた。本当は背を向けたかったのだが、あっと言う間に大勢に押され、体勢を変えることができなかった。

 ガタンゴトン・・・急行電車が走る音が響き、電車の中は満員のままだった。梨沙は前後の乗客と身体を密着させたまま、右手で持った鞄で前を隠し、左手を後ろに回してスカートの裾を押さえていた。お願い、まくれないで・・・N高生達の楽しそうな会話を聞きながら、梨沙はじっと俯いていた。

 しかししばらくすると、梨沙の目の前の男子高校生が不審な動きを始めた。やや腰を屈め、梨沙の顔を覗き込もうとするのだ。そしてついに、その高校生が口を開いた。
「・・・あれ、君・・・K附の、谷村さん、だよね?」

 (・・・!)いきなり名前を呼ばれ、梨沙は表情を凍らせた。しかし、無視するのも変だ・・・仕方なく、梨沙は小さく顔を上げた。
「は、はい・・・あ、あ、あなたは・・・た、高鳥くん!?」
N高は近くにあり、バスケ部同士で時々対抗戦を行っていた。去年の対抗戦で、1年生なのに男子のレギュラーだった高鳥を梨沙は覚えていた。

 途端に高鳥の周囲の女子生徒と男子生徒の視線が梨沙に集中した。
「え、高鳥くん、その子知ってるの?」
「うわ、すっごく可愛いじゃん! しかもK附なんて、頭もいいんだ。」
「ねえ、どういう関係なの? 付き合ってるの?」
「満員電車で身体密着させやがって、朝から激しいな(笑)」
「おい高鳥、どういうことだ、説明しろよ。」

 「ばーか、付き合ってもらえるわけないだろ。この子、K附の超優等生で、生徒会長なんだぞ。」
高鳥が周囲を見回して言った。
「この子もK附のバスケ部だから、対抗戦で一回会ったことがあるだけだよ。お互い1年生でレギュラーだったから顔を覚えていただけ。お前ら、大きな声出すなよ、恥ずかしがってるじゃないか。」

 しかし、あのK附の生徒会長、という言葉に、女子達がさらに声のトーンを上げた。
「あ、知ってる。K附の生徒会長さんってことは、・・・今、アダルトショップ撲滅運動してる子でしょ?」
「へー、そんな固い運動してる子って、たいていダサいんだけど・・・こんなに可愛い子なんだ。」
「でも、ちょっとスカート短くなかった?」
「高鳥くん、スカートめくったら駄目だよ。(笑)」
「靴にカメラ付けて盗撮でもしてるんじゃない?」

 お前ら、いい加減にしろよ、と高鳥が押し殺した声で言うと、女子達はクスクス笑い、とりあえずからかいの声は収まった。

 ガタンゴトン・・・電車はまだ走り続けていた。次の停車駅まではまだ5分ほどある。梨沙は知り合いの男子高校生と向かい合って身体を密着しているバツの悪さと、少しまくれただけでパンティが露出しそうな超ミニスカートに、身体がかっと熱くなるのを感じていた。しかも、N高の女子生徒がどこか意地悪な視線でちらちらと見ているのだ。

 キキィィ・・・電車に突然、急ブレーキがかかり、乗客達が大きくよろめいた。しかしその数秒後、こういうことに慣れている乗客達は、ほぼ元の位置に戻った。梨沙は鞄を持って行かれそうになり、両手で必死に自分の前に引き戻した。

 (・・・!)
次の瞬間、梨沙は違和感に気づき、目を見開いた。お尻に直に、人の手が当たっている!・・・スカートの後ろ側がすっかり捲れ、後ろの人の手が尻に触れてしまっているのだ。
(きゃああ・・・い、いやあ・・・)
きっと、後ろの人からは紐パンティがまともに見えてしまっている・・・そしてはみでた尻肉に触れたまま、超満員で手をどけられずにいる・・・梨沙は手を後ろに回したかったが、身動き取れない状況ではどうすることもできなかった。

 ガタンゴトン・・・電車はいつもどおりに走っていたが、梨沙の目の前はぼうっと白くなり始めていた。しかし、目の前には高鳥、周囲にはN高の生徒達がいて自分を観察しているため、まさかパンティを丸出しにしてしまっていることを言うことはできなかった。お願い、スカートを下げてください・・・梨沙は顔を後ろの人に見せることもできず、内心でそう祈るのが精一杯だった。それにしても、どうして車内の方を向いているの? 自分の後ろはすぐ扉の筈なのに・・・

 「ねえ、谷村さん、大丈夫? 何かさっきから様子が変だよ?」
目の前の高鳥が心配そうに言った。
「顔も真っ赤だし・・・ひょっとして、熱でもあるの?」
その声に、周囲の生徒達の視線がまた梨沙に集中した。

 「う、ううん、大丈夫、ちょっと暑いね。」
数人に顔を見つめられる中、梨沙は無理やり笑顔を作った。K附の生徒会長が超ミニで満員電車に乗り、スカートを捲れさせてパンティを露出した・・・N高女子達だったら、そんな噂をあっという間に広めそうな気がした。梨沙は身体をくねらせて後ろの男の手から逃れたかったが、目の前に高鳥がいてはそれもできなかった。プールでのイベントと、クラスメイトの前では死ぬほど恥ずかしい姿を晒したが、せめて公共の場では普通の高校生でいたかった・・・

 しかし、梨沙が無抵抗でいたことが、後ろの男を調子づかせてしまった。普通の女の子なら、尻に手が触れたら、自然に避けるような仕草をするのに、目の前の女の子は、じっと耐えているのだ。それに、こんな大胆なパンティで尻肉をはみ出させちゃって・・・ひょっとして、誘ってるのかな・・・

 (・・・そんなっ!)
後ろの男の手が裏返り、手のひらでまともに尻肉を掴んだのを感じ、梨沙はびくっと身体を震わせた。
「ご、ごめん・・・」
目の前の高鳥の不審気な顔を見て、梨沙は愛想笑いでごまかした。
(ちょっとやめて、触らないで・・・)

 梨沙のむっちりした尻肉の感触は、後ろの男をさらに刺激してしまったようだった。やっぱり声を上げないんだ・・・男はその手と指を動かし、ゆっくりと梨沙の尻を揉み出した。幸い、身動きが取れないほど込んでいるので、他の誰も、男の痴漢行為には気付いていない。おお、気持ちいいねえ、梨沙ちゃんのお尻・・・ほら、こんな風にしたら感じるんじゃない?(笑)

 「・・・っ、くぅ・・・」
尻のくぼみに部分を指でくいくいっと押され、梨沙はおぞましい感覚に思わず顔を歪め、声を微かに漏らしてしまった。高鳥がちらっと見たが、ちゃんと聞こえてはいないようだった。
「ちょっと押されちゃって・・・背が高い人はいいね。」

 しかし、梨沙がごまかそうとする声は後ろにも聞こえ、男の悪戯心をさらに調子付かせた。男の手はさらに大胆になり、パンティのゴムを探った。そして、ウエスト部分の紐の真後ろを掴み、一気に引き下げた。

 (ひ、ひぃぃぃ・・・)
満員電車の中で、スカートを捲られ、パンティを下ろされ、尻を丸出しにされてしまった梨沙は、内心で悲鳴をあげた。やめてくださいっ!と大声をあげかけたが、今の姿をみんなに見られたらと思うと、どうしても勇気が出なかった。ど、どうしよう・・・

 梨沙が迷っている間に、後ろの手がさらに動いて、今度は梨沙の尻の溝に指をもぐらせていた。そして、尻の穴を見つけると、ちょんちょん、とその入り口を叩き、指の頭を軽く潜らせた。もう片方の手は、パンティの紐の部分を辿り、結び目を見つけると、さっとほどいてしまった。

 「ちょ、ちょっと・・・」
たまらず梨沙は、首を曲げて後ろを見ようとした。ひ、ひどい、こんなの・・・しかし首はそれ以上曲がらず、後ろの男の顔を見ることはできなかった。そうしているうちに、男の手はさらに動き、パンティの反対側の結び目もほどいてしまった。(あ、い、いやあ・・・)梨沙は両足を固く閉じ、パンティが落ちないように太股で挟み込んだ。

 ガタンゴトン・・・電車は次の停車駅に着くまで、あと2、3分のところまできていた。次に停まったら、スカートを何とか下ろして、パンティを戻すのよ・・・梨沙は太股を閉じ、膝から下の両足は広げる格好で揺れに耐えていた。なんとなく梨沙を観察している女子生徒から、なんかあの子、おしっこ我慢してるみたい・・・というひそひそ声が聞こえ、全身がかあっと熱くなるのを感じた。も、もう少しよ・・・

 しかしそれは、後ろの男に格好の余興を提供することになっていた。男は今、左手で梨沙の尻を撫でたり揉んだりしながら、右手でパンティの一端を後ろから掴み、クイックイッと斜め上に引っ張っていた。そうするとパンティの布が股間に食い込み、女子高生に禁断の快感を与える筈・・・

 「・・・あ、ぁ、ぅぅ・・・」
股間に挟んだ布をぐいぐいと後ろから引っ張られ、梨沙は思わず熱い息を漏らした。駄目、そんなのひどい・・・あ、ああ・・・感じちゃう・・・いや、いや、だめぇ・・・

 それ以上の快感に耐えられなくなった梨沙が足を少し開くと、後ろの男は素早くパンティを引き抜き、自分のポケットに入れてしまった。

 「・・・っ・・・」
電車の中でスカートをめくられ、パンティを奪われてしまった・・・信じられない事態に梨沙は口をぱくぱくさせた。悲鳴をあげなかったのは辛うじて理性が残っていたからだった。しかし、怪訝な顔をする目の前の高鳥に、今度は作り笑いをする余裕はなかった。ちょっと、一体どこまでするつもり?・・・もう許して、下着を返して・・・

 しかし後ろの男は、次の停車駅に着く直前、とんでもない悪戯を追加した。とき電車が揺れるのに乗じ、スカートのホックを外してしまったのだ。そして、梨沙の手を払いながらそのスカートを床に落とさせ、下半身を完全に丸出しにしてしまった。
 そして次の停車駅に着くと、降りまーす、と大きな声を上げて隙間を開けさせ、さっと電車から降りてしまった。その手には、梨沙のスカートも握られていた。


 その駅では、降りる人の方が多く、乗客達は身動きできない超満員状態から解放された。しかし、梨沙はホームと反対側の扉にぴったりと背中を付け、両手で鞄を前に抱えて車内の方を向いていた。
 電車の扉はほとんどがガラス張りになっているお洒落なデザインだったが、それが梨沙に更なる羞恥を味わわせていた。裸の尻がガラスに当たる冷たい感触・・・反対側のホームから見えていないか・・・日の光の陰になっているから、よっぽど目をこらさないと見えない筈・・・お願い、早く発車して・・・やだ、みんな見ないで、私の鞄・・・ああ、このまま渋谷に着いたら、どうしたらいいの?・・・・
 下半身を裸に剥かれ、学生鞄で目隠しをしているだけの梨沙の脳裏には様々な思いが一度に巡り、目の前が一層真っ白になっていた・・・


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