PART 45(bbbb)

 (・・・!)
大スクリーンに次に表示された画像を見て梨沙は凍り付いた。それは、電車の中で女子○生が痴漢されている写真のようだった。上半身はブラウスのボタンを外されてブラジャーがすっかり露出していた。下半身は、スカートが完全にまくり上げられ、パンティが露出していた。そして、何人もの男の手が半裸の女子の身体に絡み付き、ある手は乳房を、別の手は股間を揉み、他の手は尻を揉んでいた・・・
 目の部分にモザイクはかかっているが、それは芳佳だと、梨沙にはすぐに分かった。電車の中で集団痴漢に遭い、セミロングの黒髪は乱れ、表情は恥辱に歪み、唇は半開きになっていた。悲鳴を上げているのか、快感に喘いでいるのか・・・

 その画像の淫らな女子の姿に、体育館の生徒達は絶句した。これは、学校生活の中での恥ずかしい姿、というレベルとは全く異なっていた。

 『どうだ、痴漢の壁に囲まれてブラとパンティ見られちゃってる女の子って刺激的だろ?』
生徒達の思い通りの反応に、黒川は満足そうに言った。
『この次のシーン、見てみたいか?・・・この子のオッパイとアソコ、どっちが見たいか、男子達の拍手の大きさで決めようか?』

 「や、やめてっ!」
梨沙はたまらず叫んだ。芳佳の痴態が全校生徒の前に晒されるのは絶対に避けたかった。ごめん、芳佳ちゃん、私のために・・・もしかして、芳佳が今日休んでいるのは、このことと関係があるのか・・・
「お願い、もうやめてください・・・許してください・・・」
梨沙はついに、屈服の言葉を口にした。

 『ほう・・・さすがの生徒会長もギブアップかな?』
黒川は勝利を確信し、すっかり余裕の口調になった。
『それじゃあこれから、俺の命令どおりの緊急生徒総会を開くってことでいいんだな?』

 梨沙ちゃん・・・体育館の中に、何とも言えない空気が流れた。その画像が梨沙の親友、須藤芳佳のものであることは、多くの者が悟っていた。親友を守るために、全校生徒の前で死ぬほど恥ずかしいショーを演じるつもりなんだ・・・もはや、誰も止めることも、応援することもできなかった。

 『よし、そうと決まったらさっさと始めてもらおうか。・・・言っておくが、お前ら、絶対に目を逸らしたり、途中で帰ったりするなよ。その場合、今までの画像と動画、全部流出させるからな。』
黒川はきっぱり言った。落とす時はがっつり上から命令して、相手の気持ちを挫くに限るのだ。
『それから、写真部! 全員、カメラとビデオで、あらゆるアングルから梨沙のショーを記録しろよ。一人は動画をスクリーンに中継しろ。それから、その中継動画は、俺の方にも送信するんだ。アクセス方法は・・・』

 しかしその時、体育館の真ん中のブロックの男子が立ち上がった。
「ちょっと待った! 梨沙ちゃん、騙されないで!」
それは、2年2組の柏原宏だった。片手に携帯端末を持っていた。
「さっき、芳佳ちゃんからメールが来たんだ。痴漢はされて下着姿を撮られたけど、絶対にそれ以上はされていないって。下着姿は流出してもいいから、絶対に負けないでって!」

 この一言で、形勢は一気に逆転した。え、ほんと、と聞き返す梨沙に、柏原は携帯端末を高く掲げ、画面を梨沙の方に見せて頷いた。

 ありがとう、芳佳ちゃん。そうだよね、絶対に負けちゃいけないよね・・・梨沙は内心で芳佳に語りかけると、ぐっと顎を上げた。
「まだ写真があるって騙すなんて、本当に卑怯ですね、黒川さん・・・でもやっぱり、絶対に負けませんから・・・」
梨沙は毅然とした口調で言った。
「だけど、こんな盗撮とか痴漢の写真をばらまいたら、捕まるのはあなた達の方ですよ。」
そうだ!、負けるな!・・・体育館は励ましの声と拍手に包まれた。


 『ほう・・・須藤芳佳が、そんなメールを・・・なるほど・・・さすがだな・・・うん・・・』
黒川が独り言のように呟く声が響いた。それはさすがに予想していなかったようで、どこか迷っているようにも感じられた。

 黒川はどうする気なのか・・・体育館が緊張に包まれた。

 十数秒の後、再び黒川の声が聞こえた。
『みんなの勇気に免じて許す、って言いたいところだが、こっちも仕事なんでね・・・それじゃあ、これはどうだ・・・』

 今度は、大スクリーンに動画が映し出された。それは、更衣室らしい場所で、K附の制服を着た女子○生が入ってきた。そして、スカートの両脇の下から中に手を入れるとアングルが切り替わり、真下からの動画になった。スカートの真下からのアングルになると、両手がスカートの中でパンティを掴み、一気に引き下ろす様子が映った。当然、脱いだ後は裸の股間が映ることになり、ご丁寧に下からはライトが当てられていた。唯一の救いは、秘裂の部分に薄いモザイクがかかっていたことだった。

 動画はそこで停止し、股間のモザイクがアップになっていた。そのモザイクは、肌色と黒と僅かなピンクで構成されていた。また、お尻にはモザイクはなく、丸いお尻を下から見た様子がはっきりと映っていた。

 『・・・これは、別の電車で痴漢の被害に遭ったK附の生徒が、痴漢の時の画像で脅迫されてパンティを脱ぐように命令された時の盗撮画像だ。・・・無理矢理笑顔にさせてな』
黒川がそう言うと動画が動き出し、アングルが変わった。さっき脱いだパンティを手に持ち、にっこり笑っている女子○生を正面から映した画像で止まった。

 きゃあ、ひぃ・・・女子生徒達から掠れた悲鳴があがった。女の子が最も見られたくない部分を、全校生徒の目の前に晒される・・・それは、これ以上考えられない恥辱だった。
 一方、男子達は、女子達の視線が気になりながらも、大スクリーンから目が離せなくなっていた。この学校の女子の誰かのアソコが大映しになっていた・・・結構可愛い子に見えるのに・・・モザイクの薄さが、絶妙に想像力を刺激していた。

 そして・・・一人、呆然としている女子がいた。あれ、私の下着・・・黒川さん、ひどい・・・
それは、ゆきながショウブ堂にブルセラを売りに行った時のものに違いなかった。確か、商品が足りなくなっているので、もう1枚、今はいているパンティを売ってくれたら、いつもの3倍で買うって言われた時のだ・・・こんな動画、こっそり撮っていたなんて・・・それに、どうして今、映す訳?・・・全校生徒に見られた・・・


 ちょっと・・・、と梨沙が言い掛けたところで、再び黒川の声が響いた。
『ちょっと待って、なんて甘いこと言うんじゃないだろうな? まあ、もう一つ、見てくれよ。こっちもおもしろいぞ・・・』

 次の動画は、どこかのトイレだった。一人の女子○生が入ってくると、便座の蓋を開け、便器に腰掛けた。その制服はK附のものであり、首には緑にピンクのストライクのリボンを付けていた。顔全体にモザイクがかかっており、特定は無理そうだった。その女子は、スカートの中に入れると、パンティを脱いで、足首のところまで下ろした。そして、股を開き、ちょろちょろちょろっと放尿を始めた。カメラはその股間を真正面から捉えており、秘裂の部分ぎりぎりだけ、細かいモザイクがかけられていた。しかし、飛び出してくる尿は、ばっちりと映っていた。

 その動画は、ちょうど尿が飛び出て、放物線を描いているところで静止した。モザイクがかかっている顔も映っていた。
 『・・・どうだ、完璧にばっちり映ってるだろ? これも、別の痴漢被害に遭った女の子が、画像公開の代わりに撮らせた動画らしいぞ。・・・モザイクを取った動画がばらまかれたら、きついだろうな、この子(笑)』

 そして、体育館にいる生徒の中で今一番衝撃を受けているのは、みどりだった。ショウブ堂でトイレを借りた時に盗撮された・・・こんなにはっきりと映っているなんて・・・モザイクを取られて、ばらまかれたら・・・両隣の友達に知られないよう、足が震えるのを抑えるのに必死になっていた。

 
 「そ、そんな、ひどい・・・」
しばらく口をぱくぱくさせていた梨沙は、ようやく言葉を絞り出した。芳佳の他にも、少なくとも2人、痴漢の被害者がいたなんて・・・私がアイリスに逆らったせいで・・・しかも二人は、自分の遊園地以上に恥ずかしい、女の子として致命的な動画を撮られている・・・
「こ、こんな動画を流出させたら、捕まるのは、あなた達の方よ・・・」

 『あのなあ、生徒会長さん、ちょっと勘違いしてるみたいだけどさ・・・』
黒川が呆れたように言った。
『俺たちの商売はそもそも、警察に捕まることを怖がってたら、ろくなもん作れないんだよね。今さら、捕まるネタの一つ二つ増えたからって、何とも感じないぜ?』

 「・・・そ、そんな・・・」
頭脳明晰な梨沙にしては珍しく、反論の言葉が出てこなかった。放尿の瞬間の女性器を映されている女子○生の画像が衝撃的すぎて、思考力が極端に衰えていた。

 『まあ、捕まるって言っても、この二人の女の子が本当に警察に訴えるなら、だけどな。私、おま○こおっぴろげておしっこしている動画を撮られて、無修正でネットに流されました、って訴えるのか? そんなことしたら、学校中に誰の動画か知られるのはもちろん、ネットでめちゃめちゃ有名人になれるだろうな、無修正放尿動画流出女子○生の何とかちゃんってな。(笑)』
黒川はもはや完全に勝ち誇っていた。
『・・・おい、さっきの威勢のいい男子、この二人に聞いてみろよ。芳佳ちゃんと同じように、私のお○んこ動画も流出して構わないって言ってくれるかどうか?』

 体育館は気まずい沈黙に包まれ、静まりかえった。もはや、梨沙の負けはどう考えても間違いなかった。自分のせいでこんな被害にあった女子を、見捨てることができるはずがない。しかも、梨沙は生徒会長なのだ、さっきのスライドショーの女子も含めて、大勢の恥ずかしい写真と動画の流出阻止のため、自分一人が犠牲になれば、と考えるに決まっている・・・


 長い沈黙の後、ついに梨沙が口を開いた。
「・・・分かりました。今回のことは、私一人だけで、責任を取らせてください。ですから、他の女の子の写真も動画も、絶対に流出させないでください・・・」
梨沙にとって、唯一の救いと言えるのは、もはや誰も、自分を軽蔑している生徒達はいないということだけだった。しかし、彼ら全員が見守る中、自分は死ぬほど恥ずかしいショーを演じなければならない・・・

 『分かった、お前が責任を取るんだな。それなら、他の子のデータは絶対流出しないって約束してやる。・・・ただし、俺の命令に少しでも逆らったら、一人分ずつ、データを流出させるからな。』

 「分かりました・・・黒川さんの命令には、絶対に、従います・・・」
梨沙は屈辱に全身を震わせながら、屈服の言葉を口にした。しかし、これから味わう屈辱は、これとは比べものにならないものなのだ・・・梨沙の表情はかちかちに強ばっていた。

 『よし、やっと素直になったな。お前、かなり可愛いんだから、男にはにこにこ従ってた方がいいぞ。・・・それじゃあまず、にっこり笑ってみろ。それで、何でも命令してください、ご主人様、って言うんだ。』

 「え・・・何をばかな・・・」
意外な命令に、梨沙はきっとなった。しかし、これが屈辱の命令の第一歩であると悟ると、無理やり、ひきつった笑顔を作った。
「・・・な、何でも命令してください、ご主人様・・・」

 『よし、それじゃあ早速だが、ストリップをして、素っ裸になってもらおうか。・・・ステージのぎりぎりのところに立って、いやらしくケツを振って、観客のみんなに満遍なく笑顔を振りまきながら、嬉しそうに脱ぐんだぞ。・・・おい、写真部の連中、さっさと撮影準備しろ。思いっきりエロく撮ってやれよ。』



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