PART 72(bbbb)
「・・・ふーーん、誠心誠意、柏原くんが説明したから、時間はかかったけど、何とか信じてもらえたんだ。ふぅーーーん・・・」
梨沙は明らかに納得していない様子で、柏原の目を見つめた。
「まあ、いいわ」
「分かってくれた?」
「ううん、全然、わかんない」
「え?・・・」
「分からないけど、とりあえずその件は保留にするってこと。もう一つ、もっと気になることがあるんだけど・・・」
梨沙はそう言うと、柏原の顔をじーーっと見つめた。
「ねえ、柏原くん?」
「うん・・・」
「うーーーーん、やっぱりこれもちょっと保留」
「え?・・・」
「とりあえず席に戻るわよ」
・・・二人はそれから、図書館で朝から座っていた席に戻った。
目の前の女子大生三人組はまだ勉強をしていて、二人が戻ってくるのを見ると、露骨に好奇の視線を向けてきた。変態男子高校生、解放されたのはなぜか・・・可愛い彼女は、下半身裸にさせられていたのか・・・まさか、オナニーまで強要されて・・・でも、怒って帰らず、まだ一緒にいるのはなぜ?・・・
「またちょっと電話してくるから、ここで待ってて!」
梨沙は素早く立ち上がると柏原に言った。
「今度は寝ないで、ちゃんと勉強してなさいよ!」
梨沙がロビーへと行くのを見送ると、早速女子大生達が柏原に話しかけてきた。
「ねえねえ君、どうして解放されたの?」
「きみの彼女、本当は露出プレイが好きなの?」
「あの子、可愛いけど、怒ると恐いよねえ。大丈夫?」
・・・梨沙が帰ってくるまで、柏原は質問責めに遭うことになった。
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一方、梨沙は図書館を出て駐車場の片隅に行くと、携帯端末を取り出し、再び3人を呼び出し、音声チャットを開始した、
梨沙『ごめん、また助けて欲しいの』
芳佳『今度はどうしたの? またエッチな写真でも持ってた?』
ゆきな『私は暇だから全然いーよ。で、図書館で何があったの?』
みどり『柏原くん、すずちゃんのビデオ見てたこと、白状した?(笑)』
梨沙『うん、白状した。で、やっぱり、みんなが言ってたみたいに、それは、私と似てるからなんだって・・・それでね、ゆきなちゃんが言ったとおりにしてみたの。私が、すずちゃんと同じこと、してあげるって・・・』
ゆきな『うんうん、それで?』
梨沙『・・・結局、私がショーツを下ろして、スカートを落とす直前まで、何も言わなかった・・・柏原くんのバカ・・・』
みどり『あはは、やっぱり。いいじゃない、惚れられてる証拠だよ。』
梨沙『それでね・・・ちょっと恥ずかしいんだけど・・・』
芳佳・ゆきな・みどり『なになに?』
梨沙『なんか、柏原くんが、あんまり、その、私のことだけが好きだって言ってくれて・・・抱きしめられて・・・キス、しちゃったの・・・』
芳佳・ゆきな・みどり『えええーっ? おめでとうっ!!』
梨沙『だけどね、その・・・バカみたいなんだけど、スカートのジッパー上げ忘れて、っていうか、さらに柏原くんが下げてたみたいで、スカートもショーツも、床に落ちちゃったの・・・それで、そこに急に外国人の四人組が来たから、パニックになって、私だけその場から逃げたのね・・・』
芳佳『え、梨沙ちゃんだけって・・・下は裸のまま!?』
梨沙『うん・・・柏原くんに、すぐに行くから、先に逃げててって言われて・・・』
芳佳『それで、どうなったの?』
梨沙『うん、まあ、柏原くんもいろいろあったみたいで、40分位して、やっと服を持って助けに来てくれたの。もう私、図書館の中を、人が来る度に、下は裸で逃げ回って・・・恥ずかしくて死ぬかと思った。』
みどり『なんかそれ、すずちゃんのビデオみたい・・・梨沙ちゃんが下半身すっぽんぽんで逃げ回るとこ、見たかったな(笑)』
梨沙『もう、やめてよ!・・・それでね、なんで40分もかかったのか、いろいろ腑に落ちないところがあるんだけど、一番分からないのはね・・・』
ゆきな『大丈夫、何を聞いても驚かないし、私達、絶対に梨沙ちゃんの味方だから。』
梨沙『うん・・・その、やっと来た柏原くんの、右のほっぺにね、ピンクの口紅が着いてるの、薄いけど、はっきり唇の形になってるの。』
ゆきな『えええっ! それって、唇はどういう形だった?』
梨沙『半開きみたいな感じ。端まではっきり。』
芳佳『うーん・・・それって普通に考えて、挑戦状じゃないかな。だってさ、はっきり形が残るようにって、絶対わざとでしょ。梨沙ちゃんに見せるために。』
ゆきな『だけど誰が?・・・学校の子だったら、柏原くんを好きだった子は10人はいたと思うけど、みんな諦めてるはずだよね・・・ね、よ・し・か・ちゃん?』
梨沙『え、芳佳ちゃん?・・・え、え?』
芳佳『ちょ、ちょっと、何言ってるのよ! 私は別に、柏原くんなんて・・・』
みどり『えー、ばればれだったじゃん! というか、梨沙ちゃんが気付かないのが鈍すぎなんだけど(笑)』
梨沙『え、ごめん、知らなかった・・・芳佳ちゃん、そうだったんだ・・・』
芳佳『いや、わたしは別に・・・』
ゆきな『いいじゃん、もう過去のことなんだし。っていうか、梨沙ちゃん、柏原くんのことさんざん芳佳ちゃんに相談してたでしょ? ウブっていうか、鈍いってのも時には罪よねえ。』
梨沙『ごめん! ごめんね、芳佳ちゃん・・・』
芳佳『もうっ! そのことはいいから・・・それより、本題に話を戻しましょうよ。そのキスマーク、やっぱりK附の女子ってことはまずないと思うの。』
ゆきな『まあそうよねえ、梨沙ちゃんに勝てる子なんてまずいないもんね。』
みどり『あんなに劇的に交際宣言したしねー(笑)』
梨沙『もう、やめてよ。それじゃあ、誰なのかなあ。』
芳佳『柏原くん、気づいてないの、キスマークが付いてること?』
梨沙『うん、全然』
芳佳『柏原くんらしいわねえ(笑) それじゃあ、少なくとも浮気じゃないわよ、大丈夫。』
ゆきな『そうそう、変な女の挑戦状なんか無視して、ゆったり構えてればいいのよ。』
梨沙『そうかなあ・・・何か、他にもいろいろ隠してる気がするんだよね、柏原くん・・・』
みどり『あのねえ、付き合ってる女の子に秘密の無い男子なんて、ぜーったい、いないから!』
ゆきな『前も言ったけど、男の子って、信じられないくらいスケベなのが普通だしね。軽蔑されると思ったら、彼女には秘密にするよ。』
梨沙『うん、その辺は、経験豊富な二人に教えてもらって理解したつもりだったけど・・・やっぱり私、分からないこととか、秘密にされてることがあるの、嫌なの!』
芳佳『・・・梨沙ちゃん、男女関係のことだけは、夢見る女の子っていうか、子供っていうか、潔癖過ぎるっていうか、困ったもんねえ・・・』
梨沙『だって、嫌なんだもん! 他の女の子の裸見たり、キスされたりしてるなんて!』
ゆきな『梨沙ちゃん・・・それじゃあ駄々っ子じゃない・・・でもさ、大石すずだけだったら、許せるんでしょ?』
梨沙『・・・うん・・・まあ、ね』
ゆきな『それだったらさ、いっそのこと、全部知っちゃえば?』
梨沙『え、また尋問するってこと?』
ゆきな『それじゃあ時間もかかるし・・・潜入するのよ!』
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図書館の席に戻ってくるなり、梨沙は柏原に言った。
「さ、行きましょう!」
「え、どこに?」
「とにかく、ここにいるのは恥ずかしいでしょ?」
「うん・・・」
(梨沙ちゃんが長電話している間、俺、ずっと恥掻いてたんですけど・・・)
・・・図書館を出たところで、柏原が聞いた。
「それで、どこに行こうか?」
「柏原くんち」
「え?」
「だめ?」
「いや、いいけど・・・今日、家族はいないんだ・・・」
「そっか・・・私はいいよ」
「本当に、いいの?」
(まさか、梨沙ちゃん・・・してもいいってこと?)
「していいわけないじゃない!」
「え、何で!?」
「顔に書いてあるもん」
「・・・」
「でもね、柏原くんと二人きりになりたいの・・・図書館の奥じゃなくて・・・」
そう言うと、梨沙は上目遣いで柏原を見た。
「わ、分かった、それじゃあ行こうか」
梨沙とのファーストキスを思い出し、柏原はにやけていた。
「実は俺、今日はバイクで来たんだ。」
梨沙の呆れ顔も気にならなかった。早く、早く二人きりになって・・・押し倒して、抱き締めれば・・・
そしてそれは、ある意味正しかった。梨沙自身は気付いていないが、スキンシップに極端に弱いところがあった。だから、バイクの後ろに乗って、ぴったりと抱きついていると、柏原にやり好意を持ってしまった面もあった。また、ファーストキスの時も、柏原にぎゅっと抱きしめられ、うっとりしてしまった。
しかし柏原は、梨沙の真の目的を知らなかった。
梨沙の目的は「査察」だった。柏原の部屋に突然入り、机の奥、パソコンの中、ベッドの周り、本棚な奥・・・友達3人のアドバイスで、男子がエッチなものをどこに隠すか、梨沙はかなり予備知識を得ていた。
柏原の腰にしがみつきながら、梨沙はどこからどう探すか、三人のアドバイスを復習していた。
(えっと、まずは、部屋に入って、パソコンで一緒に私の写真見たり、ネットで何か検索したりして、使っているツールを把握するのよね・・・パスワード候補は、誕生日とかいろいろメモしたし・・・最後の手段は、シャワーを浴びてきてって言えって言われたけど、それはちょっと過激すぎるような・・・うーん、でも、やっぱり暖かいな、柏原くんの背中・・・ファーストキス、嬉しかったな・・・もし押し倒されたら、どうしよう・・・柏原くんなら、いいかな・・・ああ、だめ、絶対に全部、秘密を暴くんだから・・・)
オートバイに乗っている二人は、それぞれの思惑と妄想で頭が一杯になっていた。
(完) 【おまけ1:図書館(A Happy Ending)】
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