PART 35

「あ、あのう……トイレに行ってきても……いいでしょうか?」
 聡美はためらいがちに小田に訊ねた。小田の目が『どうして?』と言わんばかりに睨み付けているので、
「……そ、そこで取り出してきますから……」
 小さな声で付け加えた。

「あらあ、『そこで取り出してきます』ですってぇ? ようやく認めたわね、クラス委員さん」
 小田が得意気に聡美の声を拡大してクラスメイトに聞こえるように言った。聡美は、決定的な言質を与えてしまったことを後悔した。
「だぁ〜め。今すぐここでって、言ったでしょう? 逆らうなら……分かってるわよね?」

「そ、そんな……」
あまりの事態に、聡美は恐る恐るクラスメイトを見回した。今まで一緒に授業を受けていた知り合いの眼前で秘部の中に手を入れるなんて、できる筈がないではないか……さっきだって、ローターを入れることを強要された聡美は、美智代の許可の上、トイレで挿入してきたのだ。
「お願いです、それだけは許して下さい」

 しかし小田は、すがるような眼の聡美には取り合わずに言った。
「このクラスの風紀委員は……えーと、野中さんね。野中さん、こういうケースにはどうすることになってましたっけ?」

「はい、その場で、即没収、です」
 美智代が間髪入れずに答えた。飽くまで事務的な口調だが、聡美にとっては非情な宣告に等しかった。

「はい、そうですね、ありがとう」
 美智代に笑顔でそう言った小田は、笑みのままで聡美を振り返った。
「分かった、白石さん? 今すぐ、ここで提出してもらうわ。そうでなければ、このことは公にしなくちゃならないわ」

「そ、そんな……」
 聡美は、絶望的な表情でクラスメイト達に救いを求めた。しかし、自分を罠に陥れた帳本人達が今更助けてくれる筈もなく、皆、今後の展開を楽しみにしている眼で聡美を見返すだけだ。
「あ、あの、実は、これは……私じゃなくて……あっ、ああんっ!」
 そこまで言いかけて、再び聡美は喘ぎ声をあげた。

「あら、白石さん、往生際が悪いわねぇ。今さら誰か人のせいにするつもり?」
 小田は嘲るように言ったが、笑顔は消えていた。
(この娘、本当にいざとなったら暴露しかねないみたいね。やっぱり、美智代ちゃんが言ったように、徹底的に思い知らせなくちゃ駄目みたい)
「もう、いいわ。嫌なら結構よ。その代わり、最悪の場合は退学も覚悟しておくことね」
 小田はきっぱりそう言うと、きびすを返した。大股に扉に向かって歩いていく。

「分かりましたっ! こ、ここで出しますから……」
 小田の予想どおり、泣きそうな聡美の声が追ってきた。
(さあ、これから思いっきり恥を掻いてもらうわよ、男の子の憧れの美少女クラス委員、白石聡美さん……)
小田は気味の悪い程の笑顔を浮かべて振り返る。
「あら、そう? じゃあ、早くしてちょうだいね。あと1分だけあげるわ」

 いきなり1分という時間制限を突きつけられ、聡美は立ちすくんだ。思わず、ここで出すと言ってしまったが、それは、クラスメイトの見つめる前で自らの性器に指を挿入し、恥ずかしい道具を取り出さなければならない、ということなのだ。考えるだけでも死にそうなくらいに恥ずかしいことだが、もはや時間の余裕は無い。
(と、とにかく早く!)
 聡美は皆に背を向け、教壇の陰に隠れようとした。

 その時、小田の鋭い声が響いた。
「ちょっとあなた、何も分かってないみたいね。どうしてみんなの視線から隠れるの? これは罰なのよ。みんなが見てる前で校則違反品を没収するに決まってるでしょ? ちゃんと、みんなに見えるように出しなさい!」

「え、そんな……は、はい……」
 聡美は顔を真っ赤に染めながら、ようやく返事をした。小田の言っていることはあまりにも非常識だった。しかし、その命令を拒めば、職員会議にかけられて今日のことが全校に公にされてしまうのだ。
(そんなことになったら私、もう学校に来れない……もう生きていけない……)
 聡美は皆の視線を避けるように俯きながら、スカートの中に手を入れた。

 クラスメイトの好奇の視線をたっぷり浴びながら、聡美はスカートの中に入れた右手を上げていった。太股の内側を上に滑らせ、股間を目指して移動していく。それに従ってスカートの裾は捲れ上がり、綺麗な白い太股が徐々に露わになった。

 すでに聡美の全裸は何度も見ているクラスメイト達も、この隠微なショーには新たな刺激を感じていた。あの白石聡美が、これからオ○ンコに指を突っ込もうとしている……しかも授業中に、クラス中が見守る中で。それに、あの消え入りたいような恥ずかしそうな表情はどうだ……どうあがいたって、みんなの前で嫌って程イかされる運命だと知ったらあの娘、どんな顔するんだろう……

 何度も躊躇って、意図せずにギャラリーをじらした聡美の右手は、スカートの中でようやく股間部分に辿り着いた。しかし、パンティを穿いているため、膣に指を挿入するためには、股間の布の脇から指を潜り込ませるか、パンティの上から手を入れるか、パンティを下ろすしかない。聡美が逡巡しているのが傍目にもよく分かった。

(あらあら、聡美ちゃん、かわいいことで悩んじゃって……)
 美智代は余裕たっぷりに笑顔を浮かべて、聡美の窮状を堪能していた。

「白石さん、急いでちょうだい。何度も同じことを言わせないで」
 うんざりしたような小田の声が浴びせられる。

 聡美は迷った挙げ句、股間の布の脇に中指を滑り込ませた。それが一番羞恥の度合いが少ないと悲しい決断をしたためだ。いよいよ指が秘部に挿入されることを悟り、クラスメイト達は生唾を飲み込んで聡美の下半身に視線を集中させる。それは否が応でも、聡美の処女喪失の瞬間を想起させずにはおかなかった。

 ついにスカートの中で、聡美の中指は自らの膣にその先端を侵入させた。
「ん、く、くぅ……」
 異様な感触に、聡美が眉をひそめ、小さく呻いた。しかし静寂に包まれた教室では、その声は全員が聞き取ることができた。

(ついに聡美ちゃんが、オ○ンコに指を突っ込んだぞ)
(ついこの間まで、男なんか興味ありません、って顔してたくせに、もう形無しだな)
(だけど、指一本じゃ、あれは取れねぇよな……)
(……て、ことは、次は……)
(いよいよ、だな……)
 男子達は素早い目配せにより、無言の会話を交わしていた。

 聡美は教壇に立って、クラス全員が見つめる中、中指を膣に埋めていた。みんな黙っているが、その視線がどんどん嫌らしくなっているのが、嫌と言うほど感じられた。しかし、ここで逃げ出すことはどうしても許されないのだ。
(だけど……と、取れない……)
 聡美は途方に暮れた。

 ローターはほんの数センチ先にあるのは分かるのだが、中指をローターと膣の間にすべりこませて、それを引っかけて取り出す、ということはできそうになかった。処女の聡美の膣は狭く、とてもじゃないがローターの周りに隙間を作ることは不可能に思われた。
 そのとき、方法がもう一つあることを聡美は思いだした。確か、ローターの膣側には、掴み易い、長めの突起があった筈だ。あれをつまんで引っ張れば……だけど、そのためにはもう一本指を入れなければならない。そのためには、パンティを下ろさなければ無理だ。だけど、そんなことをしたら、スカートがさらに捲れて、股間を露出させたまま指を性器に挿入することになるかもしれない。
(ああ、そんなっ!)
 いくら全裸を見られているとはいっても、そんな嫌らしい姿を晒すのは耐えられない……

「もう、じれったいわね。余計な物を脱がなきゃ取れないに決まってるでしょ。……ちょっと、福本くんと神谷くん、手伝ってあげて!」
 苛立った声で小田が二人の男子生徒を指名した。すぐに、ラグビー部とボート部の体格のいい男子生徒が立ち上がる。

(脱がされる!)
 二人の男が迫って来ることに本能的な恐怖を感じた少女は、思わず扉へ向かって駆け出そうとした。
(もういやぁっ!)

 しかし、その瞬間を狙い澄ましたかのように、聡美の体をまた快感が駆けめぐった。
「あ、あぁ、……そ、そんな、ひ、ひど、い……」
 聡美は美智代の方を一瞬恨めしそうに見つめ、崩れ落ちていく……

 あっという間に二人の大男に取り押さえられた聡美は、
「い、いやぁ、許して、許してぇ……お願い……」
 と弱々しい声で懇願した。そこには、男になんか負けるもんか、という以前のプライドのかけらも感じられなかった。

 そして、その声はクラスメイトの嗜虐心を刺激するのに絶好のスパイスとなっただけだった。
「おい、福本。思いっきり脱がしちゃえよ」
「一人で取れないんならみんなで手伝ってやろうぜ」
「いっそのこと、一番でかい奴ので、うんと奥まで押し込んだ方が、反動で出てくるんじゃねぇか?」
「いろんなので突っついて試してみようぜ」
 張りつめていたような不自然な静寂が突如破られ、男子の欲望が一気に噴出した。もはや目の前にいるのは、誇り高い秀才クラス委員ではなく、男の欲望の生け贄となるしかない哀れな運命の美少女、としか感じられなくなっていた。

「よーし、じゃあ、いくぜ」
 声援に気を良くしたラグビー部の福本は、左手でひょい、と聡美の体を抱え上げた。聡美の体はあっという間に、体を折り曲げられ、クラスメイトに尻を向ける形で宙吊りにされてしまった。簡単に言えば、それは、「お尻ペンペン」される子供の格好だった。

「い、いやあっ! やめてぇっ!」
 一見ユーモラスな格好でも、聡美にとってはこの上ない屈辱だった。聡美の尻はクラスメイト側に突き出されたまま、屈強な男によって固定されてしまっている。つまり、聡美の下半身は男の意志一つであっさりとクラスメイトの前に露出させられることになるのだ。
「お、お願い、はなっ、離してぇっっ!」
 聡美は必死に叫んで足をばたつかせたが、空しい抗いは皆の嗜虐心を高めるだけだった。

「いくら騒いでも駄目だよ、聡美ちゃん。ちゃんとみんなに今日のパンティを見てもらうんだな」
 左手で聡美の体をしっかり抱え上げている福本は、右手を伸ばし、聡美のスカートの裾を掴んだ。
「さて、クラス委員の今日のパンティは何色でしょう?」
 スカートの裾をひらひらさせながら、クラスメイト達に笑いかけた。

「うーん、黄色!」
「いや、今日は水色っ!」
「意表をついて水玉かっ?」
「露出狂だからTバック!」
「いっそのこと、ノーパンだぁっ!」

「い、いや、いやっ、」
 卑猥な視線に晒されていることをあらためて思い知らされた聡美は、さらに必死にもがくが、憎らしいほどに福本はびくともしなかった。

「さてと……」
皆をさんざん焦らしながら、福本は思い出したように聡美に言った。
「どうだ、聡美ちゃん?『運動バカ』でもたまには役に立つだろ? 悪いけど、容赦はしねぇからな」

 その言葉を聞いた聡美は、以前福本に迫られ、女友達に『あんな運動バカ、何の役にも立たないわよねぇ』と笑ったことを思い出した。
(誰が言っちゃったのよ、ひどい……)
 表面的な女友達の裏切りを知らされた聡美は、振られた男の執念深さに恐怖を感じていた。


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