PART 49

「まあまあ、みんな、落ち着いて」
 由美が執り成すようにのんびりした口調で言った。
「だからね、私達は、聡美ちゃんが我慢できなくなって暴走しないように、安全なところでの露出願望発散に協力してあげてたの。みんなも良かったら協力してくれないかなあ?」

(ちょっと、由美……)
 聡美は内心で由美を恨んだ。
(それでこの場を収めているつもり?)

 1年生たちは少しの間相談していたが、代表して泉が結論を言った。
「いいわ、協力してあげます」
 そして、聡美に意地悪な視線を浴びせながら付け加えた。
「白石先輩は、苛められながら露出するのが好きなんですよね。それでしたら、もう一回ビデオに向かって宣誓してください。さっきみたいに、脅迫されてた、とかでっちあげられたら堪りませんからね」

「はい、先輩、ちゃんと立って。手はまっすぐ下ろして!……うっわあ、はっずかしい格好! さっきみたいににっこりとビデオに向かってこう言ってください」

 聡美は、下級生5人と由美、高橋、そして由美の携帯カメラの向こうの2年1組の生徒が見守る中、再び恥辱の宣誓をしなければならなかった。

「……私、S高校2年1組、白石聡美は、苛められながら裸を見られるのが大好きな、ろ、露出狂です。今日は、1年生の方々にも見てもらえて、とっても嬉しいです。たっぷり可愛がってくださいね」
 尻をぷりぷり、っと振ると、いやだぁ、信じられなぁい、と下級生たちが嘲笑した。

「はあい! それじゃあ、白石先輩のお願いということなので、苛めさせていただきまあす!」
 1年生が楽しそうに合唱した。もはや、憧れの先輩への幻滅は失せ、嗜虐心だけに支配されているように見えた。
「じゃあ先輩、早速命令よ。着てるものをぜーんぶ、脱いでください。今すぐここで」
 泉が眼を輝かせながら言った。

(あ、あなたたち……調子に乗ってなんてことを……)
 聡美は憤ったが、今の自分はこの下級生たちの命令にも絶対服従しなければならないと思うと、蚊の鳴くような声で返事をした。
「……は、はい……」

「カメラを見ながら脱ぐのよ。にっこり笑ってね」
 泉は、憧れの先輩を苛める歪んだ喜びに眼をきらめかせた。

 聡美は、下級生の女子たちに囲まれた中で、恥辱のストリップを演じた。スカーフ、セーラー、ブラジャー、靴、ハイソックスを脱ぐとそれらは1年生に没収され、ついに聡美は、青空の下、一糸まとわぬ素っ裸になってしまった。

「も、もう、許してください」
 全裸にされてしまった聡美は、両手で恥ずかしい部分を隠しながら懇願した。1年生にまで弄ばれるのはあまりにも辛かった。

「はいはい、分かりましたから。これも、プレイって奴なんですよね?」
 泉は由美と高橋を見ながら言った。

「そーそー、羞恥プレイっていう奴。もっと苛めてあげると、喜んで濡らしちゃうよ」
 高橋が軽薄な口調で応じた。もちろん片手ではビデオカメラを抱えたままだ。
「ほら、聡美ちゃん、隠しちゃ駄目だよ、きをつけ!」

(た、高橋くん……)
 恨めしげな眼で高橋をを見ながら、聡美は両手を降ろした。その結果、裸身の全てを下級生の女子の前に晒すことになり、聡美は恥辱に唇を噛んだ。体がプルプルと小さく震えるのを止めることができない。

 しかし、聡美の悔しそうな表情を、1年生たちは興味深げにまじまじと覗き込んだ。
「へー、すっごく恥ずかしそうに見えるけど、本当は喜んでるの?」
「脚なんか、ぴくぴく震えてるじゃん。これって、恥ずかしいからなの、それとも露出の快感ってやつ?」
「それにしても、素敵な体ねぇ、白石せんぱぁい。けっこう胸もあるし、乳首なんか薄いピンクで、いかにも清純です、って感じ」
「ここの生え具合も小さくまとまってて、可愛い感じね」

「そ、そんなに見ないで……も、もう、許してください、お願い……」
 聡美はプライドをかなぐり捨てて、下級生たちに懇願した。

「まーたまた、ほんっと、先輩って、そのプレイ、好きなんですねえ」
 泉はさらに意地悪な思いつきににやりと笑いながら言った。
「ただ、本当に好きでやってるかどうか確認したいんですけど、ちょっと証拠を見せてもらえませんかぁ?」

「え、しょ、証拠って?」
 聡美は全裸の体を隠すことできない姿のまま、ためらいがちに訊ねた。
(ま、まさか……許して、そんなのひどいわ……)

「だからあ、決まってるじゃないですかあ、先輩?」
 1年女子が聡美の秘部を眺めながら薄く笑った。
「そこ、開いて中を見せてくださいよぉ」

「そうね、聡美ちゃん、せっかく苛めてもらってるんだから、どのくらい濡れてるか見せて、感謝の気持ちを伝えなくちゃね」
 由美は携帯のカメラを構えながら言った。もちろん、それは、絶対服従の聡美への命令だった。

「はい、分かりました……」
 聡美は小さな声で返事をしてからうなずくと、屈んで腰を降ろした。このまま脚を思い切り開いたら……聡美は恥ずかしさに体中をピンクに染めた。

 あっさり座った聡美を見て、1年女子達はさらに呆れ、また新たな嗜虐の期待に眼を輝かせた。
「あら、聡美せんぱいったら、本当にやるつもりみたいよ?」
「さっすが露出狂よね。真っ昼間の屋上であそこを思い切り出す気よ」
「自分であそこを開いて見せるって、気持ちいいのかなあ。せんぱぁい、変態さんですねぇ、もうがっかり」

 聡美は下級生に囲まれ、嘲りの言葉を浴びせられながら、ゆっくりと体育座りの姿勢になった。しかし、1年生たちの好奇の視線とビデオカメラが見つめる前で、自ら股間を露にすることは、うぶな少女高生にとって、あまりにも辛かった。
(や、やっぱり、できない……)

「なーに、もったいぶってんですかあ? あ、いいこと考えたあ!」
 泉は楽しそうに笑うと、何やらまた聡美に耳打ちする。

「ちょっと、泉さん……」
 聡美が調子に乗り過ぎの後輩に注意しようとすると、由美が軽く手を上げた。

「あら、聡美ちゃん、何か文句ある訳? 今は、みんなの 命令は私の命令、なんだけどなー」
由美はそういいながら、1年生の命令によりで全裸にさせられている聡美の全身を眺めた。
「ま、そんなカッコじゃ先輩の威厳もあったもんじゃないけどねぇ」
 ほーんと、きゃははっ、という1年生の笑い声が続いた。

「……いいえ、文句なんかありません……」
(由美ちゃん、この状況を楽しんでるでしょ? 私を苛めてそんなに楽しいの?……いいわ、とにかくここは言うとおりにして、時間までに教室に戻ればいいのよ。この子達には、最低限のことは打ち明けなくちゃ行けないけど……)

 7人の男女に見つめられながら、聡美はビデオカメラに向かって笑みを浮かべた。
「私、S高校2年1組、白石聡美は、人に裸を見ていただくのが、大好き、です。今日は、屋上で素っ裸になれて、とても嬉しいです。……あそこも、感じちゃって、濡れちゃってます。どうぞご覧ください」

 言い終わると、聡美は、カメラを見つめながら、徐々に脚を開いていった。
(泉ちゃん、あなた、なんて命令を……)
 聡美は、にやにや笑いながら股間を覗き込む1年生達の視線に耐えながら、脚を30度程に開いた。

「ちょっと、聡美せんぱあい、ぜぇんぜんっ、見えないんですけどぁ」
「もう焦らしプレイはいいですから潔くがばっといって下さいよ。時間も無いんですから」
「でもすっごいですねぇ、男子の人気はダントツのナンバーワンで、アイドルプロダクションにもチェックされてるって噂の白石先輩が、屋上であそこ丸出しにするなんて……おっどろいたぁ」
「ほーら、もっと開いて下さいよ、……もっと、もっとですよ……あ、見えてきましたよ、せんぱいのあ・そ・こ、きれいなピンクですね……」

 聡美は、少女特有の残酷さを恨みながらも、言われた通り、さらに恥ずかしい姿を取らざるを得なかった。


 ――――☆☆☆――――☆☆☆――――☆☆☆――――

(まったく何だって言うのかしら、急に、屋上に来て、なんて言われても困るわ……)
 1階の廊下を急ぎ足で歩きながら、三上ともみは、愛らしい顔をちょっとしかめていた。そして、先ほどの、泉たちとの気になるやりとりを思い出していた……

 世界史の教師が突然病気で休みを取ったため、1年1組は自習時間となっていた。6人いる女子のうち、ともみを除く5人は何やらこそこそ話をして、ときどきともみの方をちらりと見てはくすくす笑っていた。

 あまりにそれが何度も繰り返されたので、ともみは世界史の問題集を解く手を止めて立ち上がり、泉を中心に集まっている5人のところまでつかつか歩いていった。
「ちょっと、自習時間中は静かにして下さい。むやみに席を立つのも禁止されていますよ」

 しかし、泉は全く堪えなかった。
「あーら、さっすが副クラス委員のまじめちゃんは固いわねぇ」
 泉がのんきな声でそう言うと、二人のやり取りに注目していたほとんどのクラスメイトが笑った。

「ちょっと、みんな、静かにしてください。岡野くんもクラス委員でしょう? こんなことでいいの?」
 ともみは顔を紅潮させながら言った。しかし、それはやや童顔で愛らしいともみの魅力を増すだけであった。

「分かった、分かった。まーまー、みんな、可愛い優等生さんの顔を立ててさ、静かに勉強しましょうよ」
 泉はそう言って軽くいなすと、意味あり気な笑みを浮かべた。
「ところでさ、ともみちゃん、まだあの白石先輩の噂は嘘だと思ってるの?」

「え、……」
 唐突な質問に意表を突かれ、ともみは一瞬言葉に詰まった。
「そ、そんなの、当たり前じゃない」
 数週間前、白石先輩が露出狂だとの噂が流れたとき、すけべな顔であれこれ下品なことを言う男子たちに向かって、ともみは必死に噂を否定したのだった。

「ふーん、あったりまえ、なんだぁ?」
 何かを含んでいるような言い方だった。周りの女子たちも意味ありげな表情でともみを見つめる。

「な、何でそんなこと聞くのよ?」
 やや苛立ちをこめてともみは訊いた。あれから白石先輩に直接話を聞きに行き、脅迫の真相を知ってしまったともみとしては、これ以上その話をしたくなかった。真相を言えば、尊敬する先輩の露出狂疑惑は晴れるが、校内でさまざまな辱めを受けたことがみんなに知られてしまう。

「じゃあさ、賭けよっか? もし、白石先輩が本当に露出狂だったらさあ……」
 泉はそう言って、ともみのセーラー服姿を上から下まで見回す。
「そうねえ、ノーパン、ノーブラで一週間過ごすってのはどう?」

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