PART 56

「い、いやあ、み、見ないで……」
 屈辱的な性器丸出しの姿を肴に、クラスメイトが盛り上がっている様子を聞かされて、聡美は眉をひそめて首を振った。もちろんそれは、クラスの連中に新たなネタを提供するだけだった。

『ほらほら、その苦悶の表情がまたそそるんだよねぇ。イク瞬間の顔に似てるぜ』

「へぇ〜。まさか先輩、クラスみんなの前でイクところ見せたりしてるの?」
 泉が目を丸くして割り込んできた。

『ああ、もちろんだよ。しかも授業中に、あそこにピンクローター入れたままイッちゃうんだから、本当に呆れたよなぁ』

「ええ〜、本当〜!? 信じられな〜い。白石先輩って、とっても清楚で知的なところが好きだったのになぁ。……今じゃ、これ、だもんねぇ」
「それじゃあ、屋上であそこ広げて校庭に見せるのくらい、本当は余裕で、物足りなかったんじゃないの?」
「だから欲求不満で、今も、全部丸出しにして縛ってください、ってお願いしたのよね、聡美ちゃん」
 最後の言葉を言った泉は、聡美に小さく目配せをすると、さらに携帯端末を引いて、2年1組のPC画面に聡美の全身像、すなわち緊縛姿が映るようにした。

(ひ、ひいっ! こ、こんなのあんまりよ……)
 しかし、泉に念押しされている聡美には、さらに恥ずかしい台詞を口にするしか道は無い。
「ほら、みんなに頼んで縛ってもらっちゃった! オ○ンコ丸出しって、気持ちいい! お、お願い、だ、誰か、聡美のオ○ンコに入れてぇ……」
 処女の聡美にとって、これほど屈辱的な台詞は無かった。

『おいおい、すっごいな、聡美。縄責めにまで目覚めちゃったのかよ? AVどころかSMの女王だな、苛められる方だけど』
『縛られてる聡美ちゃんもいいねぇ。だけど、いつも勝ち気でさ、俺らがエロ話してたら風紀がどうとか説教垂れてた聡美ちゃんが、実はあそこ丸出しで苛められるのが好きだったとはねぇ……女って、分かんねえなあ』
『ちょっとぉ、あんな変態を女の代表みたいに言わないでよ。最近、男子の視線が嫌らしくなって、本当に迷惑してるんだから』
『ほんとよ。なあに、今の? 入れぇて、だってぇ。バッカみたい、最低っ!』

 同級生女子の冷たい言葉が、聡美には最も堪えた。
(ひ、ひどい、まだ、い、淫乱かどうかのチェックの最中の筈じゃない……どんな理由があるにせよ、私をここまで貶めていい訳が無いわ……)

「美智代ちゃん、由美ちゃん、いるんでしょう? お、お願いですから、早く教室に返して下さい。早くしないと、次の授業が始まっちゃうわ。早く、私の制服を、誰か持ってきて……」
 死ぬほど恥ずかしい姿を晒している屈辱に堪えながら、聡美は携帯端末のレンズを見つめて懇願した。

『ふふふ、さっとみちゃん、とおってもいい格好じゃない? パソコンにしっかり録画してあるから、後でお尻の穴のしわの数、数えてみる?』
 スピーカーから聞こえてきたのは、ある意味懐かしい、美智代の声だった。相変わらず涼し気な声でのんびりした口調だ。
『あ、言って無かったけど、いいニュースがあるわ。次の授業、自習になったから、ゆっくり帰ってきていいわよ。チェック時間は帰ってきてから10分間でおしまい、ってことでいいわね?』

「ち、違うの、そういうことじゃなくて……」
 早く制服を持ってきて……そう言おうとしたが、泉に小さく足をつねられ、聡美は慌てて口を閉じた。

『あ、そうだ、何か入れてっ、て言ってたわよねぇ?』
 美智代は聡美の声が聞こえなかったかのように続けた。
『良かったわね、ちょうどいいものがあるのよ。泉ちゃん、あれ、お願いしていい? ……あら、聡美ちゃん、そんなに不安な顔しなくていいわよ、初体験じゃないやつだから』

「あ、あれですね。……えーと、……あった、じゃじゃーん!」
 泉はしばらく探してから、二つのものを取り出した。一つは電子はかり、そしてもう一つは、タンポンだった。

「そ、そんな……」
 美智代たちの悪辣な企みを悟り、聡美は絶句した。
(ひ、ひどい、あ、あんまりよ……)
 聡美は何度内心でそう呟いたか分からなかった。そしていつも、彼女たちの悪巧みのとおりに痴態を演じるのが聡美の運命だった……

「せ〜んぱい、それならそうと言ってくださいよお!」
 泉は元気な声で言って笑った。
「先輩、自分は露出狂じゃないってことを証明するために、屋上であ〜んな恥ずかしいことしてたんですってねぇ。最初からそう言ってれば、私たちもただ鑑賞するだけだったのにぃ」

『なんだよ、ちゃあんと鑑賞はするのかよ』
 携帯から男子の突っ込みが入り、爆笑する声も続いた。

「そりゃあもちろん、憧れの白石先輩の裸なら、ぜひ見てみたかったですから。……まあ、これはやり過ぎですけど……」
 またもやスピーカーから笑い声が響いた。
「だけど、先輩たちだって、ともみのお尻、黙って見てたじゃないですかあ? 誰かが、『まだチェック中だから、露出狂とは限らないよ』、って言ってくれてれば、ともみちゃん、ビデオカメラの前で、お尻の穴まで晒すことは無かったですよねぇ。……あ、ともみちゃん、男子は高橋先輩だけにしか見られて無いって思ってるはず……哀れねぇ」

『そ、そりゃ、そうだけど……あの、小ぶりでしまったお尻ってのも可愛かったねぇ』
『恥ずかしくて死んじゃいそうって表情もたまんなかったなぁ……』
『りゃ、ともみちゃんのお尻の穴まで見られるなんてラッキー……じゃなくて、お前らだって、結構ともみちゃん苛めて楽しんでたじゃねーか、いつも偉そうでむかついてたけどすっきりした、とか言ってさあ』
『今もノーパンノーブラなんだよなあ……見に行こうかな』
『ちょっとやめなさいよ、どスケベ! ともみちゃんが感づいたらどうするのよ!』

「あ、あのー、喧嘩するほど仲がいいってのはよおく分かったので、先に進めてもいいですか? ま、ともみちゃんのキュートなお尻はラッキーなおまけだったってことで」
 泉がユーモラスにそう言うと、スピーカーからはばつの悪そうな照れ笑いが聞こえた。
「それで、これを先輩のあそこに入れて、重さを測ればいいんですよね?」
 そのとーり、という合唱が今度は響いた。

 泉は今度は聡美に向かって笑いかけた。
「分かったわ。だけど、先輩もすごい賭けしましたねぇ、タンポンの重さの増え方で淫乱かどうかを決めるなんて」
 その眼は容赦なく剥き出しの二つの穴と、両脚の間から見える聡美の表情を往復していた。

「……は、恥ずかしい……」
 反論の言葉すら許されない聡美は、首を振って呻いた。
(こ、こんな屈辱……も、もうすぐ終わる、のよ、ね……)

「はいはい、プレーはもういいですからねぇ……では、入れますから、ここを開いてくださぁい」
 泉は、今度は聡美の秘部の割れ目だけを写すようにどアップにして、タンポンの先で、そこをちょんちょん、とつついた」

 スピーカーからは、泉の意地悪な魂胆を称賛する声が響いた。。
『そうだよなあ、もっと開いてくれなきゃ、タンポン、入らないもんなあ』
『それにしてもすっげぇどアップだなあ。ヒダヒダまで鮮明に写されちゃって』
『だけど、あんまり突っついちゃだめだぞ。感じた原因は突っつかれたせいだ、って言われないようにな』
『それから、クリちゃんに触ってもだめだぞ。そこって、聡美ちゃんの一番の性感帯だからな』
『そうそう、今でも十分ヌレヌレだよなあ』

 露骨な言葉の連続で弄ばれ、聡美は耳を塞ぎ、その場から消え去りたかったが、全裸まんぐり返しの格好で縛られていては、そのいずれも叶う筈がなかった。恥ずかしい二つの穴を露出して、秘裂をタンポンでつつかれながらも、笑顔のまま下半身に力を込めなければならない……
(わ、私……へ、変態なんかじゃない……でも……)
 下半身から、妖しい間隔がまたもや強烈に駆け上がってきていた。

「あ、あ、開いてきました……」
 泉が面白そうに実況中継をした。カメラを引きながら。
「だけど、開いているのは、お・し・り・の穴、ですよ。聡美先輩」
 泉の携帯カメラは、聡美の尻の穴が微妙に痙攣しながら徐々に開く様子をはっきりと捉えていた。
 
『あはは、さっすが、聡美ちゃん! あそこは飽きたから、お尻の穴に入れてくださいってか?』
 男子たちの爆笑と、女子のいやあねぇ、という嘲り声が同時に聞こえてきた。

「どうします、せんぱあい、お尻の穴に入れて欲しいんなら、そうしましょうか? だけど、そしたらもう一つもらってきて、前にも入れますよ」

『S高校2年1組クラス委員白石聡美、前から後ろから刺してもらいまーす!』
 すかさず、お調子者の突っ込みが入り、またもや爆笑を誘う。

「あらあら、先輩のクラスは笑いの絶えない楽しいクラスでいいですねぇ。やっぱり、クラス委員が率先して雰囲気作りに貢献しているからかしら。……うちのともみちゃんじゃあ、せいぜいお尻フリフリ止まりだもんねぇ」
 泉の皮肉に、聡美の心が痛んだ。
(と、ともみちゃん……ごめんね……)
「で、どうします、お尻にも入れるんですか?」
 今度はタンポンで、尻の穴をちょん、とつついた。

「お、お尻はやめてえ!」
 聡美は思わず、犯される寸前のような台詞を口にしてしまった。

(うひゃ、聡美先輩、すっごい言い方するわねぇ。2年1組の人達、興奮し過ぎでどうかなっちゃうんじゃないかしら……)
 泉は他の4人と眼を合わせ、薄く笑った。
「じゃあ、じっくり見ててあげますから、あそこか、お尻の穴か、入れて欲しい方の穴を開いてくださいね。はい!」

(……ひどい……)
 普通の女子高生に、秘部と肛門を丸出しにさせ、手を使わずに秘部の割れ目だけを開くことができるか、見世物にするなんて……しかし、『もし一瞬でも逆らったら、このままほったらかして教室に帰っちゃいますからね』と脅されていては、恨みがましい眼をすることすらできなかった。
(……こ、こうかしら……?)

 それからたっぷり1分間、聡美は絶対に見られたくない二つの穴をヒクヒクと痙攣させる痴態を衆人環視の中で晒すことになった。しかし、どうしてもよく開くのは尻の穴ばかりで、前の割れ目の方は一瞬小さく開くだけだった。そしてその間、聡美は耳を塞ぎたくなるような露骨な嘲りとからかいの言葉を嫌と言うほど浴びせられてしまった。

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