PART 61

 雲一つない青空の下、体育館の裏では一人の美少女が全裸後手縛りの格好でしゃがんでいた。校庭には、相変わらず校長先生の声が響いていた。何かと説教臭く、どこかで聞いたようなフレーズばかりで長ったらしい校長の話を、まともに聞いている生徒はほとんどいないだろう。

(早く終わって……)
 聡美は身体を縮めながら、ひたすらそれだけを祈っていた。体育館の反対側、網フェンスの向こうの道路は交通量が少ないが、それでも時々、車やバイクが通り過ぎる音が聞こえ、その度に聡美は心臓がどきどきした。歩行者がまだいないことだけが救いだった。フェンス際には木が植えられているとは言え、注意して見つめられたら発見されてしまう……聡美は息をするのもためらいながら身を固めていた。

「お、やっぱり可愛いお尻!」
 突然背後から声が聞こえて、聡美はびくっと震えた。どうしよう! 誰、誰なの?……でも、振り向けない……
「大丈夫、俺だよ、聡美ちゃん」

「え?……」
 それは聞き覚えのある声だった。聡美が恐る恐る首を後ろに向けると、そこには高野良幸が立っていた。カメラを手に持ち、聡美の腰に向けて構えていた。
「ちょっと、やめて!」
 屋外で尻を丸出しにしている姿を撮影される!、聡美は恥辱に顔を歪めた。

「お、いいね、その顔! お尻もフリフリしちゃって、エロすぎっ」
 高野は カシャカシャカシャ、とシャッター音を響かせながら聡美の身体の周りを歩いた。歯を噛み頬を真っ赤にした顔を接写し、屈んでも隠し切れない乳房を上から撮り、しゃがんで後ろに突き出した尻の真下にカメラを差し入れた。
「よし、今日も傑作が撮れたよ!」
 俯いていた聡美がきっとなって見返す顔にも、すかさずフラッシュを浴びせた。

 校庭の方からは、今度は教頭の声が聞こえてきていた。ようやく校長のあいさつが終わり、教頭からは災害時の注意事項などの説明をしているのだ。
「お願い、高野君、助けて!」
 全裸で拘束された女子を撮り続ける卑劣さに内心憤っても、今の聡美には彼に懇願するしかなかった。
「これじゃあ、誰かに見つかっちゃう!」
 全裸でしゃがんだままで顔を上げ、必死に高野のにやけ顔を見つめた。

「え、聡美ちゃん、裸を見られるのが好きなんじゃないの? 今だって、自分から校庭に出てたよね」
 高野はカメラを構えたままで笑った。
「助けてあげてもいいけど、その前に、ちょっと立ち上がって、お尻後ろに突き出してフリフリしながら、後ろを向いて笑ってくれる? こんな風に言いながらさ……」
 高野はそう言いながら近寄り、聡美の首に巻かれた縄を外すと、カメラごと取り去った。耳元に口を寄せて口上を囁く。いやいやをする聡美の耳に、さらに囁き続けた。
「実は、聡美ちゃんの服、持ってきてるんだけど……」

 ふざけないで!、と一旦は怒ったものの、結局聡美は指示に従わざるを得なかった。後ろ手に拘束されているのに全裸で立ち上がるのは恥ずかしくて仕方がなかった。校庭側では、教頭の長話がそろそろ終わりそうな様子だ。聡美は後ろを振り向き、高野が構えているカメラに向かってぎこちない笑みを浮かべた。
「白石、聡美です……消防訓練なんてばかばかしいので、露出散歩してまーす」
(ふざけないで、これじゃ、変態じゃない……)
 聡美は頬をひくつかせながらカメラを見つめた。そんなところから撮られたら、股間の奥まで映ってしまう……恥じらいながら腰をくねらせる姿が高野をさらに喜ばせた。
「これでいいでしょ、早く服を着させてよ」
 教頭が話をいったん区切り、消防訓練のために消防署から派遣された職員を紹介する声が聞こえていた。

「オッケー。それじゃあこれを持ってきたよ」
 高野はそう言うと、右手に赤い布を掲げた。
「クラスのみんなで選んだんだよ。聡美ちゃんにお似合いの服!」

 聡美の顔が小さく歪んだ。
「ちょっと、それ、スクール水着じゃない!」
 どうして普通の制服を持ってきてくれないのか……しかし、全裸で後ろ手に縛られている姿で怖い顔をしても効果はなかった。
「分かったわ。それを着るから、手錠を外してよ」
 一刻も早く何かを着たい……本当は懇願したかったが、聡美は必死に強がった。

 しかし、高野はその右手を下ろして背中に隠し、今度は左手を差し出した。
「ただし条件があって、これを入れてから、水着を渡してあげるよ」
 高野がその手を開くと、そこにはプラスチック製と思われる真っ赤な筒状のものが陽光を反射して煌めいていた。
「あ、今は中にタンポンが入っているから、それと交換でね」

 予想外の事態に聡美の目が怒りを帯びた。
「ふざけないで! これは、テストのために入れてるんでしょ! 外しちゃったら意味ないじゃない」
 女性の最も大事な部分を弄ぶような提案をあっさり受け入れられる筈がなかった。

「こんな状況じゃあ、もう裸で教室に帰れないでしょ?」
 胸元の携帯端末から女子の声が響いた。
「だから、聡美ちゃんの淫乱テストは今日はこれで中止。水着なら万一見つかってもいいでしょ? 中間データはあるし、現時点のタンポンは高野くんが袋に入れて厳重に管理してくれるから」
 それは美智代の声だった。

「テスト中止なら、変なものを入れる必要ないでしょ?」
 こうしている間も自分は生まれたままの姿で晴天下に立っているのだ。外気が全身をそよそよ撫でている感じが辛かった。
「とにかく、早くカギを外して!」

「だけどね、聡美ちゃん、いろいろ抵抗してテストの進行を妨げたでしょ? だからペナルティは受けてもらわないと」
 聡美の焦りはどこふく風で、美千代の声は淡々としていた。
「それに、後ろ手の手錠も続けてもらうわよ。断るなら、高野くんにはこのまま戻ってきてもらうから」

 2分後。聡美はようやく裸を隠すことができたが、恥辱にわなわな震えていた。高野が持ってきた赤のスクール水着はサイズが聡美には小さかった。しかも、旧型で太ももが付け根まで露出してしまうタイプだ。
 さらに、テストに抵抗したペナルティとして言いがかりをつけられ、タンポンを外して、代わりにローターを挿入させられたのだ。やや小さなスクール水着を着るのに悪戦苦闘していた聡美の背後に回っていた高野は、着終わった聡美の両手を掴み、再び後手縛りにしてしまった。

「ちょっと、これ……なんでこんなの持ってきたのよ……」
 身体の隅々まで見られた相手に、聡美の口調は少し弱かった。でも、裏地もないし、こんなに小さいと胸やお尻の形がはっきり分かってしまう……

 しかし、聡美がその返事を高野から聞くことはなかった。道路側の網が軋んだ音を立て、同時に女子の声が聞こえてきたのだ。
「ねえ、さっきから何してるのお?」
「さっき裸だったよね? 今度はスク水って(笑)」
「やだ、完全に変態!」
「あれ、けっこう可愛い顔してるじゃん」
「ここってS高校だよね? 名門校でエロビデオ撮影してんの?」
「通報しちゃおうよ」
 網の向こう側には、数人の女子生徒が群がっていた。何人かは携帯端末のレンズを聡美に向け、一人は電話をするかのように耳元に当てていた。

「い、いやあっ!」
「ちょ、ちょっと待って!」
 聡美と高野の声が同時に響いた。もし通報されて警察が来たら……さっきの裸で写真を撮られている様子が撮影されていて、警察に押収されたら、私は捕まるの!?……聡美は一瞬目の前が真っ白になり、パニック状態に陥った。
(落ち着いて、落ち着くのよ!)
 聡美はそれでも必死に自分に言い聞かせた。この場から逃げるか、あの女子達に理由を説明するか……裸の時には、確かあそこに人はいなかった。ということは、裸になっていた証拠は持っていないかもしれない。でも、遠くからでも撮影していたら……話せば分かってくれるかもしれないし……

 ほんの数秒のうちに様々な思考が頭を巡ったが、ついに聡美は心を決めた。
(裸を撮影していたとしても遠くからよ。それに『けっこう可愛い顔してる』って言ったのはついさっきだから、それまで顔は見られていないってことよね。うん、逃げるのよ!)

 校庭からの声に耳を傾けると、消防署の職員の話し声が聞こえた。火災発生時の心構えの説明を終わり、消火器の使い方の説明に入ったようだ。 
 聡美は昨年の防災訓練を思い出した。確か、この後は消火訓練で消火器の実習と放水練習で、生徒達ははしゃいで盛り上がっていた……消火器の煙に紛れて走れば、誰にも見つからずに校舎にたどり着けるでのはないか――それは多分に希望的観測を含んでいたが、他にいい方法を思いつかなかった。聡美は少し腰を屈め、足で地面を蹴った。

「あ、あぅっ!」
 走る身体の動きに秘裂に埋め込まれたローターが、膣壁を抉り、聡美は思わず喘いだ。膝が崩れ、転びそうになったのを必死に耐えた。
(ああ、これじゃあ、思い切り走れない……)
 しかし後ろ手に縛られていては、水着を脱いで股間に手を入れ、ローターを取り出すことはできなかった。

「それでは、各クラスの代表は、消火器を使ってください」
 消防署員の声が聞こえてきた。わいわいがやがやはしゃぐ生徒達の声が響き、静かにしろと叱る教師の怒声が混じった。
 次の瞬間、白い煙が充満した。生徒の一部が消火器を派手に噴射したのだろう。こらっ、遊ぶな、出しすぎだ!、と教師の声が響く。

(よし、今だ!)
 千載一遇のチャンスに、聡美は走り始めた。膣の中から容赦なくローターが刺激するが、歯を食いしばって耐えた。
 おい、待てよ、という高野の声と、ちょっとどこ行くのよー、と女子達の声が追ってきたが、足を止めることはなかった。さっきまでの全裸よりははるかにましとは言え、スクール水着姿で走り回る姿を校庭の生徒達に見つかったらどんな騒ぎになるか分からないのだ。一刻も早く駆け抜けて、校舎の中に入るのよ……足を動かすたびに、秘奥に埋め込まれたローターが膣内を刺激するのが辛かったが、聡美は唇を引き締めて耐えた。ただその動きはぎこちなく、スピードも早足に毛が生えた程度だった。

 高野とフェンスの向こうの女子達は、その後ろ姿をにやにやしながら見つめていた。ワンサイズ小さい赤のスクール水着を身体に食い込ませ、半分はみ出たお尻をプリプリ振りながら走る姿は格好の見世物だった。
(はは、案外気が回らないんだな、優等生さんも……露出の快感、もっと味わわせてあげるよ)
 高野はカメラを構え、聡美の尻をアップにしてシャッターを押した。もろ出しもいいけど、スク水からはみ出るケツってのもエロイな……リモコンローターのスイッチを入れたらどんな顔するか、楽しみだな(笑)

 体育館の裏、校庭から見えないぎりぎりのところまでくると、聡美は一旦止まって様子を伺った。幸運なことに、消火訓練を受ける生徒たちのはしゃぎは収まることがなく、体育館と校舎の間は白いもやにうっすら包まれていた。お前らいい加減にしろ!、という男性教師の怒号も、はしゃぎ声に紛れてしまっていた。
(うん、今なら大丈夫!)
 聡美はそろりと足を踏み出した。

 校庭では、ようやく生徒たちのはしゃぎ声が収まりつつあった。各クラスの教師たちが代表の生徒のところに行き、消火器を押さえていた。あーあ、と生徒達がつまらなそうな顔をしていた。今度ふざけたらただじゃ済まないぞ、と体育教師の声が響いた。

 早くしないと煙がなくなってしまう……聡美は秘奥のローターを気にしながらも、そろそろと足を速めた。そのまま数メートル進むと、8段ほどの階段がある。これを登り切れば、校舎まであと10メートルだけ……ローターからの快感で足が乱れて階段を踏み外さないよう、聡美は下を見ながら慎重に足を進めた。校庭の方からは相変わらず、生徒たちのざわめきが聞こえていた。
 普段なら何も意識せずに数秒で駆け登ってしまう階段だったが、白昼に大勢の生徒たちが見つめる中、スクール水着で快感にまみれて登るとなるとそれは永遠にも感じられた。

 ようやく階段を登りきった聡美が正面を見ようと顔を上げた時、その表情が固まった。

 正面の玄関からは、1年生の男子が3人出てくるところだった。皆、手に消火器を持ち、楽しそうに談笑していた。しかし、その中の1人が目の前のスクール水着の美少女を見つけ、目を丸くした。
「あれっ、白石先輩?」
「え、何してるんですか?」
「なんで水着?」
 小さめのサイズで、体の線がはっきり浮き出た姿に、皆の視線が釘付けになっていた。特に、乳房と股間に視線が集中した。

「え、これは、その、あの……」
 聡美は言葉に詰まった。なぜ、火事を想定した避難訓練の最中に、クラス委員の女子が水着になっているのか、うまい説明が思いつかなかった。まさか、全裸で校内を徘徊していたなどと、本当の話をするわけにもいかない。

「あ、分かった、先輩、火事の役ですね!」
 1人の男子が言うと、他の男子も頷いた。
「そっか、だから、赤の水着なんだ」
「それじゃあ、俺たちが消さないと!」

「きゃ、きゃあ!」
 突然、目の前が真っ白になり、聡美は悲鳴をあげた。1人の消火器から噴射された粉末の束がまともに襲いかかってきたのだ。

「あ、そういうことか!」
「消火器忘れて良かったな、俺たちが消火一番乗り!」
 2人の生徒も消火器を手にして、その口を聡美に向けた。

「ちょっと、やめて! ちがうの、そうじゃない……ごほっ」
 煙まみれになった聡美は踵を返し、登ってきた階段を下り始めた。
「あ、あん!」
 恐る恐る階段を下りる聡美の後ろ姿を見て、1年生達が容赦なく消火器を向けた。それはぷりぷり震える尻に集中し、聡美に快感の声を漏らさせた。尻の溝の下の方を刺激されると、秘奥の中のローターとの相乗効果で性感が刺激され、聡美は唇を必死に噛み締めて声を抑えた。

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