PART 62

 聡美が階段を下りきった時、水着姿の全身は消火器の真っ白な粉まみれになり、所々から赤い布地が見えるだけになっていた。ショートカットの綺麗な髪もまるで白髪のようだった。

「待て待てー」
「火事が飛び火してるぞー」
「なかなか消えないなー」
 一年生の男子3人ははしゃいだ声を出して追ってきていた。消火器を抱えたまま、聡美に近づきすぎないように追い続けた。

 聡美は再び体育館裏に逃げようとしたが、それは一年生男子達に阻まれた。階段を下りた後に先回りし、体育館側から消火器を浴びせてきたのだ。

(何するのよ! 仕方ないわ……)
 こうなったら、校庭の端を突っ切って、反対側の校舎の入り口まで行くしかない。消火訓練をしている生徒たちに見つかってしまうかもしれないが、今は裸ではなく、水着姿なのだから大丈夫……冷静に考えれば少し無理があったが、選択肢はそれしか思いつかなかった。
 聡美にとって辛いのは、速度を上げようと腰に力を込めると、途端にローターが秘奥を刺激することだった。聡美はその度に熱い息を漏らし、顔を軽く仰け反らせて唇を噛んだ。

 それでも聡美は勢いをつけて走り、校庭に飛び出した……つもりだったが、実際にはよろよろと避難訓練最中の全校生徒のまえに姿を現すことになった。

 喧騒に包まれていた校庭が、急速に静かになった。
「え、何、あれ?」
「女子じゃねえか?」
「水着、だよな?」
「やだ、水着小さくない?」
「なんで白いんだ?」
「あれ、白石さんだよね!」
「うちのクラス委員、何やってるの?」
「露出狂の噂、やっぱり本当だったんだ!」
「あはは、ピチピチのエロ水着!」
「お尻かわいい!」
「けっこう胸でかいなー」
「あれ、縛られてない?」
「くそ、ここからじゃ、消火器の粉でよく見えないぞ」
「こら、静かにしろ!」
「白石、何してるんだ!」
 校庭は一瞬にして、先ほどまで以上の騒ぎになった。

「ち、違うのっ!」
 聡美は顔を引きつらせながら声を上げた。早くこの場から逃げたいが、これ以上速く動いたらローターの刺激で喘ぎ声を漏らしてしまう……生徒たちに聞かれてしまう……

 突然、聡美の背後から白煙が襲ってきた。
「火事だーっ」
「白石先輩、火事役なんだって!」
「みんなも消火に協力してっ!」
 一旦様子を見ていた一年生男子3人が消火器を再び噴射した。

「きゃ、きゃあっ! あ、あんっ!」
 後手に縛られた水着の美少女は、お尻を集中的に責められ、その場で悶えた。快感で足ががくつき、立っているのがやっとだ。せめてお尻の下の敏感な部分には当てさせましと尻を左右にくねくねと振る姿は、様子を見守っていた生徒たちの嗜虐心に火をつけることになった。

「よし、俺たちも消火活動に協力しようぜ!」
「赤水着で火の代わりって、おもしろいな」
「聡美ちゃん、よくこんな役引き受けたな」
「露出狂だからだろ(笑)」
「しかも後ろ手に縛られてまでな(笑)」
「おい、これはどうなってるんだ?」
「あの、これは学校の施策なのですか?」
「よし、3年は前から、2年は横から消火しようぜ」
「いえいえ、こんな施策はないのですが……」
「いーじゃん、せっかく火事の役目引き受けてくれたんだから!」
「白石さんの善意を無視するわけ?」
「いや、そんなことはないが……」
「まあ、先ほどよりはるかに生徒さん達がやる気になっていますから、しばらく様子を見ますか」
「よし、消火訓練、続けるぞー!」
 スクール水着を着た美少女が、後手縛りでお尻を突き出し、消火器で刺激されて腰を震わせる図は、皆の日常感覚を狂わせ、このまま「消火訓練」が継続されることになった。実は、各クラスの男子クラス委員たちが2年1組の生徒達と事前に策を練っていたのだが、他の者に気付かれることはなかった。

 その結果、白昼の校庭では、奇妙な光景が繰り広げられることになった。
 全校生徒の集団の中を、一人の少女が水着を着て走り回っていた。その前後左右から、18人の生徒たちが消火器を持って追いかけ、白い粉末を噴射して浴びせている。そして、消火器を持った生徒たちは、わざと聡美に追いつくことなく、進路が完全にはなくならないようにして、走り回らせ続けた。その消火器は四方八方から間断なく、聡美の敏感な部分、すなわち乳房や股間、尻を狙い、美少女が顔を歪め、唇を半開きにして、思わず声を漏らす姿を楽しむのだった。

 他の生徒たちはその姿をじっくり眺めつつ、にやにやしながらからかいの言葉を浴びせた。
「わー、火事がこっちにくるぞー。早く消してくれー」
「この火事、なかなかしぶといな」
「でも時々、変な声出してないか、この火?」
「うん、喘いだり悶えたりしてるような」
「もう、最低っ。なんでこんなことしてるのよ」
「ほんと、ばっかみたい。優等生ぶってたくせに」
「いい加減、終わってくれないかな、露出狂さん」

 全校生徒たちの中を、性感帯を刺激されながらあちこち走らされ、聡美は目の前がぼうっとなっていた。
(これって、本当に現実のこと? 夢じゃないの?)
 しかし、肌に感じる空気の流れや、周囲の生徒たちの声、肌に当たる粉流の感触が、それが現実であることを思い知らせていた。
(ああ、どうすればいいの? なんとか、ここから逃げないと……)
 自分を恥ずかしい姿で走り回らせるために、わざと手加減して追われていることはなんとなく分かっていた。しかし、その意図に逆らって立ち止まろうとすると、秘部や尻の溝に正確に消火器を噴射されるのだ。結局、聡美は恥ずかしい水着で悶える姿を、ほぼ全ての生徒の間近に晒すことになってしまった。

「それでは次です。放水訓練を行います!」
 消防署の職員の痺れを切らしたような声が響いた。
「各クラスの代表は、消火器からホースに持ち替えてください」
 はーい、と生徒たちの声が響いた。

(やっと消火訓練が終わった……)
 消火器の白い粉に塗れた聡美は、皆からの攻撃が止んでほっとした。
(早く、教室に戻るのよ)
 赤の水着はほとんど真っ白になっていた。髪もすっかり白髪のように見えた。あはは、聡美ちゃん、すごい恰好、という女子達の蔑みの声が辛かった。とにかく、ここから逃れて、教室に戻ること……聡美はそれだけを考え、必死に足を前に進めた。消火器がなくなった分、他の生徒たちは聡美に接近し、スクール水着が隠し切れない体の線をしっかりと堪能し、囃し立てた。

 ようやく生徒達の輪を抜けたところで、聡美は立ち止まった。
「ちょっと待って、そんな……」
 目の前では、3人の男子生徒たちが、ホースを持って待ち構えていた。放水訓練!?、まさか、そんな、嘘よね……

 しかし、聡美の予感は当たってしまった。
 せーの、という掛け声と共に、3本のホースから勢いよく水が放たれ、水流が一斉に聡美に向かって伸びてきた。

「きゃ、きゃあっ!」
 後ろ手に縛られたままの聡美は手で庇うこともできず、その水流をまともに浴びることになった。さらに、その水流は意地悪くも、水着を膨らませている乳房の部分や、股間に集中的に当てられていた。
「い、いや、やめて! あ、あんっ」
 乳房の頂点と股間に水流をぶつけられ、聡美は色っぽく身体をくねらせ、喘ぎ声を上げてしまった。きゃあ、やだっ、と嘲笑する女子の声が聞こえた。

 それでも聡美は逃げるためには座り込むこともできず、せめて秘部を守るために腰を曲げて走るしかなかった。3人の生徒たちの脇をすり抜けて、なんとか校舎の方に行くのよ……
 腰を屈めると、水流は乳房に集中し、乳首を刺激された聡美は小さく喘いだ。弾け飛んだ水しぶきが顔に掛かり、聡美は一旦立ち止まった。
「ちょっと、やめて!」
 声を上げて正面の3人に訴えたが、水の音と騒ぎ声にかき消されてしまった。

 その恰好は、周囲の生徒達をさらに刺激することになった。小さめのスクール水着を着て腰をかがめた結果、可愛い尻が後ろに向けて突き出され、さらにその尻に水着が食い込んだ。つややかな尻肉がはみ出し、皆の視線に晒された。
「うわ、エッロい!」
「やだ、なにしてるの、あの子!」
「ちょっとたまんねーな、これ(笑)」
「狙ってケツ出してんかな」
「さすが露出狂クラス委員!」
「しかもプリプリ振ってるし(笑)」
 聡美の痴態を見たことがない生徒達――2年1組の生徒と各学年の男子クラス委員以外――は、白昼の校庭でいきなり展開された露出ショーに大騒ぎになった。

「え、そんな……」
 やっと顔を上げ、目を開いた聡美は呆然とした。
 突然出現した水着の美少女をよく見ようと、前方の生徒達が素早く移動し、聡美の前に回り込んでいたのだ。もはや、校舎に向けて逃げる隙間などなかった。
「きゃ、きゃあっ!」
 今度は、お尻に何本もの水流が当たるのを感じ、聡美は悲鳴をあげた。
「あ、あっ、あんっ」
 徐々に正確さを増してきた水流が尻の溝に集まってきて、思わず聡美は喘ぎ、腰をくねらせた。秘奥に埋め込まれたローターとの相乗効果で快感が増していた。水流が肛門辺りに集中すると、聡美は必死に逃れようと腰を左右に振った。

 しかしその姿は、事情を知らない生徒達から見ると、恐ろしく卑猥なダンスでしかなかった。
「あはは、嬉しそうにお尻振っちゃって」
「本当に変態なんだねー、みんなの前でこんな格好」
「もうすっかり、粉も吹き飛んだね」
「真っ赤なスク水、可愛いけどエロいな」
「おっぱいとかお尻の形とか、丸出しだよなー」
「こんなエロい火事役がいると、消火にも気合い入るな(笑)」
「今年の消火訓練は工夫してるよなー」

 聡美が皆の前に現れてからまだ三十秒しか経っていなかったが、校庭の雰囲気はすっかり変わっていた。教師たち、消防署の職員達もまた、目の前の光景に唖然としていた。
 大人達が誰も制止しなかったのは、校長が暗黙の指示をしていたからだった。少しぐらい騒いでも、生徒達の好きにさせておくように……疑問を持つ教師たちもいたが、上司に逆らうことはできなかった。

 後ろ手に拘束された水着の美少女を、前と後ろから放水責めにして悶えさせるショーはそれから十秒ほど続き、生徒達は歓声やヤジの声で盛り上がっていた。
 その盛り上がりは、一人の生徒の声でさらに加速することになった。
「あれ、水着のお尻のとこ、透けてきてない?」
 うそっ、ほんとだ、きゃー、おっぱいも見えてるぞ!、などと生徒達の歓声が響き、校庭は喧騒に包まれた。

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