PART 37(bbbab)

 晴天のもと、K附学園の文化祭はさらに賑わいを見せていた。時計は11時40分を過ぎ、屋台の呼び込みの声が大きくなっていた。女子高生のはしゃぎ声、男子高生のばか笑い、子供が親と話す声・・・さまざまな音が混じり合い、活気のある雰囲気を醸し出していた。

 それは、一見何の変哲もない学園祭の光景だったが、文化祭の門の中では非日常的な光景が繰り広げられていた。

 あ、あっ、ああっ・・・門の真ん中真上の箱の中で、掠れた小さな声が漏れていた。そしてその声の主は、素っ裸で脚をM字に開き、その中心ではディルドを咥え、腰を小刻みに震わせていた。

 あ、ああ、私、どうして、こんなになってしまっているの・・・梨沙は困惑しながら下の光景を見つめていた。みんな、あんなに楽しそうなのに、私は・・・あ、駄目、出てきちゃうっ・・・身体の奥からまたじゅわっと愛液が湧き出してきたのを感じ、梨沙は思わずびくっと腰を震わせた。どうして、こんなに気持ち、いいの・・・

 梨沙は固く目を瞑り、唇を固く閉じ、できるだけ何も感じないようにしようとしたが、それは却って下半身から沸き上がる快感を鋭敏に意識することになってしまった。
 媚薬の効果と、梨沙自身の露出の快感が相俟って、愛液は次から次へと湧き上がっていた。秘裂にしっかりと咥え込まれたディルドが蓋の役を果たしてはいたが、しばらくすると、膣壁とディルドとの間に愛液が少しずつ入ってしまっていた。

 「ぁ、ぁぁ・・・く、くぅぅぅ・・・」
全裸M字開脚姿で群衆の上に吊されている梨沙の唇から、いつしか掠れ声のような喘ぎが漏れるようになっていた。ディルドが愛液にまみれてしまったため、落とさないために、それまでよりもしっかりと締め付けなければならなかったのだ。
 すると、梨沙はいつしか、膣壁でディルドの突起からの刺激までをじっくりと味わうようになってしまっていた。快感に思わず締め付けを緩めてしまい、慌てて強く締めて付けては膣壁でディルドの形状をじっくり味わう・・・梨沙は顔を真っ赤に染め、熱い息を吐き、漏れる喘ぎ声は徐々に大きくなっていった。
 お願い、早く、早く2時間経って・・・1時まであと、何分頑張ればいいの?・・・


 11時55分。そこまで梨沙は、喘ぎ声を押し殺し、ある意味驚異的な頑張りで耐え、下からの群衆に発見されることもなかったが、いよいよ事態は切迫してきていた。
 
 愛液があまりにも溢れ出してしまった結果、ほんの少しではあるが、ディルドが抜け始めていたのだ。また、溢れ出した愛液は、ついに膣口から出て、飛び出しているディルドの柄を伝ってしまっていた。

 (あ、ああ、だめ、だめぇ!)
何が起きているかを悟った梨沙は内心で悲鳴をあげた。
 このままではディルドが抜け落ちてしまう! そうなったら、ディルドに結びつけられている紐が緩み、滑車を通じてくす玉が割れてしまう。くす玉の中には、梨沙自身のあまりに卑猥な姿の写真が何百枚も入っている。そして、異変を気づかれた皆に、今のこの格好を見られてしまう・・・破滅の光景が再び鮮明に浮かび、梨沙はびくっと震えた。

 そして、その瞬間がまさに梨沙の破滅の始まりとなった。
 梨沙が身体を震わせた結果、ディルドの柄の先端に溜まっていた愛液がぴんと跳ね飛ばされ、下へと落ちていった。

 「・・・あっ!、ぁ、ぁぁ・・・」
思わず声を漏らした梨沙だったが、はっと慌てて口を閉じた。だめ、だめっ、誰も、気付かないで・・・ああ・・・息をするのも忘れ、破滅の瞬間が訪れる

 梨沙にとって幸いなことに、その愛液は誰にもぶつからず、ぽとりと地面に落ちた。その跡も、すぐ後に歩いてきた男子高校生の集団に踏まれ、すぐに見えなくなった。

 あ、ああ、助かった・・・梨沙は奇跡的な状況に思わず感謝した。しかし、現実が何か好転したわけではないことをすぐに思い出し、暗澹たる気持ちになった。愛液は今も溢れ続け、ディルドの柄を伝い続けているのだ。このままでは、何滴も何滴も、垂れてしまうに違いなかった。そうしたら、いつかは誰かの頭や首、頬にぶつかり、上を見られてしまう・・・丸出しの下半身を開いている姿を真下から見られたら・・・

 その時、梨沙はもう一つの異変に気が付いた。ほんの少しであるが、身体の位置が低くなっているのだ。え・・・違和感を感じた梨沙は周囲を見回した。相変わらず、文化祭門の上のちょうど真ん中の箱の中に吊り下げられてはいるが、目の前の携帯端末の位置が若干上がっているように見えた。それは、梨沙の身体が少し下がっていることの相対的な結果に違いなかった。

 (あ、あの時、岩本君・・・そういうことなの!?)
梨沙を吊り下げる時に岩本が言った言葉を思い出していた。秘裂から伸びた紐をぴんぴんと引っ張りながら、岩本はにやにや笑い、こう言ったのだ。
「K大工学部の先輩にお願いして作ってもらった電動アシストシステムを滑車の間にいくつもかましてるから、梨沙ちゃんのアソコの負担は150分の1くらいになっているよ。梨沙ちゃんだったら、缶ジュースくらいだから、大丈夫だよね。但し逆に、前の縄が1センチ抜けると後ろのロープが1.5メートル緩むようにしてあるから、抜けないように頑張ってね。」
・・・確か岩本はそう言っていた。基本的に電動アシスト自転車と同じ仕組みだけど、電力節約のために逆の設定にもしてあるとかなんとか・・・

 前の縄が1センチ緩むと後ろの縄が1.5メートル下がるということは、何らかの方法で梨沙の秘裂で引っ張る力が150倍に増幅されているということだろうか……缶ジュースは約300グラム、150倍すれば45キログラム・・・すなわち、くす玉だけでなく、梨沙の体重も支えられると言っているのではないか・・・ということは、実は今、自分は秘裂にディルドを咥えることによって、自分の身体を支えているのではないか・・・電動アシストなら増幅だけしてくれればいいのに、なんで逆の仕組みまで・・・

 そこまで考えて、梨沙は心臓がきゅっと縮まるような恐怖に囚われた。つまり、このディルドが1センチ抜けたら、自分の身体が1.5メートル、下がってしまうということだ・・・よくわからない意地悪な仕組みによって、今の梨沙は余りにも絶体絶命の状況に置かれていた。

 あとほんの少し、膣の力を緩めたら、自分は、素っ裸で股を左右にぱっくり開き、無毛の股間にディルドを咥えた姿のままでするすると下がり、文化祭の大勢の来客の中に落ちていってしまうのだ・・・・下から聞こえてくる大勢の男子、女子の楽しそうな話し声、笑い声が今の梨沙には拷問のように聞こえた。

 ひ、ひどい、岩本君・・・悪魔的な罠にようやく気付いた梨沙は、顔面蒼白となってぐっと唇を噛んだ。そして、秘裂に今までよりも力を込め、有らん限りの力でディルドを握った。絶対にこれ以上抜けさせるわけにはいかない。1ミリ抜けたら15センチ、身体が下がってしまう。そうしたら、箱の下にお尻が飛び出してしまうのだ・・・そうしたら、真下からでなくても、門の上の柱の下にお尻が出ているのが見えてしまう・・・

 思い切り強く締め付けた反作用で、ディルドの表面に施された無数の突起が容赦なく梨沙の膣壁を責め立てた。
「あっ、ああっ、く、くぅぅ・・・んん・・・」
声を出しちゃだめ、気付かれちゃう! 身体を動かしたらだめ、下に垂れちゃう!・・・鋭い快感に悶えながら、梨沙は必死に唇を噛んで耐えるしかなかった。


 ん、ん、んん、は、はぁぁ・・・文化祭の門を構成する真上の箱の中では、くぐもった呻き声と熱い息の音が微かに響いていた。
 目の前の携帯端末は相変わらず門の下の光景を映し出していたが、人の数は一層多くなり、祭りを楽しむ笑顔で満ちていた。

 (あ、ああ・・・早く、早く終わって・・・)
梨沙は唇を噛み締めながらちらりと携帯画面の時計表示を見た。12時1分・・・もう、秘裂でディルドが抜けないように咥えているのも、愛液が垂れないようにしているのも限界に近づいていた。快感と戦いながら、梨沙の表情は苦悶に歪んでいた。


 『ふふ、だいぶ応えたみたいね。』
唐突に目の前の携帯端末から声が聞こえた。
『あーあ、もうアソコがぐしょぐしょじゃない! 遊園地のこと思い出して興奮しちゃったかな?(笑)』

 「・・・っ!? あ、あぅっ!」
予想外の事態に梨沙が顔を強ばらせ、目を見開いた。目の前の画面がいつの間にか変わり、妙齢の美女の顔が映っていた。その美貌は、ただ美しいだけでなく、どこか妖艶な雰囲気を感じさせた。
「あ、あなたはっ!?」

 『あら、初めましてだったっけ? わたしはね、葉川真樹。あなたが潰そうとしていた、アイリス映像の社長をしているの。よろしくね。』
そう言うと、画面の中の美女はにこりと梨沙に笑いかけた。
『それにしても、ふっくらしてて張りがあって瑞々しいわねえ、あなたのオッパイ! ピンクの乳首も可愛いし』

 「ちょ、ちょっと、いや・・・見ないでください・・・」
そう言った梨沙は、周囲がほんのり明るくなっているのを感じた。よく見ると、極小のLED電球らしいものがあちこちで光っていた。
「・・・お願いです、許してください・・・もう・・・」
梨沙はM字に開いた脚をぴくぴく震わせながら懇願した。これは、アイリスに刃向かった自分への罰なのだ・・・にこりとしている真樹の目が笑っていないのを感じて、梨沙は改めて思い知った。
「・・・あ、あ、あぅ・・・あっ・・・」
愛液が再びディルドの柄から糸を引くように落ちていくのを見て、梨沙は小さな悲鳴をあげた。

 梨沙から見て、スローモーションのように落ちていったその愛液は、男子高校生の頭のてっぺんに落ちた。
「・・・ん? 天気雨か?・・・あ、それでさー・・・」
その男子高校生は、一瞬頭を手の上にやりかけたが、すぐに仲間との話に夢中になり、その場を離れていった。

 『あぶなかったわねえ・・・もう、梨沙ちゃん、そんなに漏らしたらだめよ。ほんとにエッチな子ねえ。』
画面の中の真樹がけらけら笑う声が聞こえた。
『あ、心配しなくても大丈夫、あなたの様子、いろんな角度から生中継されているからね。うちの事務所みんなで、あなたの頑張り、楽しく見てるわよ・・・自分の学校の文化祭なのに、門の上で大股開きでアソコを見せつけてるって・・・ねえ、どんな気持ち?(笑)』

 「・・・!・・・お願いです、助けてください・・・もう、限界、です・・・」
軽蔑していたAVメーカーの人間に頭を下げるのはあまりにも屈辱的だったが、今はそれどころではなかった。1時間以上も吊され、股間では数百グラムで引っ張るディルドを咥えさせられ続け、一瞬も緩めることを許されずにいたのだ。さらに、ディルドの刺激で、秘裂はじんじんと熱くなり、愛液がとめどもなく溢れてきてしまっていた。全裸M字開脚の梨沙は、全身をピンクに染め、唇を噛みしめて苦悶していた。梨沙は潤んだ瞳で携帯画面の真樹を見つめた。

 『あら、いい顔するわね、あなた!・・・嬉しそうに責められちゃって、SMでもいけるんじゃない、M役で!』
真樹がそう言うと、携帯端末からの他の男たちの笑い声が漏れ聞こえた。
『それにしても、よく頑張るわねえ、あなた、そんな格好で・・・まさか、1時間も耐えるなんてね・・・念のため勝負を2時間にしておいて良かったわ。』

 「・・・く、くぅぅ・・・に、2時間なんて、無理です・・・ふぁぁぁ・・・お、お願いです・・・」
絶体絶命の状況にいるのを分かっているくせにのんびりと話している真樹を恨めしく思いながら、梨沙は懇願を続けるしかなかった。愛液が溢れ出す勢いはどんどん激しくなっているように感じていた。
「い、今までのことは、謝ります・・・くぁぁぁ・・・お詫びに、他のことは、何でも、しますから、お願い・・・」
梨沙は掠れ声で必死に言った。普段であれば絶対に口にしない言葉だったが、この場で下に落ちてしまうこと以上の恥辱など考えられなかった。

 すると真樹は、顎に手を当て、小首を傾げる仕草をした。
『あら、生意気だった生徒会長さん、ずいぶんしおらしくなったのねえ・・・ふーん、何でもしてくれるのかあ・・・』
真樹はそう言うと、顎に手を当てたまましばらく考える素振りをした。
『それじゃあさ、明日の文化祭の写真部の部屋でさ、ストリップショー、してくれない?』

 梨沙の表情がまたも苦渋に歪んだ。
「そ、そんな・・・」
それでは、岩本が言った最初の条件と同じではないか・・・いや、岩本は飽くまでも写真部としてのヌード撮影会と言っていたのだから、それよりもひどい・・・

 絶句している梨沙の顔を楽しそうに眺めながら、真樹が続けた。
『あら、ストリップショー、知らないのかな?・・・お客様の前のステージで、踊りながら制服を脱いですっぽんぽんになればいいのよ。お尻を振ったり、オッパイを揉んだりしながら、いやらしくね。それから、床に腰をついて脚を開いて、アソコを思いっきり広げて見せるのよ。あ、ちょうど今みたいな格好ね(笑)』
真樹は梨沙の股間を見つめ、にこりと笑った。
『それでね、そんなふうに、バイブとかローターとか、ディルドを使ってオナニーショーをして見せるの。あ、あなたならイきながら潮吹きできるから、きっとお客様に大受けするわよ(笑)』

 「・・・ば、ば、馬鹿なこと、言わないで、ください・・・あ、あぁぁ・・・」
梨沙は悶えながらも、思わず携帯端末の中の真樹を睨んだ。

 『あーそれからね、呼び込みも自分でやってね。そうね・・・制服の上から、生徒会長・谷村梨沙ってタスキでもかけてさ、今から私のストリップショーを始めまーす、オマンコぱっくり特出しあり、オナニーショーもあって5千円ぽっきり、とか言いながら全校を回って歩くのはどう? とりあえず、あなたの知り合いの男子は全員来てくれるはずよ。(笑)』
真樹は梨沙の怒りの表情に気付かないように上機嫌に続けた。
『あ、そうだ、お別れの挨拶は、遊園地と同じにしましょうね。アソコの中にお客様の指を入れてもらって、手でお客様のおちんちんを握るってことで。・・・1日あれば、10回くらいショーができるでしょ。きっと噂が噂を呼んで、大人気になるわよ。』

 快感に身悶えしながら、いやいやをするように首を振る梨沙の顔を見ながら、真樹はまた小首を傾げた。
『あら、いやなの? もちろん、撮影禁止にしてあげるからさ・・・それでも、だめ?・・・こんなところで、不特定多数の人に見られるより、ずっといいと思うんだけどなあ・・・最後のチャンスをあげる。あと5秒以内にOKしてくれたら、この場は助けてあげるわよ。』

 ・・・そして5秒後。携帯端末の画面がぷつっと暗くなった。もはや限界を越え、小刻みに全身を震わせながら朦朧としている梨沙に、ま、頑張ってね、という真樹の声が聞こえたような気がした。



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