PART 12

 「さあ、先輩、カメラに向かってご挨拶ですよ。こんな感じで・・・」
麻由香の羞恥を分かっていながら、陽菜は容赦なく恥ずかしい口上を命令した。
「素っ裸で演技する代わりなんだから、そのくらい、できますよね、先輩?」

 「・・・こ、このビデオも、消去してもらえるのよね・・・」
麻由香は躊躇いながら確認した。それなら、録画しなくても良いではないか・・・剥き出しの胸にレンズを向けられるのは、何度されても顔から火が出そうな恥ずかしさを感じる麻由香だった。

 「もっちろんよ、先輩が完璧な演技したら、ですけどね。その代わり、ミスをしたら、このビデオは映像研究会のものになっちゃいますよ。それに、もう庇い切れませんから、今度こそは、本当に素っ裸で演技することになっちゃいますからね、頑張ってください、先輩。」
陽菜は励ましとも脅しとも取れる言い方をして笑った。
「はい、それじゃあ、笑顔でご挨拶お願いしますね、先輩っ!」

 「・・・S高校3年、新体操部のほ、本条、麻由香、です。・・・」
そこまではただの自己紹介だったが、試合用のレオタードをくりぬかれて乳房を丸出しにされていては、それを口にするだけでも死ぬほど恥ずかしかった。しかし、陽菜の命令は、遥かに過酷だった・・・
「ま、麻由香、本当はこんな格好で、お、オッパイとお尻を、ま、丸出しで、高校総体に出たいんですけど、・・・それはちょっと難しいので、今日は本当に嬉しいです。ど、どうですか、私のカラダ?・・・」
麻由香はそう言いながら、陽菜の命令どおり、両方の乳房をわざと揺らし、次に後ろを向いてお尻を振り立てた。

 すかさず男子達からは拍手と歓声が湧いた。いいぞ、麻由香ちゃん、エロ可愛いっ、新体操よりAV出た方がいいんじゃないの、っと下品な言葉を浴びせられ、麻由香の顔が引きつった。

 「そ、それでは、ご挨拶の最後に、私の得意のポーズを一つ、披露したいと思います。」
(い、いやよ・・・こんな嫌らしい男子達に見られながらなんて・・・)麻由香は悔しさに唇を噛みながら、左脚を水平に横に伸ばし、そのまま上に上げていった。この破廉恥なレオタードを見につけ、笑顔でY字バランスを披露することを命令されていたのだ。

 「おーっ、いいぞ、麻由香ちゃんっ」
「演技の中だと一瞬だからね、ゆっくりやってよ、麻由香ちゃん。」
「やっぱりタイツ無しがいいねえ、麻由香ちゃんの生脚、最高っ」
男子達にからかわれ、嫌らしい視線を股間に浴びながら、期待通りに徐々に脚を上げるしかない麻由香だった。


 そして、乳房と尻を丸出しにしての恥辱のY字バランスをたっぷりと披露させられた麻由香は、ようやく演技のスタートの位置に立っていた。

 「それじゃあ行きますよ、頑張ってくださいね、麻由香先輩!」
陽菜はそう言うと、音楽スタートのスイッチを押した。

 (や、やるしかないのよ・・・いつもどおりやれば、絶対に失敗なんかしないわ・・・)
恥ずかしいレオタードを着させられていながらも、悲愴な決意をした麻由香は、クラブを持った両手を上に上げ、くるくると回転させた・・・

 そしてその演技の序盤、胸を反らすポーズも、身体を曲げて尻を突き出すポーズも、恥ずかしさを堪えて麻由香はしっかり演じた。しかし、レオタードからくびり出された乳房が身体を動かすたびに揺れるのが余りに恥ずかしく、麻由香は頭が白くなりかけた。

 幸いなことに、何百回も練習したそのプログラムは身体が覚えているので、考えなくても演技が進んでいった。

 しかし、両脚を前後に広げながらジャンプをするとき、小さくではあるが、ピリッという音が聞こえ、下半身に違和感を覚えた。
(え、ま、まさか・・・)麻由香は嫌な予感を頭から振り払った。(そうよ、このレオタードは少しくらい強く引っ張ったからって破れる筈ないわ・・・)
ただ、さっきまでと違って、男子達のからかいが急に止んだのが気になった。

 やはり意識せずにはいられなかった麻由香は、演技の合間に自分の下半身をちらりと見た。
(・・・っ! い、いやあっ)麻由香は内心で悲鳴をあげた。麻由香の心配どおり、レオタードの下半身の部分が破れ、秘部の部分が縦に裂けていた。そしてその隙間から、黒い繊毛がちらちらと覗いていた。

 「あれ、先輩、ちょっと見えちゃってますね。」
「でも、ま、いいですよね、さっきも散々見られてるんですからね。」
陽菜と美加がけらけらと笑った。

 (う、うぁぁ・・・そ、そうよ、もう見られちゃってるんだし・・・こ、このくらい、平気よ・・・)
今回ミスをしたら全裸にならなければならないのだから、レオタードがどんなに破けても演技を続けるしかない・・・麻由香は自分に言い聞かせるしかなかった。

 しかし、事態は麻由香の想像以上に深刻だった。麻由香が脚を開いた演技をする度にビリっと音がして、徐々に裂け目が広がって行くのだ。程なく、その裂け目は、上はウエストまで、下は大陰唇の半ば付近までに達していた。
(あ、あ、だ、だめっ! こ、これじゃあ、見えちゃう!)
麻由香は切迫した危機に内心で震えた。この状態で脚を大きく開いたら、恥毛どころか、開いた秘裂の中まで見えてしまうかも・・・
(い、いや、それだけは、駄目っ)

 そして、模範演技という名のストリップショーは更に過激さを増していた。麻由香のレオタードの裂け目はついに、お尻に開けた穴ギリギリのところまで迫っていた。

 「お、ついに麻由香ちゃんのアソコ、丸出しかなあ?」
「頑張れ、麻由香ちゃん、あと少し! いくら露出狂でも、ケツの穴とアソコ丸出しはやり過ぎだよ(笑)」
「あ、でも、もう無理そうだね・・・高校総体6位入賞の思い出の試合用レオタードが破けてアソコ丸出しって、どんな気持ちかな、麻由香ちゃん!(笑)」

  「い、いやっ、だ、だめえっ!」
しかし、破滅を目前にして悲鳴を上げながらも、麻由香は決められたプログラムをこなしていくしかない。それは、17歳の初心な美少女にとって、緊縛されているよりも遥かに辛かった。
 そして麻由香にとって非情にも、その瞬間はすぐに訪れた。麻由香がボールを投げ、片脚立ちで回転しているときに、裂け目はついにお尻に開けられた穴と?がり、股間を覆う布は思い切り左右に開いてしまった。もはや、麻由香の秘部と尻の穴を隠すものは何も無くなった。
「きゃ、きゃああっっ!」
あまりの恥辱に絶叫しながら、麻由香は演技を続けた。(こ、こんなのって・・・あとほんの少しなのに・・・)

 しかし、麻由香の無念と恥辱は、ギャラリーの歓喜そのものだった。
「おお、麻由香ちゃん、すっげぇ、丸出しっ」
「うわ、可愛い生え方してるね、麻由香ちゃん(笑)」
「お尻の穴も、もっとよく見せてえ(笑)」
「きゃあっ、先輩、アソコが見えちゃってますよお。」
「やだっ、田之倉さん、そのアングルから撮るの、いやらし過ぎぃっ!(笑)」

 ギャラリー達の歓声に、麻由香は消え入りたい気持ちだったが、これから、さらに恥ずかしい決めのポーズが待っていた。
(ど、どうしても、やらなくちゃいけないのよ・・・せっかくここまで我慢したんだから。)

 麻由香は両手に持ったクラブをそれぞれ高く掲げ、同時に左脚をほぼ垂直にあげるポーズをとっていった。それは、もはや覆うものの無くなった股間を思い切り開いて、左側の男子達とカメラに向けて晒すことでもあった。
(録画データはすぐに消してもらえるんだから・・・)
ついに麻由香は脚を上げ切り、死ぬ程恥ずかしいポーズを自ら晒した。

 しかし運命は、更なる恥辱を麻由香に用意していた。麻由香が脚を上げ切った瞬間、今後は股間の布が横に裂けて、ぶちっと切れてしまったのだ。その瞬間、レオタードは大きく上にずり上がり、麻由香の下半身を覆うものは何も無くなってしまった。

 「やったあっ! 麻由香の下半身がすっぽんぽんっ!」
「あはは、これは恥ずかしいっ。まさか、ここまで見せてくれるなんて。」
「おい、あのピンクのびらびらって、あれだよな?(笑)」
「ストリッパー麻由香嬢、最高っ(笑)」
「いやストリッパーでもこれはモロ見せし過ぎで捕まっちゃうでしょ。(笑)」
「きゃあっ、先輩、可哀想、下半身丸出しなんて、ひどーい!(笑)」
ほんのコンマ数秒ではあったが、下半身を丸出しにしての脚上げポーズは、24人の男子達と後輩女子二人の視線にしっかりと晒された。

 「先輩、あと少し、ラストスパートですよ!」
「そうそう、ちょっとくらいサービスしてあげたって、いいじゃないですか! 頑張って、先輩!」
陽菜と美加が羞恥の極限にいる麻由香を励ましたが、二人の顔は堪え切れない笑みに満ちていた。
(うふ、最後に下半身丸出しになるなんて、やっぱり天才ですね、先輩。男子のみんな、とっても喜んでますよ!)
(こんなに素敵なビデオ、田之倉さん達があっさり捨てると信じて頑張っちゃうなんで、先輩、可愛いっ!)

 そして、それから20秒弱は、もはや新体操というよりは、一人の少女を囲んでのエロポーズ強要ショーだった。

 麻由香はミスだけはすまいと、身体を曲げ、腕を突き出してスティックを回すシーンもしっかりと演じ、尻を思い切り後ろに突き出した。
「あ、先輩のお尻の穴、みーえたっ。これで、先輩の身体、みーんな、見られちゃいましたね(笑)」
「ほんとだ、男子達も見てるのに、だいたーんっ! 見てる方が恥ずかしくなっちゃう(笑)」
(は、陽菜ちゃんと美加ちゃんまでそんなこと、い、言わないでっ!)しかし、どんな恥ずかしい姿を晒していると言われても、麻由香は演技をやめられない。

 そしてようやく、麻由香にとってあまりにも長い90秒の演技が終わった。横座りになったまま、胸と股間を庇ってうつむく麻由香。ほんの数時間までは楽しく高校生活を送っていた普通の女子高生にとって、ここまでの一連の出来事はあまりにも過酷な経験だった。

 羞恥に塗れて座り込み、小刻みに身体を震わせる麻由香の姿をじっくり堪能してから、佐々岡が口を開いた。

 「はい、お疲れ様、麻由香ちゃん。アクシデントにも負けないで、いい演技だったと思うよ。な、みんな!」
佐々岡がそう言うと、麻由香を囲む男子達から自然に拍手が湧いた。今度ばかりはからかいの声も飛ばなかった。

 もちろん、今更そんな拍手をもらっても、麻由香の恥辱が薄らぐことは無かった。ここにいる男子全員に、女の子として最も見られたくない場所を見られてしまったのだ。しかも、大好きな新体操をしながら、レオタードが徐々に破れるという最悪の形で・・・麻由香はどんな顔をして男子達に向き合えばいいかわからず、まだ下をうつむいていた。
「は、早く服を返して・・・お願い・・・」
麻由香はつぶやくような小さい声でそれだけ言うのが精一杯だった。
(こ、これで終わったのよ・・・もう、恥ずかしい思い、しなくていいんだから・・・)

 しかしその時、信じられないことが起こった。

 「あのー、リプレイ、お願いしたいんですけどお。」
静かな体育館に、陽菜の声が響いた。
「最後に脚を垂直に上げるところ、足首がぴんとしてなくて、減点だとおもいまーす(笑)」

 「は、陽菜ちゃん、何を言ってるのっ?! 私、ミスなんかしていないわっ!」
麻由香は血相を変えて叫んだ。
「やめて! もうやめてぇっ!」

 「だけど、演技の採点はきちんとしなくちゃ駄目ですよね、先輩?」
美加があっさりと言った。
「皆でしっかり、リプレイを観察しましょ、大スクリーンで(笑)」


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