Part12

 全員の注目を受けながら、菜穂子はようやくゲームの説明を始めた。たどたどしく、ところどころつまりながら話す。

「まず、俊之さんにフェラチオをさせて頂きます。もし、3分以内に俊之さんをイカすことができたらそれでゲームは終わりです。時間内にイカすことができなかった場合は、次の人にフェラチオさせて頂きます。次の人についても同じルールです。拙い奉仕ですが、頑張りますのでよろしくお願いします。」
何とかそう言い終わってから、耐え切れずに突っ伏してわあっと泣き出した。(どうして? どうして私がこんな恥ずかしいことを言わなくちゃいけないの?)

 しかし当然ながら、悲哀に満ちたその表情は、その場の雰囲気を盛り上げるのに一役買っただけだった。
「やったあ! 菜穂子ちゃん、俺にもよろしくな。」
「俊之、絶対我慢しろよ!」
「じゃあ、下手したら15人全員にフェラしてくれるんだな?」
男子は文字通り欣喜雀躍した。さっきは俊之だけと思って皆、悔しい思いをしたが、にわかにチャンスが拡大したのだ。

「え〜、菜穂子、そこまでやるの〜? ひえ〜、さすがに男子の人気取りが上手いわ。」
「せんぱぁい、フェラ教えてって言っただけだから一人でいいのにぃ。」
「きっとわざと3分でイカせないんじゃない? ま、その方がみんな喜ぶけどね。」
女子は失笑を交えながら意地悪な言葉で菜穂子を責める。

 そして、男子の一人が急に不安そうに言った。
「だけどさ、男の順番はどーするんだよ。」
「みんな、頼む、俺を2番にしてくれ、何でもするから。」
「やっぱりじゃんけんだろ、それとも競売にするか? 2番目の権利は100万円でハンマープライスっなんちゃって」
男子は皆目を血走らせており、その騒ぎは収拾がつかなくなってきた。

 浩一が騒ぎを制しながら言った。
「やっぱり、2番目は発案者の俺だろ、な、加奈子?」
とこの場では菜穂子を辱める実質的なリーダーとなっている加奈子に同意を求めた。

「はは〜ん、それが狙いだったのね。昨日はあんなに悔しがってたもんねー。そんなに菜穂子先輩にフェラ、してほしいんですかあ? でも、ま、いいわ。なかなか面白いゲームを考えてくれたもんね。」
加奈子は苦笑いしながら同意した。浩一は飛び上がらんばかりの表情だ。他の男子は不満そうだが、加奈子を中心とする女子に逆らうことはできない。

「じゃあさ、3番目は直人くんにしよーよ。聞いた話じゃ、半年付き合ってて何もさせてもらえないんだって。ひどいよね〜、そんなの。もったいつけたお詫びをしてもらわなきゃ」
実樹が意地悪な提案をする。わざと菜穂子が嫌であろう相手を指名したのだ。

「それでさ、4番目は義雄くんよね〜。だって、こんなに菜穂子の恥ずかしい写真撮ってくれたし、インターネットにものっけてくれたし〜。」
美奈子まで便乗して、菜穂子を羞恥地獄に突き落とした立役者を指名する。

 他の男子は仕方なく、5番目以降の順番をじゃんけんで決めることになった。少しでも早い順番を取りたいため皆必死で、1回じゃんけんする度に大きな歓声と落胆の声が響いた。何度かそれを繰り返し、全員の順番が確定した。

 「さて、菜穂子、ゲームを始めてもらおうか。」
浩一がゲームの開始、すなわち菜穂子に取ってはさらなる羞恥地獄の開始を宣言した。

 菜穂子はあらためて、立っている俊之の前に全裸で正座させられ、それから立て膝の格好にさせられた。俊之の下半身を眼前にし、菜穂子の顔に再び脅えの表情が走る。

 「はい、ゲームスタート!」
浩一が宣言し、直人がストップウオッチのボタンを押した。

 これで菜穂子には一刻の猶予も許されなくなった。もし俊之をイカすのに3分以上かかったら、今度は浩一のものもフェラチオしなくてはいけないのだ。お調子者で、しつこく自分にちょっかいをかけてきていた浩一を菜穂子は疎んじていた。また何とか菜穂子をものにしようというしつこさに嫌悪感を抱いていた。そんな浩一のものにおぞましい口唇奉仕なんて絶対にしたくなかった。

 菜穂子は覚悟を決め、俊之のベルトを外した。素早い動作でズボンを下ろす。そして、パンツを盛り上げる俊之のそれを眼にし、一瞬ためらったが、思い切ってパンツも下ろした。菜穂子のすぐ眼前に俊之のものが開陳された。それはすでに固く大きく膨張していた。

 さすがに菜穂子の動作が止まった。(これを口に含むの? みんなの見てる前で?)逃げ場が無いことは嫌と言うほど思い知らされいたが、体がどうしても動かなくなった。しばらく膠着状態が続いた。

「30秒経過。」
その時、直人の声が大きく響いた。
「言っとくけど、3分過ぎて何分たとうが、俊之がイクまで終わらせないからな。10分過ぎたら、即全員にフェラ決定だぞ、いいな。」
勝手なルールまで付け加えてしまった。

「おおっ、じゃ、菜穂子、そのまま10分じっとしてろよ。」
「15分過ぎたら下の口も使っていいことにしないか?」

 盛り上がる男子の声を聞きながら菜穂子は恐怖に震え、ゆっくりと唇を俊之の隆起に近づけてゆく。その途端に男子も女子もしんと静かになった。菜穂子の屈辱の瞬間を見逃すまいと注視しているのだ。

 そして、ついに菜穂子の唇が俊之のものを含んだ。

「ううっ、うぐぅ」
舌に広がる苦みに顔を歪めながらも、徐々に顔を俊之の下半身に沈めてゆく。それからおもむろに前後運動を開始した。唇をすぼめてみたりもする。

 以前実樹達と、というか実樹達に一緒に見ようと言われて、いやいや見たアダルトビデオのシーンを再現しようと努力していた。その時は初めて見たフェラチオに心底嫌悪感を感じて、「私、彼にこんなことしろって言われたら絶対別れるわ、気持ち悪い〜」と言っていた菜穂子であったが。

 そんな菜穂子の様子を皆、夢見心地で見つめていた。あの、高井菜穂子がフェラチオしている・・・そう思うだけで男子はみな、イッてしまいそうであった。女子も淫靡な行為に没頭する菜穂子を見ているうちに自分の秘部も濡れてくるのを感じずにはいられなかった。普段があまりにも清楚な菜穂子だっただけに、インパクトが強すぎた。

「あと1分」
と直人が宣言したその時、カメラのフラッシュが閃いた。菜穂子に見とれていた義雄が気を取り直してその痴態の撮影を開始したのだ。

「んぐぐ、、、」
菜穂子が何か言いたそうに音を発したが、俊之に後頭部を押さえられているため口を俊之のモノから離すことができず、声にならない。おそらく、「いやあ、写真は許して」とでも言ったのであろう。

 しかしその時、偶然にも菜穂子の舌が俊之の隆起の先端をちろちろ舐める結果になった。絶妙な刺激にたまらず俊之が唸る。もう耐えられない、といった表情が浮かんできた。3分というのは案外長いものなのだ。

 それを見たギャラリー、特に男子は焦った。このまま俊之がイッてしまったらせっかくのフェラショーもこれでお終いだ。
「俊之のバカヤロー、あと1分だ、頑張れ。」
「てめえだけいい思いなんて許さねーぞ。」
「何か他のことを考えるんだ。」
必死に声援と罵声を俊之に浴びせかける。しかし、あと40秒も残している時点で俊之の劣勢は明らかになりつつあるように思われた。皆に失望と諦めの表情が広がる。

 その時、菜穂子の後ろから延びた2本の手が下半身を捕らえた。浩一だ。右手の中指を秘部に挿入して中をいじくりまわし、左手の中指でクリ○リスを捕らえ、指先でころころ転がした。

「ふあっ、あふぅっ」
菜穂子は一瞬でその快感に屈服した。体をビクつかせ、思わず顔を俊之の下半身から離してしまう。悶えながら浩一に抗議する。
「ひ、ひどいわ、浩一くん。もう少しなのに・・・お願い、邪魔しないで」

 菜穂子の色っぽい訴えを浩一は軽く聞き流して平然と言った。
「おいおい、ルールを忘れたのか? 3分で俊之をイカしたら終わり、だろ? 誰が邪魔しないなんて言った? それに俺は今雰囲気出して菜穂子に協力してるつもりなんだけどな。」

 勝手な言いぐさに菜穂子は一瞬かっとしたが、すぐに俊之へのフェラチオに戻った。今、浩一に反論して時間をつぶしていたら、その浩一の性器にも口で奉仕しなくてはいけなくなるのだ。悔しい想いに顔をしかめながらも、菜穂子は必死に唇をすぼめて俊之に奉仕する。

 しかし、浩一も手を緩めない。今度は片手を胸に廻して乳首を刺激する。コリ、コリ、と指先で乳首を弾かれる度に菜穂子は快感に喘ぎ、フェラチオの作業を中断することになった。俊之も眼をつぶって必死に快感に耐えていた。

「はい、3分! 菜穂子、時間切れだ。」
その場の皆にとってあまりにも長い3分がようやく経過したことを直人が告げた。

「よっしゃーっ!」
浩一が思わずガッツポーズを取る。ついに長年の夢が叶うことになったわけだ。

「うっ、菜穂子、もうだめだ!」
俊之が菜穂子の後頭部を押さえながら口の中に発射した。

「う、うぐぅ〜」
菜穂子は必死に逃れようとするが、どうしても離れることができない。

「先輩、ちゃんと全部飲まなきゃだめですよ。そうじゃなかったら、今の写真もインターネットで公開しちゃいますからね。パスワードのヒントは『K大 文学部英文学科2年 高井○○○』でどう?」
加奈子に楽しそうに脅迫する。

 菜穂子はその言葉を聞いて顔を歪めた。しかし、ようやく俊之の体から離れ、口中の精液にむせんでいるため、抗議しようにも言葉を発することができなかった。

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