PART 3

 「じゃあ、みんなも賛成しているので、理絵ちゃん、ストリップ、お願いしまぁす。」
エミが明るい顔で理絵に命令した。自分には手の届かない世界に住んでいる、美人で頭のいいお嬢様がこれからどんな顔をして恥を掻くのか、楽しみで仕方がない顔だった。

 「どうせなら、ステージに上がってさ、他のお客さんにも見せてあげてね。」
アケミが悪のりしてステージを指さした。
「みなさんも、見たいですよねぇ、この超べっぴんさんのヘアヌード!」
他の客からもやんやの喝采が起こった。

 「い、いや・・・お願いです、許して下さい。」
理絵は予想外の展開に怯えた。まさか、本当にストリップしなければならなくなるとは・・・だけど、そんなことは理絵に出来る相談ではなかった。
「は、反省しましたから、お願いです・・・」
屈辱を必死にこらえながら、隣の佐藤に向かって頭を下げる。

 「う〜ん、どうしようかなぁ」
憧れの美女に切ない瞳で見つめられて、佐藤は上機嫌だ。抜け目なく、その右手は理絵の太股をパンツ越しに撫でていた。理絵は拒否することもできず、身をよじって逃れようとする。
「だけど、いつもその可愛い顔を鼻にかけてた罰は受けてもらわないとなー。じゃあ、このズボンだけ脱いでもらうだけで許してやるわ。」
佐藤にしても、さすがに全裸は無理だと思っていた。そう言いながら、太股に置いた手を上方へすっとずらす。その手が股間に触れた瞬間、理絵は思わず叫び声を上げた。

 「や、やめて! いい加減にして下さい!」
いくらロングパンツの上からとは言え、女性の股間に触れるなど信じられない。理絵はその手を思いっきりひっぱたいていた。
「もう嫌です! 私、帰らせて頂きます!」
理絵は逃げるように腰を浮かせた。

 しかし、その瞬間、両側から伸びた手が理絵を掴んだ。エミとアケミだ。片腕ずつを掴んだ二人は息を合わせてそれをひっぱり、理絵を座らせた。その両手を、いつの間にかソファの後ろに回っていたかおりに預ける。次ぎに、エミとアケミは理絵の足首を同時に掴み、両側に引っ張った。実に息のあったチームプレーだ。

 あっという間に、理絵は両手を後ろ手に固定されたまま、大股開きにされてしまった。ロングパンツを穿いているとは言え、女性としては耐えられない浅ましい格好だ。男性達からすると、理絵が穿いていたのがスカートでないことが実に残念であった。

 「ひ、ひどいっ! 離して、離してよっ」
理絵は体を必死にバタつかせて逃れようとしたが、エミ達は慣れているかのようにがっちりと理絵の体を固定していた。

 「さあ、皆さん、この生意気女、どうしてくれましょうか? まずはお触りショーなんて、いかがですかぁ?ほら、佐藤さん、おいしそうな胸でしょぉ?」
アケミがそう言いながら、理絵の胸の膨らみの頂上を軽くはじいた。
「ひ、ひぃっ。ゆ、許してぇ」
理絵の高くか細い声は、その意図とは裏腹に、男達の興奮を高めるだけだった。

 「よーし、どれどれ、・・・お、こりゃあ大きいな。宮下、何してるんだ、ほら、そっち」
理絵の右胸をスーツ越しに掴んだ佐藤がその感触を楽しみながら、宮下に顎で命令した。

 「それじゃ、失礼しますよ、加藤さん」
さえない風情の宮下は、にやにや笑いを押さえきれない。嫌らしい手つきで明いている左胸を掴んだ。
「おお、この柔らかさ、たまんないですねぇ。」
すかさずやんわりと揉み始めていた。

 「よし、じゃあ、こっちも本気をだすかな。いくぞ、理絵ちゃん」
ニヤリと笑った佐藤は、本格的に理絵の胸を揉み始めた。5本の指をフルに使って刺激を与えていく。
「どうせ彼氏に嫌ってほど揉まれてるんだろ? あ、今は留学中だから、寂しいんじゃないのぉ。」
卑わいなからかいが、いかにも助平親父だった。それを見た宮下も、負けじとテクニックを使って理絵の官能を刺激した。

 「い、いやぁ! やめてぇっっっ あ、あ、あぁぁ」
理絵の顔は耳まで真っ赤になっていた。上気した顔をいやいやをする様にふりながら官能と戦っていた。しかし、その劣勢は隠しようも無く、理絵の官能が見る見る高まっているのは誰の目にも明らかだった。

 同僚の男達の感慨も大きかった。いつもは澄ました顔で仕事をしていたエリートの加藤理絵もやっぱり女なんだ・・・そんな当たり前のことに気付かされているようだった。

 「加藤君・・・」
課長の黒木も絶句してその光景に見入っていた。かっちりしたスーツを来ていながら、あられも無い格好で快感に喘いでいる部下の様子はあまりにも色っぽく、刺激的だった。仕事がらみでなければ、自分も仲間に加わらずにいることは不可能だったろう。目の前にこの上なく魅力的な餌をぶら下げられながら、何もできない切なさに、喉はからからになっていた。

 とにかく、課長としてはこの場を上手く収めなければならないのだ。理絵にやけを起こされて、父親にでも言いつけられたら、自分の未来はあっという間につぶされてしまうかもしれない。しかし、佐藤を怒らせずに契約につなげなければ・・・

 他の同僚の男達、松本、大友、三宅も涎を垂らさんばかりの顔でその淫靡なお触りショーに見入っていた。理絵の体を欲望の思いのままにする・・・それは、男達が何度も空想した夢の光景だった。それが、今、眼前で実現されようとしているのだから、興奮するなと言う方が無理だった。それは、理絵に出会った男達の誰もが夢見たに違いない願望だった。

 一方、女達は意地悪な期待が現実化してご満悦だ。洋子と真奈美は年次が下の理絵に雑用を命ぜられていた屈辱、とても容姿と若さでは及ばないというコンプレックスが一気に取りかえせたような気がしていた。(今まで、ちょっと美人だからって、いい気になってたもんねぇ。男達のオモチャにされちゃえばいいのよ)

 普段、理絵を慕っていた千香と昌子は、少し違ったが、やはりこの状況を楽しんでいた。表面上は仲良くしていたが、やはり嫉妬の根は深いのだ。(かわいそうだけど、彼がいない振りして男の気ぃ引こうってのは、ちょっと虫が良すぎますよねぇ。たまには罰を受けてもらわないと、合わないわ)と、自分に職場で彼ができない原因を理絵のせいにしていた。

 それぞれの思いは微妙に異なっていたが、その場の皆の期待は、一つの点で一致していた。理絵に、もっともっと、恥ずかしい思いを味わわせてやりたい・・・

 いつの間にか、理絵のスーツのボタンは外され、佐藤と宮下の手は、薄いブラウスの上から理絵の両胸を揉んでいた。高嶺の花だった美女の胸の甘美な感触に、二人は相好を崩しっぱなしだった。調子に乗った二人は、さらにブラウスのボタンに手をかけた。周囲の期待が一気に高まる。

 器用な手つきによって、あっという間にボタンは外れ、純白のブラジャーが皆の眼前に開陳された。その胸は予想どおり大きく、また、抜けるような白さが何とも淫靡だった。大収穫に、ギャラリーから歓声が湧き起こる。佐藤はもう我慢できない、と言った様子で、強引にブラの中に手を潜り込ませた。

 「うっひょー、こりゃたまらん!」
ついに、今まで相手にもしてもらえなかったエリート美女の胸に直に触れたのだ。その手に吸い付くような生肌の感触も極上品と言って良い。佐藤は天にも昇らんばかりの気持ちになりながら、その胸を揉み始めた。意地悪く、乳首を軽く摘んで刺激することも忘れない。同時に、佐藤と宮下のもう一方の手は、理絵の下半身に伸びていた。宮下はその尻を撫でさすり、佐藤は股間に手をあてた。

 脚を大きく開かれ、好き放題に胸と下半身を揉まれて悶えている恥ずかしい格好を同僚と取引先、バーの女達、見知らぬ客達に見られている・・・理絵は自分の身に起きていることが信じられなかった。しかし、この快感はどう考えても現実だ。経験の少ない理絵は、意識が朦朧としかかっていたが、胸を直に触られると、急に内部の危険信号が点灯した。

 (いや、胸を触られるなんて! このままじゃ、胸を見られちゃう!)強烈な危機感が、理絵の意識を覚醒させた。
「い、いやぁっ、やめてぇ。」
理絵は猛烈に暴れ出した。死に物狂いの力で両手両脚をばたつかせた。

 完全に落ちたと思っていた唐突な理絵の動きに、油断していたエミ達は対抗できなかった。一瞬の間、理絵の体は拘束から逃れることができた。奇跡的な幸運を逃さず、理絵は呆気に取られている佐藤と宮下の手を掴んで離す。間髪入れずに立ち上がって、ハンドバックを手に取った。

 はだけている胸を左手で押さえてブラを隠した理絵は、佐藤を睨んで言った。
「ふざけないでください! これは明かなセクハラです! それなりの対応をさせて頂きますからね!」
最後の言葉を言い終わらないうちに、理絵の右手はぴしゃりと佐藤の頬をひっぱたいていた。顔は怒っていたが、その上気して息も切れ切れな表情と、乱れた髪がまた色っぽかった。

 「い、いてぇっ!」
佐藤は大げさに頬を押さえた。スナップをきかせてあったので、実際に相当痛いのかもしれない。
「お、おい、お客様に向かって、こんなことすんのかぁ? コンペがどうなっても知らねーぞ。」
反省の色を示すどころか、佐藤は開き直って脅迫した。

 慌てたのは黒木だ。
「し、失礼しました! 大丈夫ですか? おい、謝るんだ、加藤君!」
佐藤に平謝りしながら、黒木は理絵を怒鳴りつけた。

 その瞬間、理絵は黒木を心底軽蔑した。(部下がこんな目に遭わされても、自分の成績の方が気になるわけ? 仕事はできると思っていたのに・・・最っ低ね)
「上司として、このようなことを見過ごしてよろしいのでしょうか? 場合によっては課長の今日の対応についても社で報告させて頂きます!」
黒木を見切った理絵は、はっきりと言った。(いいわよ、この課長に嫌われたって。それくらいで飛ばされるほど、私は無能じゃないもの)確かに理絵の業務遂行能力からいって、これは妥当な判断と言ってもいいかもしれない。

 一気にそう言い切ると、理絵はきびすを返して、店から出た。急いでボタンをはめ、髪を直す。怒りと屈辱、恐怖、そしてかすかに残る快感に、体が小刻みに震えていた。
 

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 次の日、青系のスーツに身を包んだ理絵は、いつもより早めに出社した。皆より後から出社して、好奇の視線を浴びるのは真っ平だ。ましてや、休むなど、プライドの高い理絵にとっては考えられなかった。何事もなかったようにパソコンを起動し、いつもどおりの準備を始める。(課長、一体どんな顔して私に謝るつもりかしら? もし逆に叱ったりしたら、その時は覚悟しなさいよ。同僚のみんなだって、庇ってくれたって良かったのに。いくら接待だって、あれは明らかに常軌を逸していたわ)

 しかし、同時にこの上ない恥ずかしさも感じていた。無理矢理されたこととは言え、お嬢様育ちの理絵にとっては考えられない痴態を、同僚達の前で晒してしまったのだ。羞恥に悶えながらも、皆が好奇と淫靡な期待に満ちた視線で自分の体を見ているのを嫌というほど感じていた。

 もっとも、それも無理は無いかもしれない。いつも一緒に仕事をしているときには、いつも隙の無い微笑を浮かべている同僚が、ブラを露出されて胸をまさぐられ、股間まで揉まれて快感に悶え、切ない喘ぎ声を上げていたのた。興奮するなという方が無理かもしれない・・・そう思った理絵は、再び心臓の鼓動が早くなるのを感じていた。


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