PART 12(bb)

 「きゃ、きゃあ、・・・や、やめて、そんな写真、早く閉じて!」
真っ白な太股と股間のピンクのパンティが画面全体に写っている写真を見て、梨沙は小さな声で悲鳴をあげた。それはある意味、尻に食い込んだ小さなパンティの写真よりも恥ずかしかった。唯一の救いは、今回は全く透けていないことだけだった。

 「どうしたの、梨沙ちゃん、そんなに恥ずかしかっちゃって。」
股間が暴発しそうになるのを堪えながら、新井はにっこり笑った。そして次々に写真を切り替えて梨沙に見せつける。
「フラッシュがうまく当たった写真だとかなりよく写ってるよね。あ、これがいいかな? ほら、パンティの端の可愛いレースの刺繍までばっちり写ってる!」


 そして、梨沙のパンティ丸出し大股開き写真を堪能してから、新井は次の作戦に移った。
「よし、これが梨沙ちゃんを脅すきっかけの写真ってことでいいよね。・・・それで、脅した後のなんだけど、それはコラじゃないって証明が必要だと思うんだ。」

 「・・・え、どういうこと?」
あまりに恥ずかしい体験に上の空になっていた梨沙は、新井の言葉が頭に入ってこないで聞き直した。え、もう終わりでしょ、何を言ってるの・・・?

 「うん、だからやっぱり、動画が必要だと思うんだよね。顔入りの。」
新井は梨沙の困惑の様子には構わず、あっさりと言った。そして携帯端末を操作し、動画撮影モードにして梨沙の正面に構えた。
「それじゃあさ、今ここで、そのボタンを外して、ブラを見せてくれる?」

 「・・・え、な、何言ってるの、新井くん!?」
梨沙は驚愕に表情を強ばらせた。
「まさか、本気じゃないよね? 冗談だよね?」

 「いや、本気だよ、梨沙ちゃん。」
すっかり腹を決めている新井は淡々と言った。ここで一気にいけるかが勝負だ・・・
「だって、昼間のファミレスで梨沙ちゃんがカメラ目線でブラウスの前を開いてブラを見せる動画を見れば、さっきの写真がコラじゃなくって、俺が本当に梨沙ちゃんの決定的な弱味を握っているって、あいつらも思うだろ?」
新井はそう言うと、再び時計に目を落とした。
「悪いけど俺、本当にもうすぐ予定があるから、できないんなら無理にとは言わないよ。それに、中途半端な証拠を持って行ったら、俺がそのショウブ堂の復讐を受けることになるんだからね。」
新井は強気な表情で梨沙を見つめながら、内心ではこの賭けが何とか成功することを必死に祈っていた。

 「・・・ご、ごめん、分かったわ、分かったから・・・」
梨沙は再び、新井の前に屈した。
「で、でも、本当にそこまでしなくちゃ駄目?」

 「大丈夫だよ、梨沙ちゃん。今はこの辺に客はいないから、ウエイトレスも来ないよ。」
梨沙の羞恥心を無視して、新井は携帯のレンズを梨沙に向けた。
「ほら、早く脱いで見せてよ。あ、恋人の前で脱ぐみたいに、このレンズを見つめてね。」
平静を装いつつ、新井の下半身はこれ以上ないくらいに興奮していた。

 「そ、そんな・・・」
梨沙は予想以上の事態に動転していた。芳佳の言葉を必死に思い出す。これから撮られる写真や動画は、全て公開されることを覚悟で撮影させること。そして、下着姿までは諦めること・・・でも、こんなことまでしなくちゃ駄目なの、芳佳ちゃん?
「わ、分かったから・・・」
梨沙は再度店内を見回し、誰も見ていないことを確かめた。や、やらなくちゃ・・・

 そして、名門校の制服を来た美少女は、目の前でクラスメイトの男子が構える携帯のレンズを見つめながら、ブラウスのボタンに手をかけた。第1ボタンは外さなくても良いので、第2ボタン、第3ボタン、第4ボタン・・・と一つずつ外していった。クラスメイトの男子にとっては、これだけでも垂涎ものだろうと思うと、新井は優越感に浸っていた。ほら、そろそろ前を開いてブラを見せろ・・・カメラの後ろから、新井は目でそう指示した。

 (え、そ、そんな・・・)
梨沙は通路の様子を気にしながら、ブラウスの真ん中をつかみ、ゆっくりと左右に開いていった。その一部始終を動画で撮影されているかと思うと、梨沙は両手がぴくぴくと震えるのを止めることができなかった。そしてその間からは、二つの乳房を覆うブラジャーがはっきりと見えていた。

 「ほら、顔を上げてこっちを見て!」
新井は優しい声で言った。(だって俺、本当は梨沙ちゃんの味方で、仕方なくやってるんだもんな(笑)・・・だけど、梨沙ちゃんの肌、透き通りそうに真っ白で、すごくエロいね・・・バスケ部で良かったね。)

 「・・・う、うん・・・」
その方が脅されているという感じが出るということなのか・・・真昼のファミレスの中でブラジャーを見せているという羞恥に、頭の中がぼうっとしてきた。あ、笑わなくちゃ・・・
「・・・こ、こうかな・・・」

 「いいよ、梨沙ちゃん、すっごく可愛いよ。」
目の前で制服姿の美少女が、自分の命令のままにブラジャーに包まれた乳房を見せ、にっこりと笑っている・・・新井は今、エロビデオの監督になったような気分を味わっていた。

 しかしその時、ウエイトレスの足音が聞こえてきて、梨沙は慌ててブラウスを閉じた。そしてウエイトレスはしばらく各テーブルを整えた後、去っていった。去り際にちらりとこちらを見られ、梨沙は何か机の上のものを熱心に読んでいるかのように突っ伏すような姿勢になってやり過ごした。

 「・・・お願い、新井くん、これでいいよね・・・」
梨沙はボタンを急いではめながら、目の前の男子クラスメイトに懇願した。このビデオも公開されてしまうの・・・今度こそ、合成なんて言い訳は通用しない・・・
「ちょ、ちょっと、そんなに見ないで・・・」
今のビデオを再生して入念にチェックしている新井を見て、梨沙は慌てて言った。新井の目には、明らかに嫌らしい光が宿っていた。

 「おい、そんな目で見ないでくれよ・・・岩本達がこれを見てどう思うか、考えてただけなんだから・・・」
梨沙のブラ姿につい見入ってしまった新井は、慌てて取り繕った。
「でも梨沙ちゃん、いつもこんな可愛いブラしてるの? さり気なく、小さな花柄も付いているんだね・・・あ、ちなみにバストは何センチ? そこまで言わせたって方が、岩本達も信用するだろ。」

 「・・・え、そ、そんな・・・は、80センチ、だけど・・・」
梨沙は仕方なく言った。本当にそれが必要なのか疑問だったが、そんなことを言い争うよりも早くこの店から出たかった。
「ね、もういいでしょ。お願い・・・」
結局新井には、ショウブ堂で撮られた写真や動画よりも、ある意味で恥ずかしい動画を撮られることになってしまい、顔を真っ赤にして懇願した。

 「うーん、でも、ちょっとインパクトが足りないかなあ・・・」
新井はまだ携帯端末の動画をじっと見つめていた。
「・・・あ、そうだ、こんなのやってみてよ・・・今までとあんまり変わらないからできるよね・・・」


 そしてしばらくのやり取りの後、やはり命令に屈することになった梨沙は、再び目の前に構えられた携帯端末のレンズを眺めながら、にっこりと笑った。
「・・・け、K大附属高校、2年1組の、た、谷村梨沙、です。・・・バストは、80センチ・・・」
そう言いながら、梨沙はブラウスの前を開いて、ピンクのブラジャーの前面を全て見せた。あ、新井くん・・・
「う、ウエストは、58センチ・・・」
梨沙がそう言うと、レンズが徐々に下の方に移動し、テーブルの下に移動した。それは自分の下半身をしっかり捉えている筈だ・・・
「そ、それから、ヒップは、83センチ、です・・・」
(い、いやあ、こんなの・・・)梨沙は内心で悲鳴を上げながら、その脚を両側に大きく開いていった。そしてそれは120度くらいまで開き、パンティに包まれた股間の三角部分が完全に露わになるポーズにさせられた。

 16歳の女子高生は今、制服の胸をはだけてブラを丸出しにさせられ、さらに机の下で脚をがばっと開くポーズで固定させられていた。そして、新井のカメラはゆっくりと上下に何度も往復し、その恥辱の姿を動画にしっかり記録していった。
「・・・うん、いいよ、梨沙ちゃん。これはすごくエロくて、最高だよ、ほら。」
慌てて脚を閉じ、ブラウスのボタンをはめている梨沙の眼前で、新井は今撮った動画を早速再生していた。
「ほら、梨沙ちゃんもよく見て確認して。これが、岩本達に見せることになる、梨沙ちゃんが脅迫されて撮られた動画だよ。」

 「え、いや、・・・あ、あっ、だ、駄目、こんなの!・・・い、いやあ・・・」
ちょうどその時、後ろの席に別の高校の女子高生達が案内されたため、梨沙は掠れ声で悲鳴を上げた。新井の携帯端末には、画面一杯に下着に包まれただけの胸と股間が映り、自分の顔は照れ笑いをしていて、まるで露出を楽しんでいるかのようだった。

 ようやく撮影は終了し、新井と梨沙は店の前で別れた。そして制服の少女の後ろ姿を見ながら、新井はまだ夢見心地だった。本当はまだまだ屁理屈をつけて弄びたかったが、予定があると言って急かした手前、それはできなかった。
(まあいいや、こんなすごい動画撮らせてもらったんだもんな・・・まだこれからもあるだろうし(笑))

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 その日の夜。梨沙は今日の結果を芳佳に報告していた。
「・・・ということなの。ひどいと思わない、新井くん、何もそこまでしなくても・・・」
一部始終を正直に話した後、梨沙はそう言って溜め息をついた。
「あの動画が出回ったら、私、もう学校に行けない・・・」

 「そっか、大変だったね、梨沙ちゃん。よく頑張ったと思うよ。」
梨沙が一気に話すのを黙って聞いていた芳佳は、優しい声でいたわった。
「ただ、その動画を公開するって脅されても、絶対に言うことを聞いたら駄目だからね。」

 「う、うん、分かってる・・・それに、新井くんも、岩本くん達にはいきなりあれを見せるんじゃなくて、まず写真だけ見せて話してみるって言ってたし・・・まあ、最後は公開されても仕方ないと思ってるわ、ただの下着姿だもんね。」
梨沙は強がったが、その声にはいつもの張りがなかった。
「だけど新井くん、ちゃんと明日、岩本くん達に話をしてくれるかな、芳佳ちゃんの言ったとおり、最後に言って念を押したんだけど・・・」
さらに梨沙が恐れていたのは、新井が裏切り、ショウブ堂側に付いてしまうことだった。

 「あ、岩本くん達にちゃんと言ってくれなかったら、新井君のことを訴えるっていうことね。それを言っておけば大丈夫よ。」
芳佳はそう言いながらくすりと笑った。
「新井くん、成績ぎりぎりだから、内部進学で不利になる危険を冒せるわけないわ。ま、うちの学校の人は大抵そうだけどね。」

 その後、芳佳は梨沙のもう一つの心配である、ノーブラで透けてしまった画像を貼り出されることについても、たぶん、と言いながら否定した。今の彼らにとって、それが最後のカードなのだから、安易に切れるはずがない、というのがその理由だった。そして、だからこそ今、新井が梨沙の弱味を握っていると言えば入り込める可能性があると再度説明した。そして、背後のトップさえ分かれば、芳佳の父の力できっと何とかできるということも。

 「うん、よく分かった。それに最悪、今までの画像と動画を公開されるだけだもんね、覚悟はできてるよ。私もその作戦に賭けてみる。」
内心の不安を押し殺しながら、梨沙は明るい声で言った。ファミレスで笑いながら、ブラとパンティを丸出しにしている動画をばら撒かれたら・・・クラスメイトに、先生達に、中学校の後輩達に、親や親戚に、近所の人達に・・・少し想像しただけで、梨沙は身体の奥がぞくぞくっとするのを感じた。

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