PART 82(bbbbx)

 「そ、そんなこと・・・覚えて、いません・・・」

 『あれ、身代わりになってくれた恩人に、嘘をつくのかな?』

 「本当に、覚えていないんです。もう、何がなんだか分からなくって・・・車がぐるぐる回って、次々に別の男の人のいやらしい顔が見えて・・・おしっこが全然止まらなくって・・・脚を閉じられなくて、大勢の男の人の視線がアソコに食い込んでくるような気がして・・・あの、少しだけ、気持ち、良かったかも・・・」

 『あはは、いいわよ、その調子! でも大丈夫よ、ぜーんぶ、私がしたことになるからね。』

 「はい・・・ありがとうございます・・・でも、あの・・・」

 『うん?』

 「警察とかは、大丈夫なんですか?・・・桂木さん、自分が責任を取るとかおっしゃっていましたけど?・・・」

 『あら、梨沙ちゃん、そんなこと心配してたの? 偉い子ねえ・・・』
すずは感心した口調で言った。
『それも大丈夫。警察とはちゃんと話がついて、段取りも決まってるから。・・・それよりもさ、一つ聞きたいんだけど・・・』

 「はい?」

 『梨沙ちゃんみたいな、名門校の優等生のお嬢様がさ、普通のAV女優だったら絶対に断るような、ど派手な露出放尿ショーさせられて、それが全国に発売されちゃうって、どんな気持ち? たぶん、数万は売れるみたいよ。・・・それに、渋谷のおしっこシーンはたぶんすごい反響で、違法ダウンロードされて、ネットに流されて・・・数十万人の男の人が、あなたがアソコおっぴろげておしっこするところを、いやらしーい目で見て、エッチなことをしたりして・・・もちろん、あなたの学校の男子なんか、全員ね・・・ほら、気持ちよくなってきたでしょ?(笑)』

 「や、やめてくださいっ・・・気持ちよくなんて、ありませんっ・・・」
しかし、その言葉と裏腹に、梨沙の全身はかあっと熱くなり、下半身の奥がじゅん、と感じてしまっていた。

 『あら、私に嘘つくの?・・・それじゃあ、もっと気持ちよくしてあげよっか・・・』
すずはそう言うと、焦らすように少し間を置いた。
『最後のシーンだけ、ゲスト出演、K附高校2年、谷村梨沙さん、って表示入れてあげようか? まあ、すぐに発売禁止になるけど、ネットには流れると思うわよ。そしたらみんな、あなたのことだと分かって、じっくり見てくれるわよ。・・・みんなが、あなたのアソコがどんな風になっていて、おしっこを勢いよく出すところ、何回も再生して、じっくり見てくれるのよ。これが、谷村梨沙ちゃんの放尿シーンなんだって・・・すっごい有名人になれるわよ(笑)』

 「そ、そんな・・・あ、あぁ・・・」
すずの言葉はあまりにも強烈な刺激を梨沙にもたらした。あの時の動画を、何十万人に見られる!、もちろん、知り合いのみんなに見られる!身体の奥から快感が脳天まで突き抜け、梨沙は全身を小さく震わせた。
「・・・ごめんなさい、本当は少しだけ、気持ちよく、なっちゃいました・・・はあぁ・・・名前なんて、出さないでください・・・」

 『ふーん、少しだけ、ねえ・・・まあ、いいわ。名前は出さないで、私がしたことにしてあげる。』
すずは恩着せがましく言ってからかうと、くすくす笑った。
『冗談よ、そんなことしたら、アイリスが潰れちゃうから、するわけないじゃない。素直に信じるなんて、可愛い子!』

 「そんな・・・からかわないでください・・・」

 『ごめんごめん。・・・でもさ、あなた、やっぱりすごい素質あるわよ。』

 「え?」

 『だってさ、あんなことさせられたり、その時の動画をばらまくとか言われたらさ、普通の女の子は、怖くなったり、泣いたりしちゃうものよ。・・・でも梨沙ちゃん、いやいやって言いながら、感じちゃって喘いでたじゃない?(笑)』

 「あ、喘いでなんか・・・」

 『あれ、また嘘つくのかな・・・まあいいわ。とにかく、梨沙ちゃん、あなたって、露出を強要され続けて、ある一線を越えると、その気持ちよさに溺れちゃうところあるから・・・すっごくAV女優に向いているわよ。』
すずはそう言うと、急に声を潜めた。
『でもさ、お願いがあるんだけど・・・』

 「はい?・・・」

 『いっくら露出に目覚めちゃったからって、AVデビュー、しないでね。私と思いっきり被っちゃうし、そしたら、K附の現役生徒会長の方が絶対強いから。』

 「・・・絶対にしません! 何言ってるんですか!」

 『あはは、怒らないでよ、冗談なんだから・・・でもさ、またこういうの、してみない?』

 「え?」

 『だから、何て言うのかな・・・露出のスタントマンっていうか、ちょっと私ができないような、過激な露出シーンをね、梨沙ちゃんが代わりにやってくれるってことでさ。もちろん、ギャラは払うわよ。』

 「また冗談ですよね、もうやめてください。だいたい、そんなこと、私、絶対にできません!」

 『できませんって言うけどさ・・・もう、立派にやってるじゃない。渋谷のスクランブル交差点で全裸M字開脚放尿一回転ショーの代役! あんなのOKするAV女優、まずいないわよ(笑)』

 「・・・」

 『大丈夫よ、強制はしないから。でも、そしたらあなたは名前を出さないで、全国の人に向けて思い切り露出ができるんだから、悪い話じゃないと思うわよ。・・・ま、考えておいてね。じゃあね。あ、柏原くんだっけ、可愛い彼によろしくね。』

 すずは、絶句している梨沙の返事を待たず、言うだけ言って勝手に電話を切ってしまった。

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 それから一週間後。ついにすずのアイリスグループ移籍第一弾の作品『すずの露出調教倶楽部Vol.1』が発売された。ただしそれは、アイリス映像本体ではなく、最近買収した子会社のSEDからの販売という扱いになっていた。

 あの、渋谷放尿ショー事件が収録されているということが発売前から話題になっていたため、初日から売上は凄まじい勢いだった。

 すずが明らかに梨沙を意識した格好で露出を演じているため、わずか3日間で、K大附属高関係者の男でその動画を見たことのない者はほとんどいなくなった。
 ただし、皆がそれを、アイリスの梨沙に対する嫌がらせだと勘違いした彼らは、そのビデオの話題を梨沙の前ですることは決してなかった。
 ・・・まさか、梨沙がそのビデオを何回も見ていること、大石すずと知り合いであること、最後の放尿ショーは梨沙本人であること、などとは夢にも思っていなかった。

 ただ、発売から3日後、すずの作品はトラブルに巻き込まれることになった。あまりに過激な露出シーンがあるということで、販売会社のSEDに警察の捜査が入り、発売禁止処分になったのだ。
 SEDはその処分を受けて解散することになり、すずの移籍第一弾作品は、最後の放尿ショーのシーンを削除して再発売されることになった。

 ・・・発売から再発売までの一連の流れは、警察とアイリスでの談合どおりの茶番だった。どうしても発売したい黒川達の意向と、厳しく取り締まらなければメンツが立たない警察との妥協案が、子会社に販売させて、それを警察が摘発、販売停止、廃業という流れにすることだった。

 その結果、3日間しか販売されなかった、『すずの露出調教倶楽部Vol.1』は幻のフル・バージョンと呼ばれ、高値で取引されることになった。渋谷の放尿シーンだけは、ネットにアップされるとすぐに削除されたため、すずのコアなファン以外の男達は、ひたすらネットを探し回る羽目に陥った。


 ・・・そのビデオの発売日以降、梨沙は密かに日々緊張と戦わなければならなかった。もし、渋谷での全裸放尿シーンが、私本人だと分かってしまったら・・・もう、外を歩けない・・・

 梨沙はしばらく、毎晩、ほとんど同じ夢を見ることになった。・・・それは、通学中に、「あいつが谷村梨沙だ、渋谷でおしっこしてたのあいつだぞ!」、と誰かが叫ぶ声が響き、周囲の群衆に一斉に囲まれて、服を全部剥ぎ取られ、M字開脚で抱え上げられ、その場の全員の視線に全てを晒されてしまう、というものだった。そして、放尿しなければ警察に突き出すと脅され、みんなの視線が股間に突き刺さる中、ついに尿を吹き出す・・・

 いつもそこで、梨沙ははっと目覚めた。はあ、はあ、はあ、と熱い息を吐きながら、自分の身体が熱くなり、秘部がぐっしょりと濡れてしまっていることに顔を赤らめるのだった。あなた、すっごく露出の素質あるわよ、というすずの言葉が頭を駆け巡る。私の代役、本当はしてみたいんじゃないの?・・・

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 発売からの2週間、梨沙は表面的には従来と変わらない学校生活を送ることになった。普通に授業に出席し、部活に参加し、生徒会を運営し、生徒総会を開催する・・・時々、生徒達が自分の身体をちらちら見ているのが気になったが、その位は覚悟していたことだった。
 ただ、学校の図書館で柏原と勉強することだけは、すずのビデオが発売されて依頼、続けることができなかった。

 その日は土曜日で、午前の授業が終わると、梨沙はまっすぐに家に帰ろうとしていた。柏原は、今日は友達と遊ぶ約束があるということで、芳佳も部活があったため、梨沙は一人で駅に向かう道を歩いていた。

 不意に携帯端末が着信を告げた。その画面を眺めた梨沙は、少し首を傾げた。
「はい、谷村です。・・・すずさん?」

 『うん。ごめんね、急に電話しちゃって・・・梨沙ちゃん、今日の午後はどうしてるの?』

 「・・・特に予定はなくて、一人で家に帰ろうとしていたところです。」

 『良かった! ねえ、一つ、お願いがあるんだけど・・・』
すずが急に猫撫で声を出した。

 「・・・! ごめんなさい、すずさんの代わりはできません! 私、絶対無理ですから!」
梨沙の顔が引きつり、声が少し大きくなった。



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