PART 89(bbbbx)

 非常口の扉を少し開いた梨沙は、顔だけを覗かせて急いで様子を探った。今度は誰も見えず、人の声も聞こえなかった。梨沙はそのまま扉を開き、建物の中に入った。

 そのまま小走りし、女子トイレを目指した。もうすぐ、トイレの個室に隠れられる・・・あとは、くるみさんが助けに来るのを待つだけ・・・梨沙はそれだけを考えようとした。

 「あ、見つけたぞ、あいつだ!」
突然、トイレの向こうの通路に制服の男が出現し、梨沙を指さした。
「お前、何やってるんだ!」

 誰かが、非常階段に全裸の女がいることを通報したのだ・・・ここで捕まったら、私はただの露出狂として警察に引き渡されて、学校に知らされて、みんなに知られて・・・い、いやあっ!

 梨沙は制服の男の左側を目指して一気に走り出した。そして、男が慌てて梨沙の進路を塞ぐように動くのを見て、直前で右に進路を変えた。バスケのフェイントのテクニックを使った梨沙の動きに男は対応できず、梨沙はうまく男の横をすり抜けることができた。

 やった、でも次はどこに逃げたらいいの?・・・しかし梨沙のその悩みは、次の瞬間に不要となった。曲がり角を左に折れた瞬間、別の男が目の前に現れたのだ。
「おい、お前、どういうつもりだ!」
その男はさっと両手を伸ばして、梨沙の両肩をがっしりと掴んだ。
「非常階段で露出するなんて・・・警備の甘さを叱られるのは俺たちなんだぞ!」

 「い、痛っ・・・す、すみません・・・」
もはや逃げられないと観念した梨沙は、必死に頭を下げた。
「だけど、これには訳があるんです・・・」

 「はあ? 素っ裸の亀甲縛りでの露出散歩にどんな訳があるんだ?」
さっき横をすり抜けられた男が背後から声をかけた。そして梨沙の前に来て顔を覗き込んだ。
「・・・あ、お前・・・まさか・・・」

 「え、どうした?」
梨沙の肩を掴んでいる男が声をかけた。

 (い、いや、見ないで・・・)
梨沙は必死に顔を下に向けたが、さらにその下から顔を見上げられてはどうすることもできなかった。

 「・・・大石、すず、だよな・・・」
その男はゆっくりと言った。
「確かこの前は、スクランブル交差点で、ワゴン車のドアを全開にして、派手に放尿ショーやってたよな?(笑)」

 「え、そうなのか? あ、ほんとだ、あのAV女優の」
途端に目の前の男が好色な視線を梨沙の身体に向けた。
「ほう、やっぱりおっぱいも可愛いな・・・で、今日は何かの撮影なのかい?」

 「え? あ、あ、あの・・・」
梨沙は言葉に詰まった。でも、正直に言ったら・・・
「はい、大石、すずです・・・」
肩を強く掴まれたまま、梨沙は必死に腕を動かして、胸と股間を隠した。

 「へえ、あのすずちゃんか! やっぱり、AV女優は可愛くて、スタイルもいいねえ!」
「しかも肌がピチピチしてるな。本当に高校生みたいだな!」
2人の視線に一気に遠慮がなくなった。いやらしい目で胸や股間を見つめる。
「おい、両手を下ろせ! お前は今、露出の容疑で捕まってる立場なんだぞ!」

 ・・・全裸で亀甲縛りにされ、くびり出された乳房と、秘裂の中心に縄が食い込んだだけの股間をじっくり鑑賞しながら、警備員の2人は梨沙を質問責めにした。

 梨沙は大石すずとして回答することにしたが、いきなり困難に直面した。正直に、さっきまで、最上階でのファッションショーに出演していたと話したのだが、警備員達が持っている出演者リストに入っていなかったのだ。

 動揺する梨沙に対し、あのショーにAV女優が出られるはずないだろ、と言われ、梨沙は返す言葉がなかった。結局、梨沙は大石すずとして、プライベートで露出を楽しんでいたことになってしまった。
 誰か来たら困るから、どこか部屋の中に入れてくださいと懇願しても、今の時間はこのフロアには誰も来ないと言ってとりあってくれなかった。また、露出趣味に少し付き合ってやるよと言われ、全裸緊縛姿を舐めるように見られてしまった。

 「あ、あの・・・」
ついに限界に近付いた梨沙は、男達を見上げながら言った。 
「すみません・・・おトイレに、行かせてもらえないでしょうか?」
梨沙は太ももを擦り合わせ、脚を小さく震わせていた。

 「え、トイレ?」
男の1人が呆れたように言った。
「そこのトイレはさ、まだ使っちゃ駄目って言われてるんだよ。次が偉い奥様方の回らしくてさ、絶対に汚すなって。」

 「そ、そんな・・・お、お願いします・・・」
梨沙は顔面蒼白になった。
「早くしないと・・・」

 「漏れちゃいそうってか?・・・大きい方、小さい方?」

 「小さい方です・・・」

 「仕方ねえなあ・・・だけど、ここは駄目だ。・・・警備員室にトイレがあるから、そこを使わせてやるよ。」
警備員はそう言いながら、ポケットの中を弄った。
「ただ、防犯上の秘密があるから、これをしてもらうぞ。」
警備員はそう言うと、黒いアイマスクを梨沙の前に見せた。
 
 ・・・おしゃれなファッションビルのフロアでは、およそ相応しくない光景が展開されていた。
 警備員2人に前後を挟まれ、1人の女が歩いていた。その女は、素っ裸の身体に赤い縄を亀甲縛りに掛けられ、両手は後ろ手に手錠を掛けられていた。

 しばらく歩くと、前の男が立ち止まり、通路の左側の扉を開いた。
「さあ、ここだ、中に入れ。」
後ろの男が尻を叩いた。
 
 「きゃ、きゃあっ」
目隠しをされている梨沙は、よろめきながら部屋の中に入った。

 梨沙はそのまま、尻を撫でられながらせきたてられ部屋の奥へと進んでいった。聞こえるのは、自分たちの足音だけだった。

 「あ、あの・・・トイレに、早く、お願いします・・・」
男達の気分を害さないように気を付けながら、梨沙は懇願した。もう、脚がガクガク震えるのを止められなかった。早く、早くトイレに・・・

 「ああ、分かった、分かった・・・」
男はそう言うと、梨沙の肩に軽く手を乗せた。
「それじゃあ、ここに座って。」

 「え?・・・あ、きゃあっ!」
戸惑った梨沙は、肩に乗せた手に引っ張られて一歩後ろに下がり、膝のところに椅子が当たったため、そのままそこに腰掛けてしまった。
「ちょ、ちょっと、何でここに座るんですか?・・・あ、ああっ、きゃあっ!」
悲鳴を上げての抵抗も空しく、梨沙は、両足がそれぞれの男の手で抱え上げられて、外側に思い切り開かれてしまった。さらに、そのまま脚を肘掛けにかけられ、足首を椅子に括り付けて固定されてしまった。
「ちょ、ちょっと、やめてくださいっ! い、いやです、こんな格好!」

 それは、肘掛け椅子を使ってのM字開脚姿の拘束だった。両手は相変わらず後ろ手に手錠を掛けられているため、乳房も、開き切った股間も隠すことができなかった。

 襲われる!・・・梨沙は処女喪失の危機を感じて震えた。この人たち、私のことをAV女優だと誤解して、それなら、犯しても大丈夫だろうって思っている・・・
「ち、違うんです! 私、大石すずじゃありません!」
梨沙は思わず大声で言ってしまった。
「お願いです、ほどいてください!」

 「何を今さら・・・どう見ても大石すずじゃん」
呆れたような声で男が笑った。
「あ、大丈夫だよ。実は俺も、露出狂のすずちゃんのファンだから、無理矢理犯したりはしないよ。」

 「そうそう、俺たちはさ、すずちゃんが気持ちよくおしっこするところ、見せてほしいだけなんだよね。」
もう一人の男が言った。
「さて、そろそろ我慢の限界だろ? これ、今外してやるからな(笑)」

 「え・・・あ、きゃ、きゃあっ」
股間に冷たい金属が当たったのを感じ、梨沙は悲鳴を上げた。

 「大丈夫、邪魔なロープを切るだけだからさ・・・はい、ご開帳!」
男の声と同時に、股間の縄の前側が切られ、ぽとりと後ろ側に垂れた。

 「え、そんな・・・い、いやああっ!」
肘掛け椅子にM字開脚で固定され、ついに股間を剥き出しにされた梨沙は、首を左右に振って悲鳴をあげた。どこの誰とも分からない男達に今、自分は性器を奥まで晒してしまっている・・・梨沙は、全身がかあっと熱くなるのを感じた。また、尿意がもはや限界を超え、開かれた太股がぶるぶると震えてしまうのを止められなかった。
「お願い、見ないで! トイレに行かせて、早くっ!」
ごくり、と唾を飲み込む男達の雰囲気を感じ、梨沙はさらに身体をビクビクと震わせた。

 「だからさ、ここでおしっこしていいよ、って言ってるじゃん?」
男はそう言うと、非情にも梨沙の下腹部を軽く押した。ひ、ひぃぃっ、という少女の悲鳴が部屋に反響した。
「言っとくけど、おしっこするまで、この格好のままだからな。」

 「そ、そんなっ!」
目隠しをされた梨沙の顔が引きつった。普通の部屋の中で、男二人にじっくりと性器を見られながら放尿なんて、できない・・・しかし、もはや限界だった。今、縄を解かれても、10歩も歩けないうちに漏らしてしまう・・・
「あ、あ、だ、だ、だめぇ・・・」

 梨沙の弱々しい声と共に、剥き出しの秘部の真ん中が心なしか少しぷっくりと膨らんだ。そして、一条の半透明の液体が一気に噴き出し、それは斜め上に綺麗な放物線を作った。あまりにも我慢していたため、溜まりきった尿が次から次へと飛び出した。

 「あ、あ、ああぁぁ・・・み、見ないで・・・」
目隠しをされた梨沙は、顔を仰け反らせ、天を仰ぎながら呻いた。私、最低の姿を、知らない男の人二人に見られている・・・

 おおおお・・・その時、押さえたどよめきが部屋に響いた。それは、二人だけの声ではあり得なかった。

 「え、え?・・・だ、誰かいるの?」
梨沙は急に不安になり、目隠しされた顔を前に向けた。股間からは、尿が勢いよく出続けている。

 男の両手が梨沙の耳辺りに当てられ、目隠しをさっと取り去った。

 「・・・え!?・・・きゃ、きゃっ、きゃああああっっっ!!」
目の前に大勢の男性が座っているのを見て、梨沙は悲鳴をあげた。10人以上の男が、にやにやしながら自分の股間を見つめていた。
「何、何なの!・・・い、いやっ、見ないでっ、見ないでぇっっ!」
梨沙は絶叫したが、開ききった股間から尿を斜め上に勢いよく放出し続けるのを止めることはできなかった。

 突然、椅子が回転を始めた。すると、自分が円形ステージの真ん中の椅子に拘束され、周囲を数十人の男達に囲まれていることが分かった。また、真後ろには大きなスクリーンがあって、股間のドアップが映し出され、尿道口から尿が吹き出る様子がその場の全員に披露されていた。

 「はい、大石すずちゃんお得意の、花びら放尿大回転ショーをお楽しみください!」
女性の明るい声が響き、会場は拍手と歓声に包まれた。
「前列の方、女優さんのおしっこがかかる場合がありますので、気を付けてご鑑賞くださいね(笑)」



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