PART 84

 シャカシャカシャカ、シャカシャカ、・・・真昼の会議室の中では、場違いなマラカスの音が鳴り響いていた。そして、顔を真っ赤にした美人社員は、歯を食いしばり、うっとりと目を閉じたままで、四つん這いの尻を振ってマラカスを演奏する卑猥な行為に没頭していた。
「・・・あ、あんっ・・・はぁ、はぁ、はぁあ・・・」
目の前に携帯端末がスピーカーモードで置かれていることも忘れ、有希は喘ぎ声を漏らすようになっていた。き、気持ち、いい・・・も、もっと、もっと気持ちよく・・・真っ白になった頭の中に、時々虹のような閃光を感じ、有希はびくびくと身体を震わせた。も、もっと・・・もう、イっちゃいたいの・・・

 そして、向かいのビルでその、お尻マラカスショーを眺めている社員達は、呆気に取られてその女の痴態に見入っていた。窓際でブラインドを上げて尻の穴を見せつけるだけで呆れるほど変態なのに、マラカスを挿入された挙げ句、今では自分から悦んでその尻を上下左右に振り立て、快感を貪っているのだ。そして、尻の穴の下に見えている秘裂はぐっしょりと濡れ、とろーりと愛液が垂れ続けていた。
 さらに、社員達を釘付けにしているのは、鳥飼の携帯端末から時折聞こえてくるその女の喘ぎ声が、アイリスの動画の中で責められて感じている有希の声とそっくりなことだった。まさか、有希ちゃんなのか、この女・・・?

 また、会議室の中の男達は、思いがけず有希が快感に溺れやすいことに驚き、喜んでいた。いくら催淫剤を塗られたからって、そこまで乱れなくてもいいのになあ・・・しょうがないなあ、それじゃあそろそろ、ご希望どおりイかせてやるか・・・(笑)

 ・・・あぁ、・・・は、は、はぁぁ・・・あ、あうぅぅ・・・シャカシャカシャカ・・・マラカスの音と、熱い喘ぎ声の合奏は、会議室の中に思い切り淫猥な空気を作り出していた。そして、有希の顔にはいつしかうっすらと汗が浮かび、辛そうな表情になっていた。こ、これじゃあイけない・・・お尻の穴だけじゃ駄目なの、私?・・・

 「よし、お尻マラカスはそのくらいでいいぞ。」
黒木はそう言うと、有希の尻に突き刺さっているマラカスを掴み、一気に引き抜こうとした。

 「・・・っ・・・ふあああっ、ひいぃぃーーっ!」
すっかり尻の中で絡みついていたマラカスの柄を引き抜かれ、有希は恥も外聞もなく悲鳴を上げ、尻を振り立てた。そして、抜かせまいと尻を突き出し、マラカスを再び肛門で掴もうとする浅ましい姿を晒すことになってしまった。あはは、最低だな、この女、と嘲笑する声が携帯から聞こえた。

 寸止め状態で悶える有希の耳元に、黒木が次の指示を囁いた。その瞬間、うつろになっていた有希の眼がはっと見開かれ、いやいやをするように首を左右に振った。(む、無理です、それだけは・・・お願い、分かって・・・)有希は潤んだ瞳で黒木を見つめ、無言で必死に訴えた。

 すると黒木は、小さく肩をすくめ、仕方ないといったように頷いた。そして懐からサングラスを取り出し、四つん這いになっている有希の顔にかけてやった。
「よし、これならいいだろう?」
黒木はそう言うと、真っ白で大きな尻をぺんと叩いた。
「ほら、早く次のショーをするんだ。お客様がお待ちかねだぞ。うまくできたら、うんと気持ちよくさせてやるから、せいぜい頑張れよ(笑)」

 いつの間にかストリッパー扱いされるようになった有希だったが、その意地悪な命令を拒否することはできなかった。それに悔しいことだが、うんと気持ちよくしてくれる、という言葉にも魅力を感じずにはいられなかった。肛門にたっぷり塗り込まれた催淫剤と、マラカスでさんざん刺激したおかげで、有希の官能は絶頂寸前で寸止め状態になっていたのだ。や、やるしかないのよ・・・

 四つん這い状態から身体を持ち上げ、一旦正座の姿勢になった有希は、そのままゆっくりと身体を回転させ、窓際に正面を向けた。サングラス越しに向かいのビルが見えて、大勢の知り合いの社員達が鈴なりになっているのが分かり、有希は心臓が停まりそうな気持ちになった。い、いや、みんな、見てる・・・私の身体・・・サングラスしてるから、私とは分からないわよね。大丈夫よね・・・

 しかし、有希の希望は儚くも裏切られていた。ビルの向こうの第一編集担当の男達は、正座姿でこちらを向いたその女を見て、今度こそ絶句していた。その髪型、顔の形、愛らしい頬、あえかな唇、小振りで形のいい鼻、美しい耳・・・サングラスで眼を隠してはいるが、それは有希本人としか思えなかった。

 (く、黒木さん・・・)
有希と並んで立ち、にやにやと見つめる黒木の顔を見て、鳥飼は絶句した。アイリス映像では騙されて恥ずかしい映像を撮られ、公開されてしまった有希だったが、まさか、裸の尻にマラカスを入れて振り立てる変態に調教されてしまったなんて・・・仕事熱心で、鳥飼の指導に対していつもまじめな顔で頷き、職場の皆に明るい笑顔で接していた有希・・・そして今は、ブラジャーだけで下半身丸出しの姿で机の上に正座し、数十人のギャラリーの前にいる有希・・・
「あ、ああ、確かに背格好はそっくりだけど、やっぱり有希ちゃんとは違うみたいですね、黒木さん・・・」
鳥飼は喉がカラカラに乾いているのを感じながら、何とかその言葉を口にした。ほんとに人が悪いんだから、黒木先輩は・・・大学のアメフト部の頃から、変わりませんね・・・

 鳥飼のその言葉に、ギャラリー達の意識が統一された。そうだな、気付かない振りをしてあげるから、遠慮しないでもっと恥ずかしいショーをしてもいいよ、マラカスサンバのド変態の有希ちゃん・・・(笑)

 大勢のギャラリーが見つめる中、サングラスをかけた有希のストリップショーが再開された。正座のまま、ビルの向かいに向けて一礼をした有希は、その場で立ち上がり、上半身はブラジャーだけ、下半身は素っ裸の直立姿を晒し、両手を頭の後ろで組んで、白い歯を見せてにっこりと笑った。
 次に、頭の後ろで組んだ手を離すと背中の後ろに回し、ブラのホックを外した。そして、ギャラリーを見つめながら、ゆっくりとそのブラを外し、後ろに放り投げた。両手を再び、頭の後ろで組み、全裸の姿を見せつけ、腰を悩ましく前後左右に揺すって見せた。

 (い、いやあ、こんなの・・・)
無理やり笑顔を作らされ、ストリッパーまがいのダンスをさせられる・・・サングラス越しとは言え、職場の先輩達の視線をもろに浴びながらの行為は、有希を一気に現実に引き戻した。い、いや、見ないで・・・鳥飼さん、そんな顔しないで・・・

 『おお、有希ちゃんそっくりさんのストリップショー、いいねえ。』
『ピンクの乳首、可愛いよ!』
『おっぱいも真っ白で、形も大きさも理想的! 有希ちゃんもこんなおっぱいだったらいいな(笑)』
『それじゃあ、次いってみよっか、ストリッパーさん(笑)』
『もちろん次は、特出し、だよね?(笑)』

 「はい、正解! それじゃあ有希ちゃん・・・じゃなかった、モデルさん、特出しポーズ、よろしくね!」
思わず言い間違ってしまった黒木は、小さく舌を出して有希に謝る仕草をした。

 (く、黒木さんっ・・・あ、ああ・・・いや、そんなの・・・)
確かに黒木からそのポーズを命じられていたが、有希はとてもできないと思った。今まで、拘束されたりして無理やりそのポーズを取らされたことはあったが、大勢の同僚が見ている前で、自分からするなんて・・・有希はあまりの恥ずかしさに歯ぎしりをしながら、命じられたポーズをとっていった。

 そして有希は、ついに会議室のテーブルの上に腰を下ろし、その両足をM字型に大きく開くポーズをとった。

 『あはは、有希ちゃんのそっくりさんがM字開脚!』
『すっげぇ、パイパンのアソコ丸出し!』
『ほら、それじゃ特出しじゃないだろ。早くアソコを開いてピンクのビラビラもはっきり見せてよ!』
『もうケツの穴の周りの皺の数までばれてるんだから、アソコくらいで恥ずかしがるなよ(笑)』
携帯端末からは、格調高い文芸担当の社員とはとても思えない、野卑なからかいの言葉が聞こえていた。

 (あ、ああ、ひどい、みんな・・・)
窓を埋める男達の顔、顔、顔・・・皆の眼が、有希の最も見てほしくない部分に突き刺さっているのが分かった。そしてその期待に応えなければ、この恥辱地獄は決して終わらないのだ・・・有希は歯を食いしばり、両手を秘裂の両側に当てた。
(大丈夫、サングラスをしてれば、分からないんだから・・・)
有希はその指先に力を込め、ぐいっと秘裂を左右に開いた。パックリと膣壁が露わになり、外気が一気に侵入するのを感じて、有希は全身をカタカタと震わせた。おい、笑顔、と黒木に耳元で囁かれ、有希は必死に作り笑いを浮かべた。
(ひ、ひいいい・・・こ、こんなのって・・・)
大通りを挟んでいるとは言え、眼がいい者ならはっきり見える距離で、大勢の男達の前に性器をぱっくりと開いて晒す・・・有希はあまりの羞恥に頭の中が真っ白になった。気が付くと、何人かの男達はカメラを構えたり、双眼鏡で見たりしていた。ひ、ひいい、駄目、だめぇ・・・

 「よし、それじゃあそのまま、オナニーしてみせるんだ!」
黒木は携帯端末に聞こえるように大きな声で命令した。
「今度は機械に頼らず、自分の手だけでイって見せろ。本気でイかないと、いつまでも撮影は終わらないからな。」

 作り笑いを浮かべていた有希の表情がさっと固まった。さっきの命令は、特出しポーズだけだったはず・・・そんな、みんなが真正面から見ているのに、そんなこと、できるはずがない・・・思わず有希は、顔を横に向けて黒木の顔を見つめた。それが今の有希にできる、精一杯の抗議と懇願だった。

 「おいおい、何で睨み付けるんだよ、怖いなあ・・・」
携帯端末に乗らないように、黒木は小さな声で言った。
「さっき約束しただろ。命令に従ったら、気持ちよくさせてやるって。・・・だから今、オナニーして気持ちよくなってもいいって許可してやったんじゃないか。」

 『ちょっと、何ごちゃごちゃ言ってるんですかあ。早くオナニーショー見せてよ、有希ちゃん・・・のそっくりさん?』
携帯端末から鳥飼の声が響き、言い間違えたことへの失笑が続いた。

 有希はついに、大勢の同僚に見つめられながらの、オナニーショーを開始することになった。黒木達に叱咤されながら、乳房を掴んで揉み、乳首を摘まみ、秘裂の溝をさすり、クリトリスを弄り、秘裂に指をそっと入れる・・・オナニーなどしたことの無い有希は、黒木と、携帯端末からの男達の指示を受け、顔を真っ赤にしながら恥ずかしい行為をおずおずと行っていた。

 「ああもう、まどろっこしいな。そんなんじゃあいつまでたっても終わらないぞ。」
しばらくすると、黒木がもどかしそうに言った。
「おい、縄を持ってこい。やっぱりお前は、縛られないと燃えないみたいだな。」
いや、やめてっ、と思わず有希が悲鳴を上げ、その声が、向かいのビルの男達に決定的な確信を与えることになった。

 そして、黒木の緊縛の指示は皆の予想を裏切るものとなった。有希が縛られたのは、両手を頭の後ろで組むようにされただけだった。そして、男子社員の一人を呼ぶと、有希を抱えて窓際に立つように命じた。その意図を悟った社員は、座っている有希の背後に屈むと、後ろから両足を開かせ、両膝の下に手を入れて、一気に立ち上がった。

 「ひ、ひぃぃぃ・・・」
幼女がおしっこをするポーズで抱え上げられ、有希は掠れた声で悲鳴をあげた。そしてその社員はさらに前に進み、有希の開いた膝が窓ガラスに付くようにした。

 「ほら、こうすると、他の階の窓からもはっきり見えるよ、君のパイパンでぐしょ濡れのオ○ンコ・・・会社中のみんなに見てもらおうか?・・・あ、道路を通行中の皆さんからも見えるね・・・」

 乳房も秘部もこれ以上ないほど露わにしながら、いや、いやあっと首を振り、脚をばたつかせる様子が、一層皆の嗜虐心を煽った。


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