PART 85

 黒木の指示はそれからも容赦がなかった。週刊Xの今までの特集で利用したローターをいくつも持って来させたのだ。そしてその一つを、空中でパックリ開いた有希の股間に、ギャラリーからよく見えるように挿入した。そして、もう一回り小振りなローターを、今度は尻の穴に挿入してしまった。さらに、強力で小型のテープを3つ準備させて、両方の乳首とクリトリスにローターが密着する形で貼りつけてしまった。

 「はい、有希ちゃんのローター5点責め、スタンバイできました。」
黒木は張りのある声で言うと、有希に向かって笑いかけた。
「あ、もうめんどくさいから、そっくりさん、て言うのは省略するぞ。だけど、本当はそっくりさんの別人だから、みんなよろしくな。」

 そう言っている間に、若手社員の一人が何やらパソコンで作業をして、完了した旨を黒木に告げた。サングラスを掛けられた有希の表情が不安そうに硬くなった。

 「よし、それじゃあこれから、電話番号を5つ言うから、みんなメモってくれ・・・まず、右乳首、090-○○○○-○○○○、左乳首、・・・、クリトリス、・・・、ヴァギナ、・・・、アナル、・・・」

 ・・・そしてそれからの数分間、有希はローター5点責めに掛けられ、あられもない声を上げて悶え続けることになった。5つの電話番号は、それぞれのローターのスイッチであり、一度電話すると、1分間振動するようになっていた。そして、同じ番号に複数の電話がかかってきた場合、振動がより巧妙に変化するようになっていた。男達は面白がって、最初のうちは一カ所だけを集中的に責めた。みんなで右乳首のスイッチを入れて有希の乳房が揺れるのを観察し、クリトリスを一気に責めては腰ががくんがくん震えるのを楽しみ、秘裂だけを責め、アナルだけを責め・・・そして一巡すると、今度はめいめいに有希の好きな部分を責め立てた。大通りを隔てたビルの向こうにいるのに、窓際に貼りつけられた女体が面白いように反応するのが楽しかった。そして有希が、首を仰け反らせ、脚をバタつかせ、腰を振っては快感に悶え、それなのにイかないように頑張っているのがまた面白かった。有希が頑張った結果、なかなか絶頂シーンには辿り着かず、有希を抱える役の男性社員は何度も交代することになった。

 しかし、その有希の抵抗は、却って有希自身を究極の恥辱地獄に突き落とすことになった。
「・・・あ、い、い、いや、いや、いやあっ・・・だ、だ、だめ、い、イく、イクゥ、イクイクイクゥ!」
有希は身体を仰け反らせ、美しい喉を見せつけながら、ついに絶頂に達した。そして我慢に我慢を重ねた結果、秘裂からはシャアーッと勢いよく、潮が吹き出したのだった。有希を抱えていた男は面白がってその身体を上に向け、有希の潮が窓の一番上にぶつかるようにした。潮は窓ガラスにぶつかると、一部はそのまま窓に沿って垂れ落ち、一部は反射して、部屋の中の男達の頭の上に降り注いだ。

 「うわ、やめろよ、河合!」
「すっげえ、有希ちゃんの復讐! 豪雨だな(笑)」
「おいおい、いつになったら止むんだよ。」
「あーあ、有希ちゃん、呑気に失神してるぞ。」
「はーい、ご開帳!」
最後の社員がおどけて言いながら、有希のサングラスを外してしまった。
「おお、すっげぇ、はっきり撮れてる! さっすが高性能望遠カメラ!」
会議室の奥の大画面テレビには、有希が窓ガラスに向けて潮を吹いているシーンが、その美貌と共にはっきりと映し出されていた・・・


 ・・・数分後。ようやく瞳を開いた有希は、目の前の窓ガラス一面に粘液が付いて、徐々に垂れ落ちている様子を見て表情を強ばらせた。そしてそれが、自分が絶頂に達した時に吹いた潮だと教えられると、い、いやあっ、と悲鳴をあげ、がっくりとうなだれたのだった。サングラスをしていることだけが唯一の救いだった。

 『すっごいねえ、君・・・きっと道路からも見えたよ。君のオナニー絶頂潮吹きシーン!(笑)』
鳥飼の呆れたような声が携帯端末から聞こえた。
『黒木さん、お手柔らかに頼みますよ。それでなくても有希ちゃん、アイリス動画の流出でショック受けてるんだから。そっくりさんの別人だからって、こんな変態動画とか写真が出ちゃったら、恥ずかしくって町を歩けなくなっちゃいますよ(笑)』
あはは、有希ちゃん、かわいそう、とからかう声が続いた。


 「よし、それじゃあ最後に、自縛講座でもしてもらおうかな、有希ちゃん・・・のそっくりさん?」
黒木はそう言うと、何本かの縄を有希の足下に置いた。
「お得意の股縄縛りと、あとは、乳房縛り、皆さんに見えるようにやって見せてよ。あ、それからお土産をあげるよ・・・」

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 その日の午後3時。有希は第一編集担当に戻り、デスクに座って作業をしていた。もちろん、朝着ていたのと同じベージュのスーツをかっちりと着ていた。ただ一つ、今はスカーフを巻いている点だけが朝とは異なっていた。

 「・・・二階堂、お疲れ様だったな、第2編集部の仕事。どんな感じだった?」
鳥飼がさりげない口調で話しかけた。

 「え、そ、そうですね・・・あの、Supershotの記事の件と、アイリスの動画の件で、ちょっと話をしてきまして・・・少し時間がかかったんですけど、アイリスの動画はとりあえず新規販売停止になりました。・・・お騒がせしてしまい、申し訳ありません・・・」
有希は俯きがちのまま、小さな言葉で返事をした。いつもの明るさは全く影を潜めてしまっていた。
 それも無理はなかった。この部屋にいるほとんどの男性社員が、ついさっきまで自分が演じた痴態を見ているのだ。今では何事もなかったかのように仕事をしている社員たちが、ニヤニヤしながら自分の裸を見ていた顔を有希は覚えていた。一人一人が言った卑猥なからかいの言葉も・・・

 (あはは、有希ちゃん、そんなに顔を真っ赤にしたら怪しまれちゃうよ・・・)
鳥飼はそう思いながら、周囲の男達のさりげない視線を感じた。
(よし、もうちょっとからかってあげようか・・・)

 鳥飼はわざと馴れ馴れしく、有希の肩に手を置いた。びくん、と有希の身体が小さく震えた。(ブラ紐が無いって思われたか、気になったんだよね、有希ちゃん?(笑))
「ところで、このスカーフ、どうしたの? 朝はしてなかったよね?」
鳥飼はそう言うと、首の後ろからスカーフを軽く撫でた。
「珍しいね、有希ちゃんがスカーフするなんて?」

 「ちょ、ちょっと、触らないでください!」
突然、有希が立ち上がり、強い口調で言って鳥飼を睨み付けた。そして、呆気に取られた鳥飼の顔と周囲の様子を見て、有希は面白いほどうろたえた。
「・・・あ、あの、すみません・・・ちょっと、仕事の関係で焦っていたもので・・・すみません・・・」
なぜか有希の顔は真っ赤に染まっていた。
 
 「あ、ごめんごめん、こっちこそ、女の子の服を気易く触って悪かったね。」
鳥飼は大人の態度で優しく謝った。
「でも大丈夫、今日の二階堂、どこか変だぞ・・・顔が真っ赤だし、熱でもあるんじゃないのか? あんなこともあったし、今日はあんまり無理するなよ。」
いえ、大丈夫です、と微笑む有希の顔を見て、鳥飼はにこりと笑みを返した。

 もちろん、鳥飼達周囲の社員は、有希が慌てた理由を知っていた。
 会議室で皆の見ている前で潮吹きオナニーショーを演じさせられた後、最後に自縛ショーを演じさせられたのだ。まず、股縄縛りをして、次に胸の上下に縄を巻き、最後に首からV字型に胸の谷間におろした縄を胸の上下の縄に掛けて、乳房が縄からひり出すような乳房縛りを完成したのだ。
 ショーはそこで終わったが、黒木によると、その緊縛姿の上にベージュのスーツと白いブラウス、パンティストッキングを着せて職場に戻すから、とのことだった。すなわち今の有希は、ノーパンノーブラで、股縄縛りと乳房縛りをしていることになる・・・いつもは身に付けないスカーフをしているのは、首縄を隠すため・・・

 黒木の言葉が正しいことを確認した男達は、小さく眼を合わせてにやにやと笑った。と言うことは、股縄の瘤に、また催淫剤がたっぷりと足されている筈・・・それ以上に、秘裂とお尻の穴には、まださっきのローターを咥えこまされ、トイレの時以外は絶対に取ってはいけないと命じられているはず・・・皆、有希のスーツ姿をそっと盗み見しては、さっきのストリップシーン、オナニーシーンと重ね合わせて透視し、今でも下に巻いている縄を見ようと目に力を込めるのだった。

 そして、黒木達の意地悪はそれだけではなかった。実は、返却する前に、ブラウスの乳房に当たる部分にも、催淫剤を染み込ませたのだ。これで、ブラウスが乳首をこする度、飛び上がるほどの快感が突き抜けるはず・・・黒木は鳥飼にそう言って笑った。絶対に、有希ちゃんを走らせたりしたら駄目だぞ。性感帯5点責めと、2穴のローターからの刺激で、悶絶しちゃうからな・・・

 しかし鳥飼は、意地悪く、大量の書類を営業部に届けるように命じた。電話帳3冊分ほどの書類を抱え、どこかそわそわしている有希に向かって、鳥飼は駄目押しをした。
「たった2階下なんだから、階段を使っていくんだぞ。急いでくれよ。」
そして、脚をがくがく震わせながら部屋を出ようとする後ろ姿を眺め、皆でにやにやと笑い合った。

 よし、それじゃあ、いくぞ・・・鳥飼達は携帯電話を取り出し、記憶してある二つの番号に発信した。数秒後、あっと、悲鳴を漏らしながら、有希の脚が崩れ、書類がばらばらと床に落ちた。その弾みで、スカーフがずれて、一瞬、首縄がはっきりと露出した。
 慌ててスカーフを戻し、人に気付かれていないか、ちらちらと周囲の様子を見る有希の姿が可愛らしかった。犯人は俺達だよ、有希ちゃん。エッチな首縄もみんなにバレバレだよ。ほんとにからかい甲斐があるなあ・・・(笑)

 「どうしたの、有希ちゃん、大丈夫?」
鳥飼は慌てて駆け寄り、有希の背中に手を置いた。その手がさり気なく縄を確認した。
「やっぱり具合が悪いんじゃないか、顔が真っ赤だぞ?」

 「・・・あ、あぁ、・・・だ、大丈夫、です・・・ひ、一人で、行けますから・・・」
前後のローターの複雑な動きが止まらず、有希は息も絶え絶えになりながら答えた。ど、どうして? 誰がしてるの、こんなこと?・・・あ、駄目、変にしゃがむと、縄が食い込んじゃう・・・た、助けて、誰か・・・

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 その日の夜。会社の近くの居酒屋で、3人の男が楽しそうに酒を酌み交わしていた。

 「いやあ、今日は酒がうまいなあ・・・面白い一日だった。」
そう言ったのは、週刊Xの編集長の黒木だった。日本酒の杯をうまそうに舐めた。
「まさか、あの二階堂有希を素っ裸にして、みんなの前で絶頂責めにできるとはな。」

 「ほんとにねえ、あの生意気な新入社員、これで俺達にはぐうの音も出ないよな。会社の中で、何度も絶頂しちゃうところをばっちり見られたんだもんな(笑)」
Supershotの編集長の須藤が笑みを浮かべ、ビールをぐいっと呑んだ。
「それにしても、パイパンマ○コおっぴろげて、ビルの窓に向かって潮吹くシーン、部屋の内側と向かいのビルからと、ばっちり録画されちゃうって、どんな気持ちだろうな、有希ちゃん?(笑)」

 「だけどまさか、お上品な顔した有希ちゃんが、あんなに派手に潮吹くなんてなあ・・・ケツマラカスもエロくて最高だったし(笑)・・・はい、どうぞ・・・」
鳥飼はそう言うと、黒木に酒を注いだ。
「だけどその、アイリスとSupershotと、週刊Xの関係は今後どうなるんです? みんなから毎日羞恥責めにされたら、さすがに露出狂の変態の有希ちゃんでももちませんよ・・・文芸の仕事も少しはさせてやりたいし(笑)・・・」

 「ああ、それならさっきアイリスも加えて話したんだけど、こういうのでどうだ? 毎週水曜日、有希ちゃんを第2編集に貸してもらってさ・・・」
須藤が話し出すと、鳥飼は興味深げに聞き入った。

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