PART 87

 それからの「取材」は、有希にとってあまりにも恥ずかしいものになった。まずは柔軟体操をさせられたが、大きく股を開いて身体を前に倒された時には、縄がはっきり背中から浮き出てしまった。さらに、スコートが根本まで捲れあがってノーパンで股縄縛りの股間がいきなり露出してしまい、また女性インストラクターの悲鳴を誘ってしまった。そして有希は、自分が好きでこんな格好をしていることを説明させられ、今日はこのままで取材を続けさせてほしいと、大勢のインストラクターの前で懇願させられたのだった。

 エアロバイク、ランニングマシーン、ベンチプレス、チェストブレス、レッグスクワットマシーン・・・有希は最新式の器具を次々に試すことになったが、それは、ミニスコートのテニスウェアで下着なしの緊縛姿でやると、恐ろしく卑猥な雰囲気になってしまった。男性インストラクター達はすっかりニヤケ顔でその胸元や太股、時々露わになる下半身を眺めるようになっていた。女性インストラクター達は、徐々に呆れた表情になり、嘲笑を浮かべてヒソヒソ話をし、クスクス笑うようになっていた。少しても手を抜いたら須藤に報告すると言われた有希は、羞恥にまみれながらそれぞれの器具に必死に取り組んだのだった。

 「おー、いいですね、色っぽい格好で! でも、記事に載せる時には、あんまり下品にならないようにしてくださいよ。」
時々現れたマネージャが、うっすら汗を浮かべ、頬を真っ赤にしてトレーニングマシーンに取り組む有希を見て笑った。

 トレーニングマシーンが終わると、次は室内テニスコートの取材だった。有希はもちろん、テニスウェア姿のままでストロークやボレー、サービスの練習をさせられ、手取り足取りコーチに指導されることになった。
ショットを放つ度に縄でくくり出された乳房が揺れ、乳首がウェアに擦れて、有希は唇を半開きにして喘いだ。また、薄手のミニスコートはひらひらと捲れ、縄が縦に一本走っているだけの尻をインストラクター達に披露することになってしまった。

 また、さらに皆が盛り上がったのは、有希がサーブを打たされた時だった。インストラクターがレシーブの位置に立ち、エースが取れなければ終わらないと言われた有希は、サーブを思い切り打たなければならなかった。そしてジャンプ気味になってサーブを打った時、有希のスコートは完全に捲れ、後ろは尻が丸出しになり、前も完全に露わになった。当然、ギャラリーの視線は有希の股間に集中したが、そこにあるべき黒い繁みがないことに皆が驚き、歓声をあげた。なかなかエースが取れない有希は、何度もジャンプサーブを打たされ、無毛の股間に縄が食い込んでいる姿を皆に見せなければならなかった。

 20回以上サーブを打たされ、ようやくエースが取れた有希は、思わず膝を崩してその場に座り込んだ。乳首への刺激、三つの股縄の瘤からの刺激、尻と秘部をさんざん見られ、撮影されてしまった羞恥・・・はぁ、はぁ、と熱い息を吐きながら、有希は頭の中が真っ白になっているのを感じた。

 しかし、有希の恥辱地獄はこれからが本番だった。
「それじゃあ、記事に載せる部分の取材はこれで終わりです。皆様、ご協力ありがとうございました。」
Supershot担当の若手社員はそう言うと、インストラクター達に向かって頭を下げた。
「あと、もしよろしければ、有希ちゃんの趣味にお付き合いいただけますでしょうか。実は有希ちゃんからの希望で、今までの全部のトレーニングを、テニスウェア無しの縄だけでやってみたいとのことなんですが、よろしいでしょうか? ・・・ほら、有希ちゃん、自分からもきちんとお願いして。」

 え、と表情を強ばらせた有希だったが、隣の社員にさり気なく脇をつつかれると、観念するしかなかった。
「・・・はい、わ、私、二階堂、有希は、裸で縄で縛られる姿を見られるのが大好きな、ろ、露出狂の、変態です・・・雑誌では、下着姿までしか公開できないので、少し、物足りないです・・・どうか、素っ裸に縄だけで、トレーニングを体験させてください・・・」
顔を真っ赤に染めた美女が、あまりに非常識かつ破廉恥なお願いを自ら口にすると、インストラクター達は暖かい拍手で了承した。うっそー、信じられない、と女子インストラクターのひそひそ声が聞こえてくるのが辛かった。

 テニスコートの真ん中で、有希はまず、テニスウェアを脱いで、乳房縛りにされてひり出された乳房を披露し、次に、スコートをゆっくりと落とし、股縄縛りだけの下半身を晒した。周囲を完全に囲まれ、乳房と尻と秘部に視線が突き刺さるのを感じ、有希は消えてなくなりたい気持ちになった。ある意味、全裸よりも恥ずかしい姿を初対面の男女に見られている・・・(い、いやあ、こんなの・・・)有希は内心で悲鳴をあげながら、命令どおりにっこり笑顔を作った。
「そ、それではまず、テニスから始めたいと思います。こんな格好で申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします・・・」
よろしくお願いします!、と皆に大声で挨拶を返され、有希は脚を震わせながら作り笑いを浮かべた。

 そして、いよいよ有希の全裸緊縛テニスショーが始まった。サーブ、レシーブ、フォアハンド、バックハンド、ボレー、スマッシュ・・・有希がショットを放つたびに、フラッシュが閃き、拍手と歓声が起き、有希の恥辱をさらに煽った。


 テニスコートでの取材がようやくが終わると、休む間もなくエアロビクスルームに移動させられた。先ほどは来ていなかった、エアロビクスのインストラクターが出勤したので、そちらも体験しようということになったのだ。もちろん全裸に縄だけの姿で階段も廊下も歩かされ、オープンに向けた準備のために来ている作業員やスタッフ達にも痴態を見られることになった。大丈夫、彼らにも固く口止めしているから、という若手社員の言葉は慰めにもならなかった。

 エアロビクスでは、目の前のインストラクターと同じ動作をしなければならず、激しいリズムに合わせて両手を広げたり、両足でステップを踏んだり、何度もジャンプをしたりしなければならなかった。

 「ワン、ツー、ワン、ツー、はい、有希ちゃんも笑って!」
レオタードに身を包んだ女性インストラクターは、爽やかな笑顔を有希に向けながら踊っていた。
「ほら、もっと元気よく!」

 「は、はい・・・」
有希は引きつった笑みを浮かべた。いつの間にか、インストラクター以外にも、背広姿のギャラリーが増えているのが分かり、身体に力が入らず、動きがぎこちなくなっていた。初対面の大勢の男女の前で、乳房縛りと股縄縛りの全裸を晒しているのだからそれも無理はなかった。また、有希にとってさらに辛かったのは、目の前の壁一面が鏡になっていることだった。鏡に映る等身大の自分の姿・・・素っ裸に縄だけをまとい、乳房が強調され、その頂点ではピンクの乳首が尖っている・・・下半身は、無毛の秘部に縄が深く食い込み、大陰唇がぷっくりと盛り上がっている。そして、ここがクリトリスと膣口よ、と言わんばかりに、2つの瘤が作られている・・・大勢のギャラリー、カメラマン・・・
(い、いや、こんなの・・・あ、ああ・・・)

 しかし、いくら恥ずかしくても、手を抜くことは許されないのだ・・・有希は唇を噛み、思い切って勢いよく脚を広げながらジャンプした。
「・・・あ、あ、あんっ!」
上下の縄に挟まってひり出された乳房が激しく上下し、股縄に作られた瘤が膣に食い込み、クリトリスをこすった。
 それからしばらく、できたばかりのエアロビクスルームには、ワン、ツー、というインストラクターの明るい掛け声と、あっ、あん、ひぃ、という可愛い悲鳴がないまぜになって響き、異様な雰囲気に包まれていた。そしてもちろん、その姿はS書房の社員達の構えるカメラにしっかりと記録されていた。

 その頃になると、スポーツクラブの皆も、すっかり共犯意識が芽生え、有希の痴態を遠慮なく楽しむようになっていた。
「おお、すっげぇ、あれが噂の有希ちゃんのエロケツかあ・・・縄の瘤のところって、ケツの穴だよな(笑)」
「アソコも丸出しにしちゃって、恥ずかしくないのかねえ。マン毛もつるつるに剃っちゃうなんて、変態だな。」
「それにあのオッパイ! ロケットみたいに突き出しちゃって、乳首も勃ちまくりだし!(笑)」
「信じられなーい、確か、可愛い過ぎる教育実習生、とか言ってちやほやされてたんでしょ、あの人! ただのド変態じゃない!」
「みんなに裸見られて、縄で縛られてうっとりするなんて・・・最っ低!(笑)」
「ちょっと、声が大きいよ、聞こえちゃうよ・・・」
「聞こえるように言ってるのよ。アソコに縄食い込ませて嬉しそうに踊っちゃって・・・露出狂でしょ、完全に(笑)」

 周囲を取り囲むギャラリーの声は徐々に大きくなり、有希にも時々聞こえるようになっていた。
(ち、違うの、私、好きでこんなことしてるんじゃないのに・・・)
「あ、あっ、あん・・・あ、あっ、あはぁ・・・はぁぁん・・・ひぃ・・・」
しかし、有希の恥ずかしい声は徐々に大きくなり、その表情も一層妖艶になってしまっていた。

 そして、全裸緊縛姿でのエアロビクスを強要されているうちに、有希は自分の身体の恥ずかしい変化に気付いた。わ、私、感じてしまってる・・・身体の奥がじんと痺れ、全身が熱くなり、3つの瘤からの快感が全身を駆け巡り始める・・・それは有希にとって、ある意味で馴染みのある感覚だった。そして有希は、破滅の予感に震えた。こ、このままだと、私・・・い、いや、取材先で、初対面の人たちの前でイっちゃうなんて、恥ずかし過ぎる・・・
「・・・ん、ん、んん・・・あ、あはぁ・・・」
有希は激しく踊りながらも唇を強く噛み締め、必死に理性を呼び戻そうとしていた。快感に悶えながら、必死に抗うその表情が、ギャラリーの嗜虐心を一気に燃え上がらせていることにはもちろん気付かなかった。


 「有希さん、今、水が入りましたので、プールに入ってみませんか?」
ようやくエアロビクスを終えた有希に、マネージャが提案した。もちろん、是非、と若手社員が勝手に答え、移動が開始された。

 ただそれは、有希にとってもある意味で救いになっていた。今まで股縄縛りでさんざん運動させられてきた結果、秘裂の奥から恥ずかしい液が湧き出してきていたのだ。プールに入れば、淫らな反応の証拠を消すことができる・・・それに、水の中に入れば、外からは裸を見られない・・・今の有希にとっては、それすらも救いに感じられた。

 しかし、有希の期待のうちの一つは達成されたものの、もう一つは裏切られることになった。プールは一部しか水が入っておらず、それは、長方形のプールのうちの、壁側の端の1レーン分だけだった。そしてそのプールの特色として、プールの壁は全面ガラス張りになっており、その向こう側は観覧席と通路になっていた。
「すみませんね、水の節約で・・・このレーンを何度か往復してもらえますか? 本当に申し訳ありませんね。」
マネージャは申し訳なさそうな顔をしながら言ったが、どこかその口調には軽さが感じられた。

 「い、いえ、分かりました・・・」
有希は愛想笑いを浮かべながら、内心でマネージャを恨めしく思っていた。絶対、私を見世物にするつもりだったんだわ。こんなの、ひどい・・・

 「それじゃあまず、クロールで向こうまで言って、平泳ぎで帰ってきてよ。」
若手社員の一人がカメラを構えながら指示した。平泳ぎ、という言葉を聞いた瞬間、ギャラリー達がニヤニヤ笑うのが有希にも分かった。いや、もうこれ以上、私を辱めないで・・・

 そして、縄を水着代わりにした有希の淫靡なスイミングショーが始まった。観念した有希がクロールで泳ぎ始めると歓声があがり、カメラのフラッシュが連続して閃いた。
 バシャ、バシャ、バシャ・・・もともと運動神経の良い有希は水泳も得意だった。早く終わらせてしまいたいと、できるだけ急いで泳いでいた。
「ん、んん、あ、ああっ・・・いやっ・・・」
息継ぎをする度に、有希は思わず喘ぎ声をあげていた。腕を大きくあげてクロールする度に、胸縛りの縄が上下から乳房をぎゅっと締め付けるのだ。あ、あ、こんなの、どうして感じちゃうの・・・

 また、さらに辛いのは、レーンの右側のガラス窓の向こうに、ギャラリーが鈴なりになっていることだった。
 これではまるで、水槽の中の金魚のようではないか・・・しかも、彼らの顔は、自分の身体からほんの1メートルのところにあった。好奇に満ちた視線で至近距離から緊縛姿の全裸を見つめられ、有希はかっと身体が熱くなるのを感じた。駄目、気にしちゃ・・・早くあっちの端について、戻ってくるのよ・・・
 
 歯を食い縛って泳ぎ続けた有希は、ようやくプールの反対側の端にたどり着いた。パチパチパチ、という拍手と歓声、女性インストラクターの嘲笑と軽蔑の声がないまぜになって屋内プールに響き、有希は屈辱に内心で震えた。しかし、一刻も早くこの羞恥を終わらせるためには、折り返して、元の端まで戻るしかない・・・

 (あ、い、いやっ)
プールの端にタッチしてターンする瞬間、透明なガラスの向こうで見つめるギャラリーと目が合い、有希は同様した。これから彼らの眼前で、平泳ぎをしなければならないのだ。真後ろのプールの端にいるギャラリーには、平泳ぎをしている後ろ姿をまともに後ろから見られることになる・・・い、いやあ・・・有希は絶望的な気分になりながらも、皆の期待どおりの恥辱ショーを開始するしかなかった。


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